豊田通商とグループ会社のCFAO SAS(以下、CFAO)は10月16日、昨年10月に共同設立した「モビリティ54(Mobility 54 Investment)」を通じて、ケニアでバス交通事業者向けの運行管理システムを開発・提供する「Data Integrated(データ・インテグレイテッド/以下、DIL)へ投資したと発表した。
ケニアでは、約3万台の「マタツ」と呼ばれる乗り合いバスが古くより市民の移動手段として普及しており、首都ナイロビでは通勤者の約50%がマタツを利用していると云われている。
このマタツのオーナーは、主に個人事業主で、運行組合に所属しているが、それぞれ個別に運転手と運行従事者(*)を雇いバス事業を営んでいる。
そのため、運行情報が整理されておらず、乗客にとっては、目的地に向けていつどのバスに乗ればよいかなどの基本的な情報が不透明。また、現場の運行従事者が運賃や収益を管理しているため、オーナーにとっては、日々の乗客数や収益情報も不透明であり、顧客サービスの改善や車両入れ替え・メンテナンス時期の判断が難しいなどの課題が生じていると云う。
*運行従事者:バス乗り場で乗客への乗車誘導や、運賃の回収・管理を行う人。
DILは、ナイロビを中心に、マタツ運行組合のもとで使用されている約3,000台のバスに対して運行管理システム、発券システムを開発・提供しているスタートアップ。地場の運行業者との緊密な連携が求められる同事業領域で、現場と向き合いながら事業者側の課題解決のためのシステムを開発し、運行情報と乗車情報を整流化することで、バス事業管理の品質向上に寄与していると云う。
また、DILは、新型コロナウイルス感染症の感染防止策として、公共交通機関でのキャッシュレスシステム導入の義務化を予定しているケニア政府から、公式に指名を受け、自らの事業者ネットワークを活用し、バスのキャッシュレスシステムの導入と、乗客向けのバス検索・予約・決済アプリの配信を開始。政府と連携した衛生的なバスサービス運営に貢献している。
■マタツ事業相関図とDILが提供するサービス
豊田通商グループは、これまで主に車両とアフターサービスの提供というハード面で、アフリカでのモビリティ事業に取り組んできたが、今回のDILへの投資は、MaaS/CASE事業といったソフト面での取り組みを加速するもの。
同社は、ソフト/ハード両面での取り組みを通じて、より包括的にアフリカのモビリティ社会に関わり、今後も現地の課題解決に取り組んでいくとしている。
[会社概要]
<DIL>
– 会社名:Data Integrated Limited(データ・インテグレイテッド・リミテッド)
– 所在地:ケニア・ナイロビ市
– 代表者:Founder & CEO: Ms. Mary Mwangi(メアリー・ムワンギ)
– 設立:2012年
– 事業内容:ケニアでの交通事業者向けシステム開発・販売事業
<モビリティ54>
– 会社名:Mobility 54 Investment SAS
– 所在地:フランス・セーブル市
– 株主構成:豊田通商 70%、CFAO 30%
– 代表者:President & CEO 渡邊 剛
– 設立:2019年10月
– 事業内容:
アフリカ向けスタートアップ企業などへの出資・融資
豊田通商・CFAOグループ事業とのシナジー創出
■Data Integrated(英語):https://dataintegrated.co.ke/