創られた電気と水は、ロングビーチ港のトヨタの物流拠点で使用。さらに水素は併設する水素拠点でFCトラックに供給
トヨタ自動車の北米事業体「Toyota Motor North America(TMNA)」は、再生可能エネルギーから水素・電気・水を生み出す施設の建設に乗り出す。同拠点は、実に1日で米国の一般家庭約2,350世帯分エネルギーを生むという。(坂上 賢治)
建設場所は、米国カリフォルニア州ロングビーチ港。当地でTMNAと組み、燃料電池発電事業を手掛けるのは、「フューエルセルエナジー社(FuelCell Energy)である。(坂上 賢治)
両社は、当地で発電の原資となる水素を造り、2.35メガワットの発電を行う燃料電池(FC)発電所を設ける。それと同時に、車両供給用の水素ステーションも併設した「トライジェン(Tri-Gen、これは水・電気・水素の3種類を生み出すTri-Generationを意味する名前)」を建設する。
このTri-Genのエネルギー生産の仕組みは、まず同州の畜産場の家畜排せつ物や、汚泥等の廃棄物系バイオマスから水素を取り出す。
その過程は「溶融炭酸塩型燃料電池(固体高分子型燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell)を用い、電解質に溶融炭酸塩を適用して600~700℃で動作させる高温型の装置)」を介して発電を行うプロセスを踏む形。
結果、再生可能エネルギーから水素・電気・水を生み出す施設になる。なお建設は2018年より開始し、2020年頃の稼働開始を予定している。
フューエルセルエナジー社がカリフォルニア大学アーバイン校と共に開発したシステムにトヨタ自動車が着目
このトライジェンと云うシステムに関しては、これまでフューエルセルエナジー社が、米国エネルギー省、カリフォルニア州大気資源局(CARB)、同州の南部沿岸大気品質管理区(AQMD)などの公的機関や、燃料電池関連技術の研究で技術の核となっているカリフォルニア大学アーバイン校と共に取り組みを進めてきた。
今回、これを評価したトヨタがフューエルセルエナジー社と協力。トライジェンの事業化(商用化)に向けて乗り出す。
トヨタでは、この取り組みを通じて、水素社会実現に向けたFC技術の応用拡大や水素インフラ拡充を推進。これに加えて港湾エリアの大気改善に取り組むカリフォルニア州エネルギー委員会(CEC)やCARB、AQMDの環境改善目標達成にも貢献していく構えだ。