トヨタ自動車(トヨタ)は3月2日、SDGs貢献に資するプロジェクトに対する支出を社債発行により調達するため、「Woven Planet債(ウーブン・プラネット債)」の発行を計画していると発表した。発行規模は、円建社債・外貨建社債あわせて最大5,000億円程度を予定。
自動車業界が100年に一度の大変革の時代を迎えている中、トヨタではこの変革をチャンスと捉え、自動車をつくる会社からモビリティカンパニーへのモデルチェンジを進めている。トヨタはこの取り組みを通じて、より大きく進化した価値を社会に提供し、事業を通じてSDGsの達成に貢献したいとのことだ。
これまでもトヨタは、社会課題である安全と環境の問題を解決する取り組みに加え、未来のモビリティ社会の構築に向けた取り組みも進めてきた。このような取り組みに必要な資金を調達し、SDGsの取り組みを加速させるために、今回の「Woven Planet債」の発行計画に至ったとしている。
「Woven Planet」は、「自分以外の誰かのために」というトヨタが創業から守り育ててきたトヨタフィロソフィーの精神と、「誰ひとり取り残さない」というSDGsの精神で未来に向けた歩みを一歩一歩進めていくという決意を表すもの。
「Woven」とは「織り込む」という意味で、その由来は、創業者・豊田佐吉が自動織機を発明したときの原動力である「母親の仕事を楽にしたい」という想い、創業の精神を継承し続けることにある。また、自動運転やモビリティサービスの開発・実装を支えるために絶対に必要になる「道」を「織り込む」ことも意味している。人を中心に、ソフトウェアやコネクティッド技術により、モノ・情報・街をつなげ、新しいサービスや商品を創出することを目指している。
また、「Planet」には、ホームタウン、ホームカントリーと同じように、地球単位の視点「ホームプラネット」という考え方で、この地球に住む人が未来に貢献することで次の世代に美しい故郷を残したいという想いが込められている。誰かと対立するのでなく、「ただ自分の強みを誰かの役に立たせたい」という想いで、各々が力を出し合えば、SDGsに貢献することにつながるとトヨタでは述べている。
◾️「Woven Planet債」について
<個人投資家向け円建社債>
発行形態 : トヨタのSDGsに係る幅広い取り組みへの資金充当を目的とした社債(※国際資本市場協会(ICMA)の「サステナビリティボンド・ガイドライン」に適合するサステナビリティボンドとは異なる債券)
資金使途 :
・トヨタのSDGsに係る幅広い取り組み
例)トヨタが未来のモビリティ社会の実現に向けて取り組むWoven Cityにおける街づくりや、各先端技術の実証実験
発行規模 :最大1,000億円
<外貨建社債及び機関投資家向け円建社債>
発行形態 :サステナビリティボンド(※ICMA制定の「サステナビリティボンド・ガイドライン」に適合し、環境および社会課題の解決に貢献するプロジェクトに資金使途を限定した債券)
資金使途 :
・「交通事故死傷者ゼロ」に向けた、重大死傷事故低減効果が見込める機能をパッケージ化したToyota Safety Sense等の先進安全技術の開発・製造
・トヨタ独自の「Mobility Teammate Concept」の考え方のもと、高齢者や身体障がい者を含む全ての人が安全、スムース、自由に移動できる、安全なモビリティ社会の実現を目指した高度運転支援技の開発・製造
・高齢者や身体障がい者等向けの福祉車両(ウェルキャブ)の開発・製造による交通弱者への移動機会の提供
・BEVやFCVの開発・製造による、自動車走行時におけるCO2排出量の削減
・再生可能エネルギーに関する投資、支出、出資による、工場・事業所等におけるCO2排出量の削減
発行規模 : 合計で最大4,000億円程度