自社飛行試験センターがあるカリフォルニア州マリーナ上空をS4が飛行している様子米国ニューヨーク証券取引所に上場し、トヨタ、デルタ航空、SKテレコム、ウーバー、ベイリー・ギフォードなどから20億ドル以上の資金を調達してきた「Joby Aviation, Inc.(ジョビー・アビエーション)」は8月6日( 米国・カリフォルニア州サンタクルーズ発 )、オーストラリア民間航空安全局( CASA )へ対して、Joby Aviation S4のFAA( 連邦航空局 )形式に倣う型式認証の承認を申請した。
なおジョビー( Joby Aviation, Inc. )によると同申請は、米規制当局とCASAの二国間協定に基づくもので、米国内のみならずオーストラリアでも、静かで排出ガスのないエアタクシー事業の基礎を築く礎になるものだという。
今回の申請についてジョビーの創設者兼CEOを務めるジョーベン・ベバート氏は、「エアタクシーがオーストラリアの都市を巡る新たな移動手段となる可能性に、私たちは心躍らせています。
電動垂直離着陸機( eVTOL / 空飛ぶクルマ )の商用運用は、既にCASAとの枠組み連携のなかで検討頂いており、その道筋を介して、オーストラリア当局にも、同様の型式認証・申請をご検討頂けることを心から嬉しく思います。
我々の電動エアタクシー〝Joby Aviation S4〟は、パイロット1名と乗客4名を時速200マイルで送り届けられるよう設計されており、ヘリコプターよりも格段に低い飛行音のままで高速移動が可能、かつ運転時の排出ガスもゼロです。
例えばNYでは、エリック・アダムス市長を含む当地のステークホルダー各位を前にマンハッタン・ダウンタウン・ヘリポートから離陸して、eVTOL独特の飛行音を含む機体などを披露させて頂き、また既に本格的な商用運行を前提とした試作機を以て、およそ33,000マイル以上の飛行距離も消化しています」と国際市場に於ける自社エアタクシーの先進性を畳み掛けた。
実際に同社は、2021年にUberのエアタクシー部門だったUber Elevateを買収して以来、エアタクシーの商用運航のために開発したソフトウェアツールスイート「ElevateOS」を介して積極的な飛行テストを繰り返し重ねており、米国連邦官報にFAA認証の根拠が初掲載され、自らで米国を代表する電動エアタクシー開発企業であることを証明した。
また現段階で、オンデマンドの商用飛行サービスに必要なFAAの型式認証プロセスの5段階のうち、第1、第2、第3段階を完了した初の企業でもある。加えて今年7月、世界で初めて水素電気ドローンを用いた523マイル(約841キロ)の試験飛行にも成功した(以下写真)。
写真は、カリフォルニア州マリーナの開発拠点で停機中のeVTOLの生産型プロトタイプ機2機と、上空を飛ぶ水素電動ユニット搭載のデモンストレーション機
今後、同社は米国に於けるFAA 型式証明を取得した後、直ちに日本航空局 ( JCAB ) と英国民間航空局 ( CAA ) への認証申請も進めていく予定だとしている。加えて直近の2024年6月、オンデマンドのエアタクシー運航のためのソフトウェアツールスイート「ElevateOS」の使用許可もFAA(米国連邦航空局)から取得している。
そうしたなかで今回の豪政府に於ける型式認証の精査は、当地に於いてeVTOLを含む航空機が当地の安全基準を満たしているか、商業運航の準備が充分にできているかを申請企業自らも関わり証明するべく、過酷なテストと文書化作業を数年に亘って繰り返す厳格なプロセスに挑んでいくと結んでいる。