豊田通商は、高精度測位技術を活用した事業領域における協業を目的に、センチメートル級の衛星測位技術を持つマゼランシステムズジャパンに出資したことを、1月25日に発表した。
日本版GPSといわれる準天頂衛星システム(QZSS)「みちびき」は、4号機打ち上げにより2018年4月から4機体制の本格運用が開始される。
これを機に、高精度な衛星測位が可能となり、産業用、民生用共に高精度測位の需要が拡大することが期待されている。
マゼランシステムズジャパンは、この「みちびき」を活用した高精度単独測位受信機を世界で初めて開発・販売した企業で、この分野でのリーディングカンパニーとして知られている。
豊田通商は本出資を通じ、同社の高精度測位技術を自動車および農機・建機の自動運転システム向けにグローバル展開していくとともに、その技術を活用したさまざまなサービスを創出し、「高精度衛星測位ビジネス」という新しい市場を拡大していくことを狙うとしている。
具体的なサービスとして、車線単位の渋滞情報配信やV2X(*1)などの高度ITSサービス、ドローンや自走ロボットを活用した宅配などの無人化サービス、農機・建機の自動化によるスマート農業やi-Construction(*2)向けサービスなどを検討していくと云う。
豊田通商は、これらの取り組みを通して、安心安全で経済的な道路交通社会の実現や高齢化・労働者不足が深刻な課題となっている農業・建設業における省力・軽労化といった社会課題の解決に貢献していきたいとコメントしている。
なお、この出資については、豊田通商の社内ファンド「ネクストテクノロジーファンド」の案件となる。
[マゼランシステムズジャパン概要]
会社名:マゼランシステムズジャパン株式会社
所在地:兵庫県尼崎市
設立年:1993年7月(創業:1987年2月)
代表者:代表取締役 岸本 信弘
事業概要:超高感度・高精度衛星システムに関する研究・開発とライセンシング、およびGNSS関連アプリケーションに関するソフトウエア並びにハードウエアの保有
*1)V2X(Vehicle to Everything、車車間・路車間通信):
自動車と他の自動車の間(V2V:Vehicle to Vehicle、車車間)、あるいは自動車と信号機や道路標識などのインフラ(V2I:Vehicle to Infrastructure、路車間)がクラウドを通さずに直接に相互通信することによって、自動車事故や渋滞を低減することを目的とした無線通信システム。
*2)i-Construction :
建設現場の生産性向上に向けて、測量・設計から、施工、さらに管理にいたる全プロセスにおいて、情報化を前提とした新基準。
マゼランシステムズジャパンのHP: http://www.magellan.jp/
内閣府宇宙開発戦略推進事務局 準天頂衛星システム(みちびき)HP :http://qzss.go.jp/