豊田通商は1月11日、愛知県・名古屋港と福島県・小名浜港で、港湾および周辺地域における荷役機械、モビリティの燃料電池化(以下「FC化」)を含む水素の利活用モデル構築に向けた実現可能性調査を、2022年1月より順次開始すると発表した。
なお、この調査は国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下「NEDO」)の調査事業「名古屋港を中心とした地域における水素利活用モデル構築に関する調査」および「小名浜港を中心とした地方都市の物流・人流のFC化モデル構築に向けた調査」の公募採択を受けている。
世界120以上の国・地域が2050年カーボンニュートラル実現を目標に掲げる中、日本も温室効果ガス(Greenhouse Gas、以下「GHG」)を2030年までに2013年比46%削減、2050年までにカーボンニュートラルを実現することを表明。企業を後押しする産業政策「グリーン成長戦略」では、GHG排出削減のために取り組みが不可欠だと考えられる分野として、エネルギー関連産業や輸送・製造関連産業など、14の重要分野を設定している。
その中の一つである物流・人流・土木インフラ分野の重要拠点である港湾においては、水素などのクリーンエネルギーを活用しGHG排出を全体としてゼロにする「カーボンニュートラルポート(以下「CNP」)」を形成し、2050年までの港湾におけるカーボンニュートラル実現を目指す取り組みも推進されている。
■名古屋港を中心とした地域における水素利活用モデル構築に関する調査
<名古屋港特徴>
・取扱貨物量が国内港湾最大で、港湾荷役機械、モビリティなどのFC化によるGHG排出削減のポテンシャルが高い
・国土交通省が主導するCNP形成に向けた検討に昨年度から先行して取り組んでいる港の一つ
・ゼロエミッション化に向けて先進的な取り組みを行う米国ロサンゼルス港と環境面などでの協力について覚書を締結しており、ロサンゼルス港での取り組みの知見・ノウハウの活用が期待できる
<調査内容>
・名古屋港の港湾荷役機械、大型トラック、フォークリフトおよび周辺公共交通のFC化の実現可能性調査
・同地域での水素製造、供給の実現可能性調査
・年代別の最適な水素利活用トータルシステムの検討および成立要件の洗い出し
<調査期間(予定)>
2022年1月~2023年2月
<実施企業>
豊田通商株式会社、 株式会社豊田自動織機、 東邦ガス株式会社、 名古屋四日市国際港湾株式会社、 日本環境技研株式会社
■小名浜港を中心とした地方都市の物流・人流のFC化モデル構築に向けた調査
<小名浜港特徴>
・いわき市はエネルギー転換に積極的で民間主導でFCEV「MIRAI(ミライ)」を100台超導入
・バイオマスチップや石炭などの燃料の輸入港として、輸入燃料を港からトラックで輸送
・国土交通省が主導するCNP形成に向けた検討に昨年度から先行して取り組んでいる港の一つ
<調査内容>
・小名浜港を起点とした、バイオマスチップなどの燃料の横持トラックと周辺の物流トラックやバス・タクシーのFC化に向けた実現可能性と水素需要ポテンシャルを調査
・同地域での水素製造、供給の実現可能性調査
・年代別の最適な水素利活用トータルシステムの検討および成立要件の洗い出し
<調査期間(予定)>
2022年1月~2023年2月
<実施企業>
豊田通商株式会社、一般社団法人いわきバッテリーバレー推進機構、日本環境技研株式会社