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2023年9月7日【エネルギー】

トヨタ、米・物流拠点のグリーン水素生成施設が竣工

NEXT MOBILITY編集部

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トヨタ自動車は9月7日、北米事業体である“Toyota Motor North America(トヨタ・モター・ノース・アメリカ/以下、TMNA)が、カリフォルニア州ロングビーチ港の物流拠点である“トヨタロジスティクスサービス(以下、TLS)”に於いて、グリーン水素をオンサイトで生成する施設「Tri-Gen(トライジェン)」を竣工したと発表した。

 

これにより、100%再生可能エネルギー由来のカーボンニュートラル(CN)な港湾オペレーションの実現を目指すとしている。

トヨタ自動車・ロゴ

トライジェンは、畜産場の家畜排泄物や余剰食品等の廃棄物系バイオマスから水素を取り出し、燃料電池(FC)を用いて発電を行う(最大2.3メガワット)など、再生可能エネルギーから水素・電気・水の3つ(Tri)の物質の生成(Generate)ができる施設(水素ステーションも併設)。TMNAは、このトライジェンが生成した水素・電気・水を20年に亘って購入する契約を、運営会社である“フューエルセル・エナジー社(FuelCell Energy)”と締結している。

 

トライジェンは、TLSのオペレーションを、以下の形で支援していくと云う。

 

1)日当たりの発電量は2.3メガワットで、米国の一般家庭約2,300世帯分の日当たりエネルギー消費量に相当。そのうちTLSの物流オペレーションで必要な分を使用。

 

2)日当たりの水素生産量は約1.2トンで、燃料電池車MIRAIへの供給分として使用。およそ200台以上を満タンにするのに必要な充填量に相当。港湾オペレーションに使用する大型商用トラックなど、他の燃料電池車両にも供給可能。

 

3)日当たり1,400ガロン(≒5,300リットル)の水を生成し、同港から販売店に配送する車両の洗車作業に使用。これにより、水道水の消費を年間50万ガロン(≒約190万リットル)削減可。

 

またトライジェンは、以下の形で、地域社会にも貢献すると云う。

 

1)TLSのオペレーション支援により、発電由来のCO2排出量を年間9,000トン以上削減することが期待できる。

 

2)年間6トン以上の発電由来のNOx(窒素酸化物)排出を防ぐことにつながるほか、港湾業務での燃料電池トラックの使用により、年間42万ガロン(≒159万リットル)以上のディーゼル燃料の消費量を削減できる可能性がある。

 

3)TLSで使用されなかった余剰電力は、同州のBioMAT(Bioenergy Market Adjusting Tariff : 3,000kW以下のバイオマス由来の発電に関する固定価格買取制度)プログラムに基づき、地元の電力会社であるサザン・カリフォルニア・エジソン社に供給され、地域の電力安定供給に貢献。

 

TLSでのトライジェン竣工に際し、TMNAのチーフ・アドミニストレーション・オフィサー(Chief Administration Officer)のクリス・レイノルズ氏は、「TLSのロングビーチ拠点は、物流オペレーションに、バイオマスから生み出されたクリーンな水素と電力、更にはFC発電の際に生じる水を活用することで、トヨタの物流拠点のCNオペレーション化の先駆けになります。フューエルセル・エナジー社との協力により、トヨタのCO2排出量削減目標の達成を支える世界最大規模の施設が完成しました」と、述べている。

 

トヨタは、今後もカーボンニュートラルの実現に向けて、グローバルで志を同じくする様々な業界・分野・地域の「仲間」と共に、水素の利活用を通じ、水素社会の構築にチャレンジしていくとしている。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。