球体を移動時の駆動用途に使用する「TriOrb BASE」など、柔軟性の高い搬送機の実現を目指す九州大学発のベンチャー企業TriOrb(トライオーブ)は9月20日、経済産業省が推進するグローバル・スタートアッププログラム「J-Startup プログラム」の地域版「J-Startup KYUSHU」の対象企業として選定された。
上記の「J-Startup」は、グローバルに活躍するスタートアップを創出するために経済産業省が2018年より推進するスタートアップ企業の育成支援プログラム。
2020年から「J-Startup」プログラムの地域展開が始まり、九州では2021年12月に政府機関・県・政令市・関係組織が参加した連携プラットフォームを構築し、「J-Startup KYUSHU」の取り組みが行われてきた。
J-Startup公式サイト:https://www.j-startup.go.jp/startups/
九州経済産業局資料:https://www.kyushu.meti.go.jp/press/2409/240918_3_1.pdf
九州経済産業局公式発表:https://www.kyushu.meti.go.jp/press/2409/240918_3.html
今回、選定の選択肢となった「TriOrb BASE」は、従来の車輪式やオムニホイール式とは一線を画す、球体を駆動部とする全く新しい移動体となっている。TriOrb(トライオーブ)社では同技術により、あらゆる方向へのスムーズな移動と高精度な位置制御が可能となり、製造現場での生産ラインの柔軟性と効率性を飛躍的に向上させると謳っている。
その構造は、3つの球体と3つのモーターを介して周囲360度を自由自在に走行できるもの。1つのモーターが2つの球を回し、もうひとつの1つの球は2つのモーターから運動ベクトルを受け取る仕組みだ。
サイズは全高15cm、最小全幅45cmというコンパクトな躯体でありながら1台で300kgまでの積載物の搬送・けん引が可能としている。制御はミリ単位で移動でき、制御プログラミングの言語はC++とPythonに対応する。
従ってTriOrb BASEは、陸上のドローンのように縦横無尽に動く。先の構造を活かして高精度な位置決めと高耐荷重を実現することで、単独での搬送だけでなく、複数台を連携させて、長尺物や重量物の搬送にも対応するフレキシブルな搬送システムを提供できる建て付けとなっている。
また、顧客の仕様に応じたカスタマイズが可能で、専用搬送設備に頼ることなく、効率的でダイナミックな生産体制の実現を推進するとしている。
TriOrbでは、こうしたTriOrb BASEを活用した新たな搬送システムの開発を通じて、製造現場における生産性の向上や自動化を推進し、地域産業の発展にも寄与。今後も革新的な技術で、製造業界の変種変量生産、労働人口の減少、DX推進といった課題解決に取り組み、さらなる飛躍を目指していくと話している。