
本田技研工業( ホンダ )の育成プログラム出身で、現在、ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズ( Visa Cash App Racing Bulls / VCARB )からF1に参戦している角田裕毅( つのだゆうき )選手が、来週末( 4月4日~6日 )・鈴鹿サーキット( 三重県鈴鹿市 )で開催される「2025 FIA( Fédération Internationale de lʼAutomobile / 国際⾃動⾞連盟 )F1世界選手権シリーズ( F1 )Lenovo日本グランプリレース( F1日本グランプリ )」で、兄弟チームのOracle Red Bull Racing( オラクル・レッドブル・レーシング )のドライバーズシートから参戦することが決定した。( 坂上 賢治 )
もとよりホンダとレッドブル・レーシング( ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズを包括 )は、パワーユニット供給を介してパートナー契約を結んでおり、2021年シーズンにホンダへ30年ぶりの栄冠をもたらし、最終戦での劇的なチャンピオン獲得。2023年シーズンに於ける22戦中21勝。更に2024年シーズンのマックス・フェルスタッペン選手によるドライバーズタイトル4連覇など、様々なドラマと偉業を生み出してきた。
一方、F1に参戦して5年目の角田選手は、今シーズンも引き続きホンダ製エンジンを搭載するレーシングブルズのマシン( 今季の型式:VCARB02 )でレギュラードライバーとしての参戦が続いていた。
そうしたなかでフェルスタッペン・スペシャルと揶揄される神経質なマシン( 今季の型式:RB21 )のドライバーズシートに収まり、今シーズンからオラクル・レッドブル・レーシングでステアリングを握るリアム・ローソン選手が予選・決勝を通して大きく低迷。
レッドブル・レーシングでは、「リアム(ローソン)が、マシンの扱いで苦戦しているのを見るのは辛かった。その結果として、我々は早期にスイッチする決断を下した。我々はリアムを保護し育てるため、彼がよく知る環境下のレーシングブルズでF1キャリアを続けられるよう判断した。また一方で我々には、マシンを改良するためにやるべきことが多く、それにはユウキの知見が役立つ」と述べた。
これを受けたホンダ・レーシング( HRC )では、「Red Bull RacingとVCARBは、当社が技術支援を行うパワーユニットを搭載したマシンでF1を戦っています。我々( ホンダ&HRC )は、両チームのパートナーとしての立場から技術支援を行い、角田選手の活躍をサポートしていきます」と話している。
加えてHRCの渡辺康治 代表取締役社長は、「ホンダの育成プログラム出身で、F1ドライバーとして5年目を迎え大きく成長した角田裕毅選手が、強豪チームであるRed Bull RacingからF1に参戦することを嬉しく思います。彼のこれからの活躍に大いに期待しています」と語った。
ちなみに今回の角田選手のトップチームへの移籍は、一介のファンならずとも待ちに待った結果であり、実に喜ばしい。レッドブルレーシングへ暖かく送り出した古巣のレーシングブルズも、角田選手の移籍を喜んでいるようだ。
しかしレッドブル・レーシングの今季の最新鋭マシンは、フェルスタッペン選手のドライブでも時に中団グループから抜け出せないことがあり、現段階ではトップマシンとは言えない状況下にある。そういう意味でレッドブル・レーシングが言う「マシンの改良にユウキの知見が役立つ」は率直な意見だ。
その一方で、低迷を極めていたローソン選手は、常にドライバーへ厳しい処遇を行うレッドブルレーシングチームであるゆえに、むしろ復活のチャンスを与えられるという幸運を掴んだ。
対して角田選手は鈴鹿ラウンドが、まだ開幕3戦目とは言え、シーズンの途中からチームをスイッチすることへのリスクがない訳ではない。何せ鈴鹿ラウンドの開幕までは僅か1週間しか残されていないのだ。むしろこの1週間は、マシン開発という領域で角田選手の真の力量が試されることになりそうだ。しかしこれで良い結果に繋げられれば、彼は、いずれ2026年シーズン突入前の段階でストーブリーグに於ける台風の目になれるかもしれない。
角田裕毅選手のプロフィール
生年月日:
2000年5月11日生まれ
出身地:
神奈川県相模原市
レーシングキャリア概要:
2016年 鈴鹿サーキットレーシングスクール・フォーミュラ(SRS-F)卒業
2017年 JAF-F4 東日本シリーズ シリーズチャンピオン・日本一決定戦 優勝
FIA F4日本選手権 シリーズ 3位
2018年 FIA F4日本選手権 シリーズ チャンピオン
2019年 FIA F3選手権 シリーズ 9位(Jenzer Motorsport)1勝 表彰台3回
ユーロフォーミュラ・オープン・チャンピオンシップ シリーズ4位(Motopark)
2020年 FIA F2選手権 シリーズ 3位(Carlin)3勝 表彰台7回 ポールポジション4回
2021年 FIA F1世界選手権 年間ドライバーズランキング14位 最高位 4位
2022年 FIA F1世界選手権 年間ドライバーズランキング 17位 最高位 7位
2023年 FIA F1世界選手権 年間ドライバーズランキング 14位 最高位 8位
2024年 FIA F1世界選手権 年間ドライバーズランキング 12位 最高位 7位
2025年 FIA F1世界選手権 年間ドライバーズランキング 13位 最高位 12位
※第2戦中国グランプリ終了時点