トヨタ自動車は5月8日開催の取締役会で、役員報酬制度の見直しを行い、譲渡制限付株式報酬制度(以下、同制度)の導入を決議。同制度に関する議案を、6月13日開催予定の第115回定時株主総会に付議する。
1.同制度の導入目的等
(1)同制度の導入目的
トヨタの取締役(社外取締役を除く/以下、対象取締役)に中長期的な企業価値向上に向けた取り組みを促すとともに、対象取締役一人ひとりが経営者としてより一層強い責任感を持ち、株主と同じ目線に立った経営を推進するため。
(2)同制度の導入条件
制度の導入は、第115回株主総会で株主の承認が得られることを条件とする。
なお、一昨年(2017年)の6月14日開催の第113回定時株主総会で、トヨタの取締役の報酬額は年額40億円以内(うち社外取締役3億円以内)と承認されているが、第115回株主総会では、同制度を新たに導入し、トヨタの対象取締役に対して同制度に係る報酬枠を設定することについて、株主への承認を求める。
<承認を求める議案の内容>
現金および株式報酬枠については、現金報酬枠を従来の年額40億円以内から年額30億円以内(うち、社外取締役は年額3億円以内)に減額し、株式報酬枠を新たに年額40億円以内として設定する。
同議案が承認された場合、取締役に対する報酬(使用人兼務取締役の使用人としての職務に対する報酬は除く)の構成は以下のようになる。
■取締役の報酬構成
各取締役に対する報酬については、取締役会が上記の報酬枠の範囲内で、社外取締役が半数を占める「報酬案策定会議」に一任し、会社業績や取締役の職責、成果等を踏まえて決定する。
また今後も株主に対して、事業報告・有価証券報告書で法令に従って開示し、役員報酬ならびに会社業績に対する説明責任を果たしていくとしている。
2.同制度の概要
同制度の主な内容は、以下の通り。当該報酬制度および譲渡制限付株式割当契約に関するその他の事項については、トヨタの取締役会が定める。
<対象者>
トヨタの取締役(社外取締役を除く)。
<株式報酬枠>
年額40億円以内。
<各取締役に対する株式報酬額>
会社業績や職責、成果等を踏まえて毎年設定する。
<割り当てる株式の種類および割り当ての方法>
普通株式(割当契約において譲渡制限を付したもの)を発行または処分する。
<割り当てる株式の総数>
対象取締役に対して合計で年80万株以内。
<払込金額>
各取締役会決議の日の前営業日における東京証券取引所におけるトヨタの普通株式の終値を基礎として、対象取締役に有利とならない金額で同社取締役会が決定する。
<譲渡制限期間>
割当日より3年から50年の間で同社取締役会が予め定める期間。
<譲渡制限の解除条件>
譲渡制限期間の満了をもって制限を解除。ただし、任期満了、死亡その他正当な理由により退任した場合、譲渡制限を解除する。
<トヨタによる無償取得>
譲渡制限期間中に、法令違反その他同社取締役会が定める事由に該当する場合、割当株式をすべて同社が無償取得することができる。
なお、トヨタは、第115回株主総会において譲渡制限付株式報酬に関する議案が原案どおり承認可決されることを条件に、同社執行役員にも、上記と同様の譲渡制限付株式報酬制度を適用し、普通株式を発行または処分する予定だとしている。