豊田通商は11月19日、グループ会社のCFAOと共同設立した「Mobility 54 Investment(以下、モビリティ54)を通じ、ウガンダで電動バイクの製造・販売および電動バイク向けバッテリー交換ステーション事業を展開する「Zembo(所在地:フランス/以下、ゼンボ社)」に対して、新株予約権付転換社債(※1)の引き受けによる出資を決定したと発表した。
アフリカで最も人口の多い国のひとつであるウガンダ(約4,570万人、2020年時点)では、中間所得層の台頭などにより、急速な都市化が進行、首都カンパラの人口は、2024年までに410万人に達する見通し(※2)であると云う。
そのような中、約60%の人々が市内移動に利用するバイクタクシー(ボダボダ)は、高い利便性や他の公共交通手段が少ないことを背景に今後も増加し続けることが予測され、都市部の交通渋滞や大気汚染がより深刻化するといった懸念があるほか、アフリカ諸国では、ガソリン価格が先進国と同等であることから、燃料代がバイクタクシー運転手の大きな負担となるなど、交通産業における重要な社会課題の一つに。これら社会課題の解決に繋がるものとして、電動バイクの普及に大きな期待が寄せられていると云う。
ウガンダで2018年に設立されたゼンボ社は、アフリカのカーボンニュートラルの実現やドライバーの待遇改善を目指し、電動バイクの組み立て、小売販売や自社リース、バッテリー交換ステーション事業などを展開。別々に輸入したキットとバッテリーから電動バイクを現地で組み立て、小売していることに加え、自社ならびにモビリティ54が出資するTugende社を含めた提携金融機関を通じた割賦販売も行っている。
また、バッテリー交換ステーション事業では、現在カンパラ市内で21カ所のステーションを運営(月平均約1万回の利用)。一部ステーションに太陽光パネルを設置することで、Well to Wheel(ウェル・ツー・ホイール/※3)によるカーボンニュートラル実現にも取り組んでいると云う。
「脱炭素社会移行への貢献」に向けて策定した温室効果ガス排出目標と関連事業強化のための投資戦略を加速する豊田通商グループは、今回その一環として、ゼンボ社への出資を決定。
今後、アフリカ域内に於けるグループの自動車事業ネットワークを最大限に活用し、ゼンボ社の電動バイクおよびバッテリー交換ステーション事業をウガンダ以外の国・地域へ積極展開するほか、電池事業や太陽光パネル事業との協業など、既存事業・パートナーとのシナジー創出にも取り組んでいく予定だと云う。
豊田通商グループは、モビリティ54を通じて、アフリカで革新的な技術・サービスを展開するパートナー企業へ積極的に投資を行い、事業の拡大やサービス拡充への支援、既存事業との相互シナジーを創出していくことで、より包括的にアフリカの社会課題の解決に取り組んでいくとしている。
※1)新株予約権付転換社債:一定の条件で発行体の企業の株式に転換できる権利が付いた社債。
※2:(World Population Review)Kampala Population 2021:https://worldpopulationreview.com/world-cities/kampala-population。
※3:車両に燃料を充填してから車両走行までのCO2排出量を対象とするTank to Wheelに対して、燃料採掘から車両走行までのCO2排出量を対象とする考え方。
[会社概要]
<ゼンボ社>
– 会社名:Zembo SAS
– 所在地:フランス
– 展開国:ウガンダ
– 代表者:Founder & President Étienne Saint Sernin(エティエン・サン・セリン)
– 設立:2018年 5月
– 事業概要:電動バイクの組立、販売、バッテリー交換ステーション事業
<モビリティ54>
– 会社名:Mobility 54 Investment SAS
– 所在地:フランス・セーブル
– 株主構成:豊田通商 70%、CFAO 30%
– 代表者:President & CEO 渡邊 剛
– 設立:2019年 10月
– 事業概要:
アフリカ向けスタートアップ企業などへの出資・融資。豊田通商・CFAOグループ事業とのシナジー創出。
■Zembo:https://www.zem.bo/