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2025年3月1日【イベント】

WEC緒戦、TRGのGR010ハイブリッド5・6位で完走

坂上 賢治

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2025年シーズンFIA世界耐久選手権(WEC)・第1戦カタール戦の決勝レース(1812km)が2月28日に開催され、トヨタ自動車傘下のTOYOTA GAZOO Racing(TGR)のGR010 HYBRIDが中盤及び最後列グリッドからスタートし10時間の長い戦いの中で粘り強い追い上げを見せ、5位と6位でレースを終えた。

 

TGRは、昨年2024年のマニュファクチャラーズタイトル防衛。更にドライバーズタイトル奪還・ル・マン24時間での勝利を目指し、全8戦で争われる2025年シーズン開幕戦のカタールへの挑戦で2台揃って着実に走破しポイント獲得を果たした。

 

 

セバスチャン・ブエミ選手、ブレンドン・ハートレー選手、平川亮選手のGR010 HYBRID 8号車は、苦戦した予選により最後列の17番手スタートから追い上げて5位フィニッシュ。小林可夢偉選手、マイク・コンウェイ選手、ニック・デ・フリース選手のGR010 HYBRID 7号車は6位続いた。

 

カタール戦に於いてトップでゴールラインを潜ったのは、フェラーリAFコルセ/フェラーリ499P。次いでAFコルセ/フェラーリ 499P、3位はフェラーリAFコルセ/フェラーリ499Pとなった。

 

現地時間午後2時に10時間で争われる長いレースのスタートが切られ、コンウェイ選手がdriveする7号車が7番手、ブエミ選手の8号車が17番手からスタート。

 

着実な追い上げで3時間を迎える頃には2台はトップ6まで浮上し、8号車はハートレー選手へ、7号車はコンウェイ選手がスティント終盤に高速でのスピンを喫しながらもすぐにコースへ復帰し、小林選手へと交代した。

 

 

その後レースは立て続けに2回のセーフティカー導入となり、順位が変動したが、2台のGR010 HYBRIDはトラブルなく走行を続けた。レースが再開されると、7号車の小林選手はポルシェ5号車をかわし、6位を走るハートレー選手の8号車に続く7位へ順位を上げた。

 

プッシュしながらも安定したドライバーの走りと、考えられた戦略が功を奏し、日が沈む頃にはハートレー選手の8号車は3位までポジションアップ。ライバル勢がトラブルに見舞われる中、7号車の小林選手も4位で続いた。レース経過5時間を迎える頃には、7号車の小林選手がドライバー交代直前に8号車をパスして3位と順位を入れ替えた。

 

 

7号車はデ・フリース選手、8号車は平川選手へとステアリングを引き継ぎ、レースは後半戦に突入。力強い走りで3位と4位を走行していたが、5時間過ぎのセーフティカー導入により上位勢の差は詰まり、トラブルから復帰してきたライバル勢の追い上げを受け、7号車は4位で、8号車は6位でコンウェイ選手とハートレー選手が再び走行に向かった。

 

なおTGRの2台を含むトップ6は、各チームが異なるタイヤ戦略を採ったこともあり、ピットのたびに順位を入れ替える、気の抜けないバトルを繰り広げた。レースが残り2時間を切ったところで、7号車は小林選手、8号車はブエミ選手へと交代。2台共に最後まで激しいトップ6での争いを続けた。

 

最後のピットストップで8号車が7号車をかわし、5位へと浮上。その後の50分間を無事に走り抜き、8号車が5位、7号車が6位でチェッカーを受け、2台で合計33ポイントを獲得した。

 

この結果、フェラーリが1-2-3フィニッシュとなった中、TGRは開幕戦を終えた時点で、マニュファクチャラーズランキングで3位につけた。TRGでは次戦、4月20日(日)に決勝が行われる第2戦イモラ6時間では今大会よりも上位を目指す構えとしている。

 

 

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小林可夢偉(チーム代表 兼 7号車 ドライバー):
 1-2-3フィニッシュを達成したフェラーリを祝福します。我々は全力を尽くしましたが、これが最良の結果でした。チームは素晴らしい仕事をしてくれました。もちろん、我々のクルマがパフォーマンス面でやや及ばなかったというのはありますが、それでも決勝ではペナルティを受けることも、また、大きなミスもなく最後まで走り抜きました。我々はベストを尽くし、今できる最大限の成果を引き出すことができました。残念ながら、優勝争いはできなかったので、今日のこの経験から学び、次戦ではもっと良いレースが戦えるよう努力していく必要があります。

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マイク・コンウェイ(7号車 ドライバー):
 正直なところ、この大会で5位と6位でフィニッシュできたというのは予想以上かも知れません。もちろん、レースではいつもさらに上位を目指してはいますが、トップを争える状況ではなかったことを考えれば、シーズン開幕戦でまずまずのポイントを獲得できたと思います。私自身としては、あまりうまく行かなかった一日で、少し残念ですし、次戦イモラへ向けて改善すべき点もいくつかありました。

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ニック・デ・フリース(7号車 ドライバー):
 全てを考慮し、総合的に見ればチームに取って悪くない結果だったと思います。今週は苦戦が続いていたので、決勝前から難しい闘いになることはわかっていましたが、レースを通して我々のクルマは少しずつ良くなっていました。我々はトラブルを回避し、良いポジションで戦うことができました。もっと上位でフィニッシュしたかったですが、レース前の想定を思えば、今日はまずまずの結果です。

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セバスチャン・ブエミ(8号車 ドライバー):
 実際のところ、今日の結果はチームの素晴らしい努力の賜物です。ミスなく、ペナルティを受けることもなく、とても良い戦略で戦えました。5位と6位以上の結果は望めなかったと思いますし、チーム全員が本当に頑張ってくれた結果で、とても満足しています。我々は全てのレースで上位を争うことが目標です。今回はそれを果たすことができませんでしたが、今のクルマから最大限の結果を引き出せましたし、次戦はもっと強くなれるよう頑張ります。

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ブレンドン・ハートレー(8号車 ドライバー):
 本当に上手くレースを戦うことができ、とても楽しめました。私の2度目のスティントでは、毎周予選ラップのように走ることができました。2台揃ってトップ6フィニッシュを果たせたというのは、公式練習初日でのペースから考えると、大きな達成感があります。たとえ表彰台に上ることができなくとも、チームの尽力を誇りに思います。もちろん、ライバル勢と争うペースがなかったのは残念ですが、イモラでは上位争いができることを期待しています。

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平川亮(8号車 ドライバー):
 我々にとっては難しいレースウィークでしたが、今日の結果には満足しています。とても厳しいレースになることが分かっていた中で、最善は尽くせたと思います。チームを本当に誇りに思います。我々はミスなく、ペナルティも受けず、ピットストップもうまく行き完璧にレースを戦いました。全てがスムーズで、そういう意味ではこれ以上ないレースだったと思います。次のレースへ向けて、さらに上を目指して努力を続けます。

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WEC第1戦 カタール1812km 決勝結果
順位_No._ドライバー名_チーム/車種_周回_トップとの差

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1_50_

アントニオ・フオコ:ミゲル・モリーナ:ニクラス・ニールセン

フェラーリAFコルセ/フェラーリ 499P_318

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2_83_

ロバート・クビサ/イーフェイ・イエ/フィル・ハンソン

AFコルセ/フェラーリ 499P_318_2.348

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3_51_

アレッサンドロ・ピエール・グイディ/ジェームス・カラド/アントニオ・ジョビナッツィ

フェラーリAFコルセ/フェラーリ 499P_318_2.677

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4_15_

ドリス・バンスール/ラファエル・マルチェッロ/ケビン・マグヌッセン

BMW M TEAM WRT/BMW M Hybrid V8_318_9.907

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5_8_

セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮

TOYOTA GAZOO Racing/トヨタ GR010 HYBRID_318_19.628

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6_7_

マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ニック・デ・フリース

TOYOTA GAZOO Racing/トヨタ GR010 HYBRID_318_23.266

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。