トヨタ自動車は9月7日、北米事業体である“Toyota Motor North America(トヨタ・モター・ノース・アメリカ/以下、TMNA)が、カリフォルニア州ロングビーチ港の物流拠点である“トヨタロジスティクスサービス(以下、TLS)”に於いて、グリーン水素をオンサイトで生成する施設「Tri-Gen(トライジェン)」を竣工したと発表した。
これにより、100%再生可能エネルギー由来のカーボンニュートラル(CN)な港湾オペレーションの実現を目指すとしている。
トライジェンは、畜産場の家畜排泄物や余剰食品等の廃棄物系バイオマスから水素を取り出し、燃料電池(FC)を用いて発電を行う(最大2.3メガワット)など、再生可能エネルギーから水素・電気・水の3つ(Tri)の物質の生成(Generate)ができる施設(水素ステーションも併設)。TMNAは、このトライジェンが生成した水素・電気・水を20年に亘って購入する契約を、運営会社である“フューエルセル・エナジー社(FuelCell Energy)”と締結している。
トライジェンは、TLSのオペレーションを、以下の形で支援していくと云う。
1)日当たりの発電量は2.3メガワットで、米国の一般家庭約2,300世帯分の日当たりエネルギー消費量に相当。そのうちTLSの物流オペレーションで必要な分を使用。
2)日当たりの水素生産量は約1.2トンで、燃料電池車MIRAIへの供給分として使用。およそ200台以上を満タンにするのに必要な充填量に相当。港湾オペレーションに使用する大型商用トラックなど、他の燃料電池車両にも供給可能。
3)日当たり1,400ガロン(≒5,300リットル)の水を生成し、同港から販売店に配送する車両の洗車作業に使用。これにより、水道水の消費を年間50万ガロン(≒約190万リットル)削減可。
またトライジェンは、以下の形で、地域社会にも貢献すると云う。
1)TLSのオペレーション支援により、発電由来のCO2排出量を年間9,000トン以上削減することが期待できる。
2)年間6トン以上の発電由来のNOx(窒素酸化物)排出を防ぐことにつながるほか、港湾業務での燃料電池トラックの使用により、年間42万ガロン(≒159万リットル)以上のディーゼル燃料の消費量を削減できる可能性がある。
3)TLSで使用されなかった余剰電力は、同州のBioMAT(Bioenergy Market Adjusting Tariff : 3,000kW以下のバイオマス由来の発電に関する固定価格買取制度)プログラムに基づき、地元の電力会社であるサザン・カリフォルニア・エジソン社に供給され、地域の電力安定供給に貢献。
TLSでのトライジェン竣工に際し、TMNAのチーフ・アドミニストレーション・オフィサー(Chief Administration Officer)のクリス・レイノルズ氏は、「TLSのロングビーチ拠点は、物流オペレーションに、バイオマスから生み出されたクリーンな水素と電力、更にはFC発電の際に生じる水を活用することで、トヨタの物流拠点のCNオペレーション化の先駆けになります。フューエルセル・エナジー社との協力により、トヨタのCO2排出量削減目標の達成を支える世界最大規模の施設が完成しました」と、述べている。
トヨタは、今後もカーボンニュートラルの実現に向けて、グローバルで志を同じくする様々な業界・分野・地域の「仲間」と共に、水素の利活用を通じ、水素社会の構築にチャレンジしていくとしている。