豊田通商は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した「アジア省エネルギー型資源循環制度導入実証事業」の一つである「タイ王国で発生する使用済自動車の効率的かつ適正な資源循環システム構築」を、6月12日に正式に受託した。
この実証事業については、NEDOとタイ工業省(MOI)、工業団地公社(IEAT)の間で今年2月にMOU(了解覚書)が締結されている。
1.背景
タイでは、2010年頃からの急激な自動車の販売台数増加に伴い、使用済自動車(ELV:End of Life Vehicle)の急増が予測されている。
しかしELVを適正に処理するインフラが整備されていないため、フロンの大気放出による地球温暖化や廃油・廃液による土壌汚染・水質汚濁といった環境被害が懸念されている。
また、タイでは日本の「自動車リサイクル法」のようなELVに特化した規制、許可に関する法制度が整備されていないため、本格的にELVが発生する前に、制度・技術の両面でELVを適正に処理するためのインフラ整備など、対策を講じることが大きな課題となっていると云う。
2.実施内容
豊田通商は、以下の通り実証事業を行う。
<制度導入>
タイにおけるELVの適正処理に関する制度設計の検討。
<技術導入>
①フロン回収などの有害廃棄物に対する環境に配慮した解体工程の確立。
②日本より解体専用重機を導入し、解体作業効率の向上をはかる。
③国内ではリサイクルできない有用金属を日本の技術で資源化することでELV1台当たりの付加価値を上げる。
豊田通商は、環境配慮と経済効率性を両立させた資源循環システム構築を実証し、また、「トヨタ環境チャレンジ2050」への活動をサポートしていくとしている。
[各社の役割]
・豊田通商:実証事業の全体設計
・Green Metals(Thailand):ELV解体モデル工場を設置し技術面での実証実施
・TDEM(※1)・TMT(※2):タイでの自動車リサイクル制度構築サポート
・トヨタ自動車:自動車リサイクル制度に関する助言
・DOWAエコシステム:タイにおける廃棄物処理の助言
<実施体制>
※1)TDEM:Toyota Daihatsu Engineering & Manufacturing Co., Ltd.
※2)TMT:Toyota Motor Thailand