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2023年3月9日【エネルギー】

トヨタ、デンソー福島工場で水素電解装置の稼働を開始

坂上 賢治

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水電解装置の外観イメージ

 

トヨタ自動車は2021年6月以降、福島県との水素・技術を活用した未来のまちづくり活動を進めている一環で、デンソー福島工場で水素を利活用した再生可能エネルギーの自家消費を始動させる。

 

具体的には、「MIRAI」のFCスタックなどを流用し、水を電気分解して水素を製造する水電解装置を新たに開発。今後の普及促進に向けた技術実装の場として、今年3月から先のデンソー福島福島工場で、クリーンな水素を工場ガス炉で自家消費する「水素地産地消」モデルの構築に取り組んでいく。

 

なおこのデンソー福島工場に於ける水素利活用は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業としての実施となる。

 

水電解装置の内部構造

 

水電解装置の特徴は、先の通りで「MIRAI」やFCバス「SORA」に搭載しているFCスタックを流用した水電解装置となっており、トヨタが長年にわたるFCEV開発で培ってきた技術、世界の様々な使用環境の中で蓄積してきた知見・ノウハウを活かして新開発した。

 

その特徴は、以下の通り

 

水を電気分解するスタック(水電解スタック)に使用しているセルは、2014年12月の初代「MIRAI」発売以降、700万枚以上(FCEV約2万台分)の量産・使用実績に裏付けられた高い信頼性を確保。

 

トヨタは、FCEV用に開発し初代MIRAI以降搭載しているスタックのセパレーターにチタンを採用し、耐食性の高いチタンの特性を活かして水電解装置に求められる耐久性の向上を追求。長期にわたり安心してお使いいただけるよう、約8万時間の稼働を経ても初期とほぼ変わらない性能維持を目指して開発。

 

水電解スタックの生産過程において、FCEV用FCスタックの部品及びFCスタック生産設備の90%以上の流用/共用が可能であり、これによる量産効果により、今後、普及可能なコストレベルを追求。

 

さらに、長年にわたるFCEV開発で培ってきた技術・知見・経験を活かすことにより開発期間の大幅な短縮が可能。

 

水電解装置の構成

 

サイズ(縦×横×高さ):約2.3m×約5.8m×約2.8m
水素製造能力:約8kg/時間
水素製造エネルギー:53kWh/水素製造1kg
スタック種類:固体高分子形
※数値は目標値であり、変更となる場合もある。

 

スタックの使い方 : 燃料電池(FC)と水電解

 

なお同水電解装置に搭載するスタックなどは、3月15日~17日に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催される「FC EXPO(水素・燃料電池展)」に出展される。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。