豊田通商は11月15日、グループ会社である“CFAO”と共同設立した“Mobility 54 Investment(以下、モビリティ54)”を通じて、ケニアで電動バス事業を展開する「BasiGo(バシゴー)社」への100万米ドル(約1.5億円)の出資を決定したと発表した。
1.豊田通商グループのアフリカに於ける電動モビリティ戦略
豊田通商グループは、サステナビリティ重要課題(マテリアリティ)の一つに掲げる「脱炭素社会移行への貢献」に向けて、温室効果ガス(以下、GHG)の排出削減目標および投資戦略を策定し、関連事業を加速。アフリカに於いても、中長期的なカーボンニュートラル実現に向けて、電動モビリティの経済圏構築を目指している。
これまで、モビリティ54では、電動バイク事業を展開する「Zembo社」、バッテリー事業を展開する「Aceleron社」への出資を通じて、電動バイクの経済圏構築に取り組んできたが、今回、「BasiGo社」への出資により、新たに電動バス事業に参入。グループのアフリカ域内の自動車事業ネットワークを中心に、スタートアップの革新的技術の活用や既存事業を掛け合わせることで、電動モビリティの事業拡大を加速させる。
2.アフリカのバス市場の課題
アフリカの都市部では、バスでの移動が人々の生活にとって必要不可欠であるが、ほぼ全てのバスはディーゼルかガソリン車となっている。
ケニアでは、約3万台の乗り合いバスが普及しており、都市部に於ける大気汚染が深刻化。また、アフリカでは、他の地域の先進国と比較して経済規模や収入が低い一方、ガソリン価格は同等であるため、燃料代がバスオーナーの大きな負担となっており、アフリカの公共交通産業での社会課題の一つに。
電動バス普及により、GHG排出削減や公共交通産業の収益性向上といった社会課題の解決に繋がることが期待されていると云う。
3. BasiGo社について
2021年にケニアで設立されたBasiGo社は、アフリカのカーボンニュートラルおよび公共交通事業者の待遇改善を目指し、電動バスの輸入・販売、バッテリーのリース、充電ステーションなどの電動バス事業を展開。電動バスメーカーとパートナーを組んで、電動バスとバッテリーをケニアに輸入し、電動バスをバス運行事業者に販売、バッテリーは自社保有して、“Battery as a Service”プラットフォームを通じて、バス運事業者にリースしている。
3月からは、現地の交通事業者とパートナーを組み、ケニアの首都ナイロビで、中国BYD社の電動バス2台の運行を開始。静粛性や快適性など乗客から好評で、ディーゼルバスよりも乗車率が高く、電動バス購入検討の引き合いも高いことから、今回の出資を通じて、今後段階的に電動バスを増やしていく計画だと云う。
豊田通商グループは、「WITH AFRICA FOR AFRICA(ウィズ・アフリカ、フォー・アフリカ)」のスローガンの下、モビリティ54を通じて、アフリカで革新的な技術・サービスを展開するパートナー企業へ積極的に投資を行い、事業の拡大やサービス拡充への支援、既存事業との相互シナジーを創出していくことで、より包括的にアフリカの社会課題の解決に取り組んでいくとしている。
[BasiGo社概要]
– 会社名:BasiGo, Inc.(バシゴー)
– 所在地:米国・デラウェア
– 展開国:ケニア
– 代表者:Co-Founder & CEO Jit Bhattacharya(ジット・バッタチャリヤ)
– 設立:2021年3月
– 事業内容:電動バスの販売、バッテリーのリース、充電
■BasiGo(英語):https://www.basi-go.com/