TOYOTA GAZOO Racingは3月1日、TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムに参加中の勝田貴元が2021年FIA世界ラリー選手権(WRC)第2戦アークティック・ラリー・フィンランドに、コ・ドライバーのダニエル・バリットと共にヤリスWRCで参戦。前戦ラリー・モンテカルロに続き、WRC自己最高リザルトとなる総合6位で完走し、2戦連続で選手権ポイントを獲得したことを発表した。
第2戦として予定されていたシーズン唯一のフルスノーイベント、ラリー・スウェーデンが新型コロナウイルスの影響により中止となり、その代替イベントとしてフィンランド北部を舞台とする「アークティック・ラリー・フィンランド」が、第2戦に組み込まれた。日程は2月26日(木)から28日(日)。
ラリーの中心となる都市ロヴァニエミは北極圏の入り口にあり、冬季は豊富な積雪に恵まれる。ステージ設定は、同じエリアで毎年1月に開催されるアークティック・ラップランド・ラリーと多くが重なったが、進行方向が逆であったり、新たなステージが設定されるなど、WRCのためにデザインされた、新規のラリーとして開催された。ロヴァニエミの周辺に展開するステージはその大部分が森林地帯のスノーロードで、最高速度が180km/h以上に達する超ハイスピードなセクションと、道幅が非常に狭くツイスティなコーナーが連続するテクニカルなセクションの両方がある、複雑なステージ構成のラリーとなった。
勝田は過去に3度 国内選手権として開催されたアークティック・ラップランド・ラリーに出場しており、ステージの特徴についてはある程度理解していたが、WRカーでの出場は今回が初めてであり、新たな挑戦となった。初日のデイ1は2本のステージをともに8番手タイムで走行し、総合順位は7位。デイ2では7番手タイムを5回記録し、総合7位を堅持。最終日のデイ3ではSS9で5番手タイムを刻み、その再走ステージのSS10では順位をひとつ上げ、前戦ラリー・モンテカルロに続き、自己ベストリザルトである総合6位で完走。8ポイントを獲得した。
勝田は何度か小さなミスはしたが、全体的に速さと安定性のバランスは良く、経験豊富なワークスドライバーと遜色ないタイムを何度も記録するなど、確かな成長を見せた。合計10本251.08kmのステージを走行し、同じくヤリスWRCを駆り総合5位に入った、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのエルフィン・エバンスとのタイム差は36.3秒と、ラリー全体を通してのパフォーマンスはこれまでで1番とも言える 充実した内容の1戦となった。
今シーズン、ヤリスWRCでWRC全戦に出場する勝田の次戦は、4月22日から25日にかけて開催される、第3戦「クロアチア・ラリー」。東ヨーロッパのクロアチアの首都、ザグレブを中心とするこのイベントがWRCとして開催されるのは今回が初めてであり、勝田は未知なるターマック(舗装路)ラリーに、バリットと共に挑む。
■Result
1 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (ヒュンダイ i20クーペ WRC) 2h03m49.6s
2 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ ヤリス WRC) +17.5s
3 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒュンダイ i20クーペ WRC) +19.8s
4 クレイグ・ブリーン/ポール・ネーグル (ヒュンダイ i20クーペ WRC) +52.6s
5 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ ヤリス WRC) +1m01.5s
6 勝田 貴元/ダニエル・バリット (トヨタ ヤリス WRC) +1m37.8s
■コメント
勝田貴元
この週末には満足していますが、さらにいい走りを見せたかったですし、ラリーが始まる前はもっといい結果を期待していました。ステージはとても楽しく、区間タイムでは何度か最速でしたが、いくつかの区間では少し慎重になりすぎてタイムを失ってしまいました。コンディションが安定している時は自信を持って走れましたが、雪が緩んでいたり、大きな轍があるところでは、ドライビングを改善する必要性を実感しました。表彰台に立ったり、優勝するためには、その部分に集中して取り組み、改善しなくてはなりません。まだまだ学ぶべきことは多くありますが、モチベーションは以前よりもさらに高まっています。
ユホ・ハンニネン(インストラクター)
私としては、タカがヤリスWRCで出場したラリーの中で、今回がベストだったと思います。もっと速く走り、より良い結果を得ることを彼が望んでいたのは知っていますが、それでもフィニッシュ時の上位選手とのタイム差は非常に小さく、間違いなくWRCでは過去最小の差でしたので、その点でも良いリザルトだと思います。大きなミスはなく、終始走りは安定していました。もっと速く走ることもできたはずですが、クリーンで安定した走りを続けるためには、少しペースを落とす必要があることを彼は理解していましたし、それはとても重要なことです。今回のような結果が、今後のラリーで自信となることを確信しています。