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2025年3月27日【イベント】

角田選手、F1鈴鹿ラウンドにレッドブルから参戦

坂上 賢治

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本田技研工業( ホンダ )の育成プログラム出身で、現在、ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズ( Visa Cash App Racing Bulls / VCARB )からF1に参戦している角田裕毅( つのだゆうき )選手が、来週末( 4月4日~6日 )・鈴鹿サーキット( 三重県鈴鹿市 )で開催される「2025 FIA( Fédération Internationale de lʼAutomobile / 国際⾃動⾞連盟 )F1世界選手権シリーズ( F1 )Lenovo日本グランプリレース( F1日本グランプリ )」で、兄弟チームのOracle Red Bull Racing( オラクル・レッドブル・レーシング )のドライバーズシートから参戦することが決定した。( 坂上 賢治 )

 

もとよりホンダとレッドブル・レーシング( ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズを包括 )は、パワーユニット供給を介してパートナー契約を結んでおり、2021年シーズンにホンダへ30年ぶりの栄冠をもたらし、最終戦での劇的なチャンピオン獲得。2023年シーズンに於ける22戦中21勝。更に2024年シーズンのマックス・フェルスタッペン選手によるドライバーズタイトル4連覇など、様々なドラマと偉業を生み出してきた。

 

 

一方、F1に参戦して5年目の角田選手は、今シーズンも引き続きホンダ製エンジンを搭載するレーシングブルズのマシン( 今季の型式:VCARB02 )でレギュラードライバーとしての参戦が続いていた。

 

そうしたなかでフェルスタッペン・スペシャルと揶揄される神経質なマシン( 今季の型式:RB21 )のドライバーズシートに収まり、今シーズンからオラクル・レッドブル・レーシングでステアリングを握るリアム・ローソン選手が予選・決勝を通して大きく低迷。

 

レッドブル・レーシングでは、「リアム(ローソン)が、マシンの扱いで苦戦しているのを見るのは辛かった。その結果として、我々は早期にスイッチする決断を下した。我々はリアムを保護し育てるため、彼がよく知る環境下のレーシングブルズでF1キャリアを続けられるよう判断した。また一方で我々には、マシンを改良するためにやるべきことが多く、それにはユウキの知見が役立つ」と述べた。

 

これを受けたホンダ・レーシング( HRC )では、「Red Bull RacingとVCARBは、当社が技術支援を行うパワーユニットを搭載したマシンでF1を戦っています。我々( ホンダ&HRC )は、両チームのパートナーとしての立場から技術支援を行い、角田選手の活躍をサポートしていきます」と話している。

 

 

加えてHRCの渡辺康治 代表取締役社長は、「ホンダの育成プログラム出身で、F1ドライバーとして5年目を迎え大きく成長した角田裕毅選手が、強豪チームであるRed Bull RacingからF1に参戦することを嬉しく思います。彼のこれからの活躍に大いに期待しています」と語った。

 

ちなみに今回の角田選手のトップチームへの移籍は、一介のファンならずとも待ちに待った結果であり、実に喜ばしい。レッドブルレーシングへ暖かく送り出した古巣のレーシングブルズも、角田選手の移籍を喜んでいるようだ。

 

しかしレッドブル・レーシングの今季の最新鋭マシンは、フェルスタッペン選手のドライブでも時に中団グループから抜け出せないことがあり、現段階ではトップマシンとは言えない状況下にある。そういう意味でレッドブル・レーシングが言う「マシンの改良にユウキの知見が役立つ」は率直な意見だ。

 

その一方で、低迷を極めていたローソン選手は、常にドライバーへ厳しい処遇を行うレッドブルレーシングチームであるゆえに、むしろ復活のチャンスを与えられるという幸運を掴んだ。

 

対して角田選手は鈴鹿ラウンドが、まだ開幕3戦目とは言え、シーズンの途中からチームをスイッチすることへのリスクがない訳ではない。何せ鈴鹿ラウンドの開幕までは僅か1週間しか残されていないのだ。むしろこの1週間は、マシン開発という領域で角田選手の真の力量が試されることになりそうだ。しかしこれで良い結果に繋げられれば、彼は、いずれ2026年シーズン突入前の段階でストーブリーグに於ける台風の目になれるかもしれない。

 

 

角田裕毅選手のプロフィール
生年月日:
2000年5月11日生まれ

 

出身地:
神奈川県相模原市

 

レーシングキャリア概要:
2016年 鈴鹿サーキットレーシングスクール・フォーミュラ(SRS-F)卒業
2017年 JAF-F4 東日本シリーズ シリーズチャンピオン・日本一決定戦 優勝
FIA F4日本選手権 シリーズ 3位
2018年 FIA F4日本選手権 シリーズ チャンピオン
2019年 FIA F3選手権 シリーズ 9位(Jenzer Motorsport)1勝 表彰台3回
ユーロフォーミュラ・オープン・チャンピオンシップ シリーズ4位(Motopark)
2020年 FIA F2選手権 シリーズ 3位(Carlin)3勝 表彰台7回 ポールポジション4回
2021年 FIA F1世界選手権 年間ドライバーズランキング14位 最高位 4位
2022年 FIA F1世界選手権 年間ドライバーズランキング 17位 最高位 7位
2023年 FIA F1世界選手権 年間ドライバーズランキング 14位 最高位 8位
2024年 FIA F1世界選手権 年間ドライバーズランキング 12位 最高位 7位
2025年 FIA F1世界選手権 年間ドライバーズランキング 13位 最高位 12位
※第2戦中国グランプリ終了時点

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。