豊田市は11月30日から、将来の自動運転レベル4(高度運転自動化)の実現に向け、同市内で自動運転バスを自動運転レベル2(部分運転自動化)で運行する実証実験を開始していることを(12月18日)明らかにした。
そのために路線上の電柱にセンサを設置。周辺道路の情報を自動運転バスに提供すること(路車協調システム)を介して、自動運転バスがより安全に走行できるようサポートする。
なおこの実証実験は、国土交通省の補助事業及び実証実験の採択を受け、豊田市つながる社会実証推進協議会の取組として行うもの。実証実験を通して「路車協調システムの有効性の検証」と「生活路線における自動運転の課題の抽出」を図っていく構えだ。
ちなみに豊田市では、この中心市街地での実証実験が、大きな注目を集めていると謳っており、開始から10日間で自動運転バスの乗客が500人を超える等、将来の実用化に向けたニーズの集約や機運の醸成が順調に進んでると結んでいる。
実証期間:2023年11月30日(木)~12月28日(木)
実証場所:中心市街地玄関口バスの路線上(豊田市福祉センター~豊田市駅西口間)
運賃:無料(乗車定員:15人)
実施体制:豊田市、(公財)豊田都市交通研究所、日本工営(株)によるコンソーシアムを実施主体とし、先進モビリティ(株)が提供する自動運転バスを、豊栄交通(株)が運行する形で実施
実証内容
●路車協調システムの有効性の検証
豊田市では、1990年代後半から、ITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)の社会実験に着手した。
2021年からは、トヨタ自動車株式会社等と連携した「ジコゼロ大作戦(一般財団法人トヨタ・モビリティ基金と共に推進する交通死亡事故ゼロ活動)」を開始し、交差点に設置したスマートポール(カメラや通信機器等を搭載した支柱)が取得する歩行者等の情報を、リアルタイムで通過車両等に提供する実験を展開してきた。
今回は、これまでのITSや路車協調システムの実証実験で得た知見を活かし、バス路線上の電柱にセンサを設置し、バスのセンサで検知できない位置にある交差道路の情報を自動運転バスに提供することで、自動運転バスがより安全に走行できるようサポートする「路車協調システム」の構築に向けた実証実験を行っている。
●生活路線における自動運転の課題の抽出
豊田市では2016年から、交通量の少ない山村地域での自動運転実証に取り組んできたが、将来の自動運転実用化を見据えた場合、交通量が多く、また不特定多数の利用者が見込める都市部の実証実験の知見も必要となる。
そこで、今回の自動運転実証実験では、市街地での既存の生活路線バスを対象とし、既存のバスと同規模の車両を使って、既存の路線バスと同じ交通事業者による実証実験を行うことにした経緯がある。
具体的には、豊田市中心市街地玄関口バスの路線上において、自動運転バスを自動運転レベル2で実際に乗客を乗せて運行することにより、将来の自動運転レベル4実現に向け、課題を洗い出すと共に、社会実装可能なビジネスモデルの構築及び社会受容性の向上に役立てる。
なお今回の実証実験で、運行開始から10日で利用者が500人を超えた背景として、市民に定着した既存路線で行う実証のため、自動運転バスへの乗車目的の乗客以外に、日常生活でバスを利用する方々が乗車していることも大きな要因と考えているという。
実証後の展望
豊田市では、路車協調システムなどの活用を進めることで、将来的に、多様な自動運転車両が走行する際にも、道路情報や信号機等との連携によって、自動運転を支えることができる「都市交通インフラの構築」を図っていく。
また、市街地の生活路線実証から得た知見を活かすことで、将来的に、ドライバー不足などの課題が顕在化した際にも、市内各地域の実情に合った最適な自動運転サービスを提供できる公共交通網の維持・拡充も併せて図っていくとしている。