豊田通商は、準天頂衛星システム「みちびき」(*1)を活用した車線単位の高精度ルートガイダンスシステムの実証事業を、2018年3月(予定)に、タイ・バンコク市で行うことを発表した。
この実証事業は日本貿易振興機構(JETRO)の「日ASEAN新産業創出事業」第二回公募の採択案件で、実証実験は2018年3月の実施が予定されている。
豊田通商グループは、世界有数の交通渋滞国タイで、GPSによる単独測位を活用した日本方式の交通渋滞情報生成・配信事業を推進。
GPS受信機を搭載したタクシー(プローブカー)から直接収集される位置・時刻などのプローブ情報を基に生成した交通渋滞情報を、交通情報アプリ「TSQUARE」で配信するとともに自動車メーカーなどへ提供している。
今回の実証事業では、「みちびき」と「MADOCA」(*2)の活用により、現行システムでは不可能な車線単位のプローブ情報を収集、車線単位の高精度ルートガイダンスシステムの実用化を目指す。
同社は、本実証を通じて、交通情報サービスの向上によるタイの渋滞緩和へのさらなる貢献を図るとともに、「高精度測位技術を活用した事業領域」におけるビジネス拡大を狙うとしている。
[実証実験の概要]
本実証実験は、バンコク市内を走るプローブカーに、「みちびき」からの信号と「MADOCA」の補正データを受信可能な「高精度多周波マルチGNSS(*3)受信機」を搭載して行う。
従来のGPSに加え、「みちびき」や「MADOCA」から収集するセンチメートル級のプローブ情報を基に、車線単位の高精度交通渋滞情報の生成、高精度ルートガイダンスを配信するための各システムなどの技術評価を行い、最適なルートの提供を目指す。
<実証事業期間> 2017年12月~2018年4月
<現地実証実験期間> 2018年3月(予定)
<実証地> タイ国バンコク市
「みちびき」は日本の衛星測位システムで、政府が提唱する日本が目指すべき「Connected Industries」の中核基盤技術として期待されている。
豊田通商は、この実証事業に関して、「みちびき」を活用した次世代物流技術の確立に貢献するとともに、タイ国の長期ビジョン「タイランド4.0」で求められている、イノベーションや生産性の向上、貿易の多角化を通じた持続的な付加価値を創造できる経済社会の実現にも寄与するとしている。
[主な参加団体と本実証事業における役割]
*1 みちびき
準天頂衛星システムQZSS(Quasi-Zenith Satellite System) .準天頂の衛星が主体となって構成されている日本の衛星測位システム (衛星からの電波によって位置情報を計算するシステム)。
*2 MADOCA (Multi-GNSS Advanced Demonstration tool for Orbit and Clock Analysis)
宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発した衛星信号補正データ生成システム。複数GNSS*3対応の精密軌道クロック推定ソフトウエア。
*3 GNSS (Global Navigation Satellite System)
全地球航法衛星システム。GPS・GLONASS・Galileo・準天頂衛星(QZSS)などの衛星測位システムの総称。