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2023年4月25日【社会インフラ】

第2種D-Call Netの試験運用を千葉県で開始

坂上 賢治

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通信型ドライブレコーダー画像からドクターヘリの早期出動を支援する仕組みへ

 

認定NPO法人救急ヘリ病院ネットワーク( HEM-Net )、東京海上日動火災保険、プレミア・エイドの3者は4月25日、交通事故におけるドクターヘリの迅速な出動の拡大を図るため、通信型ドライブレコーダーによる事故自動通報サービスを発展させた「第 2 種 D-Call Net」の試験運用を千葉県で開始する。

 

3者は、通信型ドライブレコーダーによる事故自動通報サービスを発展させて、世界初(HEM-Net 調べ)となる画像活用型救急自動通報「第2種D-Call Net」の研究開発を重ねて来た。

 

そうしたなか今般、千葉県内の消防指令台とドクターヘリ基地病院に対し、交通事故発生後速やかにD-Call Net 情報を通報する準備が整った事から、今年4月から第2種 D-Call Net の試験運用を始動させたもの。

 

 

ちなみにHEM-Netは、交通事故負傷者の救命・後遺症軽減のため、交通事故発生時にドクターヘリの迅速な出動に向けて救急通報をする事が出来る新車車載型救急自動通報「第1種 D-CallNet」を自動車メーカー等と協力して開発。この本運用は2018 年から行われている。

 

これを踏まえた第2種D-Call Netは、通信型ドライブレコーダーから自動送信されたデータと事故画像から、コールセンターのオペレーターが死亡または重傷の可能性が高いと判断した場合に、消防機関とドクターヘリ基地病院に対して通話内容と車両位置情報、送信可能な場合は事故画像など負傷者発生の通報を迅速に行う仕組みだ。

 

これにより、消防機関とドクターヘリ基地病院におけるドクターヘリ出動の判断を容易にして、ドクターヘリの迅速な出動を支援する。

 

第2種D-Call Netは、第1種の新車車載器に代えて( 第1種はコネクティッドカーに搭載のEDR/イベントデータレコーダー装置から送られるデータを用い、事故発生時にコールセンターへ自動発報。必要な場合はドクターヘリの出動要請も行うシステム )、損害保険会社が運用している自動車保険の付帯サービスである通信型ドライブレコーダーによる事故自動通報サービス( 2023年3月現在推定約250万台 )を土台にD-Call Net通報機能を付加して構成されている。

 

先行していた第1種が新車車載器を利用するのに対し、第2種では後付けのドライブレコーダーを利用するので、新車はもとより、これまで搭載が遅れていた軽自動車を始め既販車にも搭載出来るのがアドバンテージだ。

 

またドライブレコーダー画像により、事故時の傷害が大きくなりがちな相手の歩行者、自転車などや相手の自動車についても通報対象にできるなど、ドクターヘリ出動の対象拡大に大きく寄与する。

 

 

これまでは、HEM-Net・東京海上日動・プレミア・エイドの3者で先行研究開発を行って来たが、昨年2022年10月にHEM-NetのD-Call Net 研究会(会長:君津中央病院医務局長・救命救急センター長 北村伸哉)の傘下に、第2種D-Call Netワーキンググループを設置。

 

損害保険各社のコールセンター運営会社、ドクターヘリ基地病院、関係省庁等の参加を得て、幅広い検討を開始した。

 

より具体的には、ドクターヘリの出動が必要な重大事故と判断されうるキーワード( 多重衝突、大型トラック、乗員の意識喪失、健康起因の不安全運転など )を検討・策定。

 

実際にコールセンターのオペレーターがドライブレコーダーの事故映像からキーワードに該当すると判断した場合には、これまでの事故自動通報サービスに於ける消防機関への電話での通報に加えて、該当するキーワードを事故画像と共に消防機関とドクターヘリの基地病院に同時通報する機能を構築した。

 

これにより、より的確に救急車が出動できるだけでなく、重大事故に於けるドクターヘリの迅速な出動が可能となる見込みだ。

 

先行研究開発を行ってきた HEM-Net・東京海上日動・プレミア・エイドの3者は、これまでの研究成果を踏まえて、東京海上日動のドライブレコーダー付き自動車保険( ドライブエージェントパーソナルと法人ドライブエージェント )を通じて、2023年4月から千葉県内の消防機関とドクターヘリ基地病院に通報する第2種 D-Call Netの試験運用を開始する。

 

この試験運用では、画像を通報する場合と通報しない場合を試験的に設定し、効果評価も実施していく。また今後は、試験運用の対象地区を千葉県以外にも追加し、ドクターカー運用病院にも拡大して効果評価を行った上で、更に必要な改善を行いつつ本運用を目指す構えだ。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。