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2024年12月19日【イベント】

TRG、2025年のドライバー4期生とコ・ドライバーを決定

坂上 賢治

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TOYOTA GAZOO Racing(TGR)は12月19日、WRCで活躍できる日本人ドライバーの発掘・育成を目指すTGR WRCチャレンジプログラムの4期生セレクションの最終選考を12月7日から13日に掛けてフィンランドで実施。

 

選考の結果、尾形莉欧選手、柳杭田貫太選手の2名が4期生のドライバーとして2025年よりプログラムに参加させることを決めた。また、10月末に実施したプログラム初のコ・ドライバーセレクションの結果、前川富哉選手がコ・ドライバーとしてプログラムを開始する。

 

今年度のセレクションは、10月下旬に富士スピードウェイで実施した1次選考、2次選考からスタート。100名の候補者がフィンランドから来日した講師陣の前でスキルを試し、6名が2次選考を通過した。

 

コ・ドライバーとしてプログラムを開始する前川富哉選手(写真向かって右側)

 

最終選考には、モリゾウチャレンジカップでシーズンチャンピオンとなった山田啓介選手が合流。7名は、フィンランドの北部、ラップランドで約1週間にわたるトレーニングキャンプに参加し、フィジカルテストおよび様々な車両での氷上走行に取り組んだ。

 

候補者たちは雪上および氷上での走行経験はほとんど無かったが、全員が高いポテンシャルを発揮し、講師陣は全体のレベルを高く評価した。昨年に引き続き今年も難しい選択となったが、多くの議論の末、最終的に尾形莉欧選手、柳杭田貫太選手の2名を選んだという。

 

23歳の尾形選手はeモータースポーツ出身で、大学の自動車部ではジムカーナとダートトライアルを経験。一方、24歳の柳杭田選手は長年ドリフトの世界で活動しており、今年のモリゾウチャレンジカップでラリーのキャリアをスタートさせた。

 

両者ともにラリーの経験はまだほとんどないが、来年上旬にはフィンランドへ拠点を移し、集中的なトレーニングプログラムによって、ラリーでの成長を加速させる。

 

トレーニングではドライビング、ペースノート、フィットネスを包括的に行い、夏頃には前輪駆動のRally4車両でフィンランド国内やヨーロッパ内のラリーに参戦することを目標にしている。

 

また今年は、プログラム初となるコ・ドライバーのセレクションも実施した。5名のコ・ドライバーが10月末に東富士で実施した最終選考に参加し、ペースノートのリーディングスキルやその他の関連するスキルについて評価を受けた。

 

左からヨウニ・アンプヤ氏、尾形莉欧選手、柳杭田貫太選手、ミッコ・ヒルボネン氏

 

選考の結果、今年のモリゾウチャレンジカップに参加していた前川富哉選手が選出され、フィンランドでトレーニングを開始する。前川選手は2025年1月より、経験豊富なフィンランド人ドライバー、ヤルッコ・ニカラ選手とラリー参戦を開始する予定。

 

TGR-WRTには、既にGR YARIS Rally1でWRCにフル参戦している1期生の勝田貴元選手を始め、2025年はRally2でWRCイベントに多数参戦予定の2期生の小暮ひかる選手と山本雄紀選手、そしてRally3にステップアップする後藤正太郎選手と松下拓未選手が在籍しており、新しいドライバー、コ・ドライバーは先輩たちの背中を追いながら多くを学ぶことが期待されている。

 

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以下は選考した講師並びに参加が決まった選手達のコメントとなる

 

ミッコ・ヒルボネン氏(チーフインストラクター):富士スピードウェイで選考をスタートするプロセスは今年で2回目でした。フィンランドでの最終選考のメンバーのレベルは今年さらに上がったと感じています。

 

今年も優れたドライバーが集まり、全員が一週間を通して成長を見せてくれました。経験は少なくても素晴らしい素質を持っているドライバー、既にモータースポーツの経験があるドライバーなど、彼らのバックグラウンドは様々でしたが、実力の差は拮抗しており、全員が必死に努力する必要がありました。

 

運転の技術はもちろん重要ですが、私たちはプレッシャーのかかる中で彼らがどのようにパフォーマンスするかも重視しています。様々なクルマや状況で安定した走りができるか、タイムを計ったときに冷静に対応できるか、というような点で、リオとカンタは他のメンバーを上回っていました。

 

彼らにとっては本当に大変なのはこれからです。クルマの運転は高いレベルでできていても、より完成されたアスリートになるにはメンタル面やフィジカル面など、多くの要素が関わってきます。そしてペースノートに関してもやるべきことがたくさんあります。

 

プログラムがコ・ドライバー向けにも広げられたことは素晴らしいことで、トミヤは経験豊富なドライバーの横に乗って多くのことを学び、トップコ・ドライバーに必要とされるすべての要素をチームから学んでくれることを期待しています。

 

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尾形莉欧選手(ドライバ―):まずはホッとしています。昨年もこのセレクションを受けて最終選考で落ちてしまったので、今年再びチャレンジしてミッコとヨウニに認めてもらえたことがとても嬉しいです。自分はシミュレーターをメインでやってきて、大学に入ってからジムカーナやダートトライアルをやってきました。ラリーの経験はありませんが、このプログラムに参加することで、たくさんの経験を積んで、もっと上手くなれると思うのでとても楽しみです。

 

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柳杭田貫太選手(ドライバ―):発表まで不安な気持ちもありましたが、自分の名前が呼ばれて本当に嬉しかったです。氷上で様々なクルマに乗らせていただき、ライン取りや車の動かし方、ブレーキの使い方など、講師からたくさん的確なアドバイスをいただき、とても勉強になった一週間でした。チャレンジプログラムに参加することは自分にとって新しい人生の始まりだと思っているので、厳しい道のりになると思いますが、WRCのトップを目指して頑張っていきたいと思います。

 

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前川富哉選手(コ・ドライバー)
技術を磨くことが難しいと感じていたコ・ドライバーの育成がチャレンジプログラムで開始されるということで、またとないチャンスを絶対に掴みたいと思っていました。選んでいただけて本当に嬉しく思っています。

 

選考会を通してTGRの皆様と接する中で、すでに世界のレベルの高さを感じており、今後、日本では経験することが難しい環境や道でトップチームの技術を学べることがとても楽しみです。なるべく多くを吸収して技術を高め、次世代の日本のコ・ドライバーに希望を与える選手となれるよう全力で臨みます。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。