トヨタ自動車は、新たな「急アクセル時加速抑制」機能を開発し、既存のペダル踏み間違い事故の抑止・被害軽減システムに加えて、新車向けに「プラスサポート」として導入、また既販売車種向けの後付け装置にも「踏み間違い加速抑制システムⅡ」として追加し、7月1日に発売した。
トヨタは、ペダル踏み間違い事故の抑止・被害軽減システムとして、新車については、2012年からインテリジェントクリアランスソナー[パーキングサポートブレーキ(静止物)]を導入しており、既販売車種向けにも2018年から後付けの「踏み間違い加速抑制システム」として販売している。
しかし、トヨタが確認したデータによると、これらインテリジェントクリアランスソナーを用いた既存のシステムでは、センサーで検知できる壁やガラスなどの障害物がある場合の踏み間違い事故への対応はできるが、障害物がない場合を含む残りの事故全体の約3割については、新たな仕組みによる対処が必要であることがわかったと云う。
そこで今回、実際の踏み間違い事故発生時に、アクセルペダルが全開で踏まれた状況を分析。その踏まれ方の特徴を、コネクティッドカーから得られたビッグデータと照合し、右折時や一時停止後など、ドライバーが実際に急加速を必要とする状況を除くことで、アクセルの踏み間違い操作を特定。障害物がなくても加速抑制するシステムを開発した。
[急アクセル時加速抑制・新システムについて]
■プラスサポート
<設定対象>
・新車(インテリジェントクリアランスソナー装着車)向け。
・7月1日発売のプリウスならびにプリウスPHVからシステムの搭載を開始し、今後順次搭載車種を拡大。
<特徴>
・運転に不安がある人向けの専用スマートキー「プラスサポート用スマートキー(販売店装着オプション[税込価格1万3,200円~])」で解錠すると自動的に「プラスサポート」が起動。進行方向に障害物がない場合でも、ペダルの踏み間違い操作を検知した際、加速を抑制。
・障害物を検知し加速抑制・ブレーキ作動を行うインテリジェントクリアランスソナーに加え、ペダル踏み間違い事故の抑止・被害の軽減に貢献。
・標準のスマートキーで解錠した場合、プラスサポートは起動せず、通常通りの走行が可能。
■踏み間違い加速抑制システムⅡ
<設定対象>
・既販売車種向け(後付け装置)。
・プリウス(*1)から対応し、今後順次設定車種を拡大(*2)(税込価格3万8,500円/*3)。
*1:2015年12月~2020年6月生産の車両でインテリジェントクリアランスソナー非装着車。
*2:SAI(2009年10月~2018年2月)用 2020年11月発売予定。クラウン(2008年2月~2012年12月)、マークX(2009年10月~2016年11月)用 2021年1月発売予定。
*3:取り付け費など諸経費は含まず。
<特徴>
・従来の「踏み間違い加速抑制システム」に「急アクセル時加速抑制」機能を追加した商品で、前方に障害物がない場合でもペダルの踏み間違い操作を検知した際、加速を抑制。
・従来のシステムにある、前方の障害物を検知し加速抑制する機能や、後退時に加速を抑制する機能に加え、後退時には障害物の有無に関わらず加速を抑制するなど、より幅広いペダル踏み間違い事故の抑止・被害の軽減に貢献。
・機能強化を図りつつシステム構成を見直し、従来商品比で1万7,600円安の低価格を実現。
・国土交通省が2020年4月に創設した、後付障害物検知機能付ペダル踏み間違い急発進抑制装置の性能認定制度に対応(同制度で初の認定を取得)。
トヨタでは、既存のインテリジェントクリアランスソナーや後付け装置の機能に「急アクセル時加速抑制」機能を組み合わせることで、駐車場等でのペダル踏み間違い事故を更に減らすことが可能と予測。踏み間違事故を心配するドライバーに、より安全にクルマを運転してもらいたいとしている。
また、自社製品の開発・販売だけでなく、国内の自動車メーカーに幅広く、「急アクセル時加速抑制」機能の考え方などを共有。
減少傾向にはあるが、依然として毎年3千人を超える死者が出ている国内の交通事故に対して、「クルマ」の安全性向上とともに、安全機能に関する理解を促進するサポトヨなど、「人」に向けた啓発活動、また「交通環境」向上に向けた活動、三位一体の取り組みを通じて、モビリティ社会の究極の目標である「交通事故死傷者ゼロ」に向け取り組みを進めていきたいとしている。