トヨタ自動車は、東南アジアにおける配車サービス大手のGrab Holdings(Grab社)と、東南アジアでのモビリティサービス(MaaS)領域の協業深化に合意し、Grab社への10億ドル(約1100億円)出資を決定した。
また合意ではさらに、意思決定の迅速化のため、トヨタの1名がGrab社の取締役に就任、さらに1名をGrab社の執行役員として派遣。今後、さらなる人材交流の活発化を図るとしている。
Grab社は、東南アジア8か国の217都市で、個人間のライドシェアおよびタクシー配車サービス、オンデマンド輸送サービスに加え、ドライバー向けレンタカーサービスなどを展開。今年3月にはUber社からの事業譲渡を受け、同地域での圧倒的なシェアを有していると云う。
トヨタは、2017年8月から、Grab社の保有するドライバー向けレンタカー100台に、トヨタ開発の法人車向け通信端末「TransLog」を搭載。
トヨタが構築したコネクティッドカーの情報インフラ、「モビリティサービスプラットフォーム(MSPF)」に収集された走行データを活用した、Grab社向けのコネクティッドサービスの開発を進めている。
また、現地の保険会社を通じて、シンガポールのGrabレンタカー全車両に対し、走行データ連動型自動車保険を提供するなど、コネクティッド分野におけるトヨタとGrab社の協業は、既に始まっていると云う。
今後はこれを足がかりに、東南アジア全域におけるGrabレンタカーのコネクティッド化、及び、それら車両からMSPFに収集される車両データを活用した、走行データ連動型自動車保険に加え、現在開発中のGrabドライバー向け金融サービスや、メンテナンスサービスなど、各種コネクティッドサービスを、東南アジア全域に拡大することを狙いに、協業を拡大する。
両社は、今回のあらたな合意により、東南アジア全域で、これまで開発してきたサービスを本格的な普及フェーズに移行。より効率的な配車ビジネスを実現するとともに、将来の新たなモビリティサービスやMaaS車両の開発においても検討を開始するとしている。
今回の合意にあたり、トヨタの副社長で「コネクティッドカンパニー」プレジデントの友山茂樹氏は、以下のように語った。
「東南アジア地域における配車サービスで最大のシェアを有するGrab社と、弊社のコネクティッド技術を活用した協業関係が強化されることを嬉しく思います。今後は同社とともに、東南アジアのお客様にとって、より魅力的で、安心、安全なモビリティサービスを開発して参りたいと考えています」。
また、Grab社のCEOのAnthony Tan(アンソニー・タン)氏は、以下のように語った。
「トヨタのような世の中に広く貢献している企業と、将来にわたるパートナー関係を結べたことを非常に嬉しく思っています。この強固な協業体制により、Grabは東南アジアにおいて、モビリティソリューションをワンストップで提供できる会社になれると考えています。トヨタをはじめとしたグローバルリーダー企業とともに、安全で利用しやすいライドサービスと住みやすい街、そしてデジタル革命の中で新たなビジネスが次々と興るような未来を創っていくことを楽しみにしています」。
■Grab(英語):https://www.grab.com/sg/