公道上では実施困難なエッジケースのテストを実施、ガーディアン・モード(高度安全運転支援)実験車の開発を加速
トヨタ自動車株式会社(本社:愛知県豊田市、代表取締役社長:豊田 章男)の子会社で、ギル・プラット氏(Gill A. Pratt)が率いて米国内に於いて人工知能等の研究開発を行うToyota Research Institute, Inc.(以下、TRI)は、自動運転開発用の新たな施設の建設を行う。(坂上 賢治)
具体的にTRIは今週、ミシガン州・オタワレイク市にあるミシガン・テクニカル・リソース・パーク(以下、MITRP)内の60エーカー(約24万m2)の土地に新たなテスト施設をつくる建設許可を提出。
2018年10月には使用を開始する予定だと云う。TRIはこの施設を専有で使用し、公道上では危険が伴うエッジケース(特異な状況下で発生する事例)の運転シナリオを、安全な環境で再現し、テストを行う計画であるとする。
このような取り組みについて、TRIの自動運転技術担当・上級副社長であるライアン・ユースティス氏は、「我々自身の手でコースを建設することで、特にガーディアン・モードに対する試験が容易となり、より迅速な車両性能開発に繋がるでしょう。
新施設では、様々な運転シナリオを柔軟に再現するテストが出来るようになり、人間が主体的に運転しつつ、事故を起こさないクルマづくりに、より一歩近づくことになります」と語っている。
TRIの施設は、MITRPが管理する既存テストコース内部の約24万m2の土地に、新たに設けられる
ちなみに先の通り、このTRIの新施設はMITRPの既存の1.75マイル(約2.8Km)の楕円形テストコースの中に建設される。
このMITRPのテストコースは、ミシガン州ホワイトフォード郡区のオタワレイク市で、元来1968年に大手部品メーカーのテストコースとして設立された拠点である。
その広さは336エーカー(約136万m2)にも及ぶが、永らく利活用されて以降、2010年に不動産開発会社に売却され、現在では乗用車・商用車・公道外で使用する特殊自動車や、部品サプライヤーのテスト。先進技術開発のためのテストコースとしても使用されてきた。
このMITRP内に設けられることになるTRIの新施設には、TRI独自の設計思想に裏付けられた思想を投入。混雑した都会の交通状況や、滑りやすい路面、入口・出口のある、片側4車線の高速道路などを模擬する施設を設けることなどが含まれている。
新施設の実運用に関してTRIは、MITRPと土地のリース契約を結び、新施設の設計、建設、メンテナンスなどを行う。
またTRIは今回の新施設以外に、MITRPが所有・管理する他のクライアントにも提供されている既存の楕円形コースや、その他の施設を使用したり、サービスを受けたりすることも可能な契約となっている。
加えてTRIはカリフォルニア州のGoMentum Station、ミシガン州のMcityやAmerican Center for Mobilityとパートナーシップを結んでいることから、TRIはこれらMITRPの施設に加え、今新施設を活用していくことで、公道外でのテストをより広範に、実際的な環境に近いシチュエーション下で行えるようになるようだ。
MITRPのプレジデントであるMike Jones氏は「今回のTRIとのパートナーシップは大変意義深いものであり、自動運転技術開発に成功をもたらすと確信しています」とコメントしている。( MOTOR CARDSより転載 )