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2024年8月8日【MaaS】

eVTOLの米ジョビー、豪州で航空機認証を申請

坂上 賢治

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自社飛行試験センターがあるカリフォルニア州マリーナ上空をS4が飛行している様子米国ニューヨーク証券取引所に上場し、トヨタ、デルタ航空、SKテレコム、ウーバー、ベイリー・ギフォードなどから20億ドル以上の資金を調達してきた「Joby Aviation, Inc.(ジョビー・アビエーション)」は8月6日( 米国・カリフォルニア州サンタクルーズ発 )、オーストラリア民間航空安全局( CASA )へ対して、Joby Aviation S4のFAA( 連邦航空局 )形式に倣う型式認証の承認を申請した。

 

なおジョビー( Joby Aviation, Inc. )によると同申請は、米規制当局とCASAの二国間協定に基づくもので、米国内のみならずオーストラリアでも、静かで排出ガスのないエアタクシー事業の基礎を築く礎になるものだという。

 

 

今回の申請についてジョビーの創設者兼CEOを務めるジョーベン・ベバート氏は、「エアタクシーがオーストラリアの都市を巡る新たな移動手段となる可能性に、私たちは心躍らせています。

 

電動垂直離着陸機( eVTOL / 空飛ぶクルマ )の商用運用は、既にCASAとの枠組み連携のなかで検討頂いており、その道筋を介して、オーストラリア当局にも、同様の型式認証・申請をご検討頂けることを心から嬉しく思います。

 

我々の電動エアタクシー〝Joby Aviation S4〟は、パイロット1名と乗客4名を時速200マイルで送り届けられるよう設計されており、ヘリコプターよりも格段に低い飛行音のままで高速移動が可能、かつ運転時の排出ガスもゼロです。

 

例えばNYでは、エリック・アダムス市長を含む当地のステークホルダー各位を前にマンハッタン・ダウンタウン・ヘリポートから離陸して、eVTOL独特の飛行音を含む機体などを披露させて頂き、また既に本格的な商用運行を前提とした試作機を以て、およそ33,000マイル以上の飛行距離も消化しています」と国際市場に於ける自社エアタクシーの先進性を畳み掛けた。

 

実際に同社は、2021年にUberのエアタクシー部門だったUber Elevateを買収して以来、エアタクシーの商用運航のために開発したソフトウェアツールスイート「ElevateOS」を介して積極的な飛行テストを繰り返し重ねており、米国連邦官報にFAA認証の根拠が初掲載され、自らで米国を代表する電動エアタクシー開発企業であることを証明した。

 

 

また現段階で、オンデマンドの商用飛行サービスに必要なFAAの型式認証プロセスの5段階のうち、第1、第2、第3段階を完了した初の企業でもある。加えて今年7月、世界で初めて水素電気ドローンを用いた523マイル(約841キロ)の試験飛行にも成功した(以下写真)。

 

写真は、カリフォルニア州マリーナの開発拠点で停機中のeVTOLの生産型プロトタイプ機2機と、上空を飛ぶ水素電動ユニット搭載のデモンストレーション機

 

今後、同社は米国に於けるFAA 型式証明を取得した後、直ちに日本航空局 ( JCAB ) と英国民間航空局 ( CAA ) への認証申請も進めていく予定だとしている。加えて直近の2024年6月、オンデマンドのエアタクシー運航のためのソフトウェアツールスイート「ElevateOS」の使用許可もFAA(米国連邦航空局)から取得している。

 

そうしたなかで今回の豪政府に於ける型式認証の精査は、当地に於いてeVTOLを含む航空機が当地の安全基準を満たしているか、商業運航の準備が充分にできているかを申請企業自らも関わり証明するべく、過酷なテストと文書化作業を数年に亘って繰り返す厳格なプロセスに挑んでいくと結んでいる。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。