トヨタ自動車とJoby Aviation(Joby/ジョビーアビエーション)は11月2日、トヨタにおけるエアロ開発発祥の地である東富士研究所に於いてJobyのeVTOL(イーブイトール/Electric Vertical Take-Off and Landing)、S4(Joby S4)で日本で初めての試験フライトを実施したことを両社の強度会見の壇上で明らかにした。
今回の試験フライトは11月1日に日本の航空局の特別な承認のもとに行われ、翌2日はトヨタの代表取締役会長の豊田章男氏とJobyの創業者兼CEOのJoeBen Bevirt氏(ジョーベン・ビバート)の両名が空のモビリティの実用化に向けた情熱を確認し合った。
ちなみにトヨタは2020年1月にJobyへ3.94億ドルを出資。2024年10月には5億ドル追加出資して計8.94億ドルの出資を行なう他、パワートレーンやアクチュエーター向けの部品提供。加えて製造面の支援も行っている。
会見では、Joby創業者兼CEOのジョーベン・ビバート氏が、「日本でのフライトは、環境への影響がより小さくなる世界、渋滞に悩まされることなく、大切な人や場所と過ごす時間を増やせるような世界に変えたいと望んできた我々が、長い間待ち焦がれてきた瞬間であり、クリーンな空の旅を実現するための重要なマイルストーンになります。当社はトヨタの空のモビリティに対するビジョンに共感しており、その未来の一端をお披露目する機会を得たことを光栄に思います」と述べた。
Joby ジョーベン・ビバート 創業者兼CEO(左)、トヨタ自動車 豊田章男 代表取締役会長(右)
またトヨタの取締役・副社長の中嶋裕樹氏は、「空のモビリティは『距離と時間の感覚』を変える可能性を秘めております。空のモビリティという新しい選択肢が加わる未来は、多くの人たちの生活をさらに豊かにしていくことでしょう。トヨタもモビリティカンパニーとして、空と陸のシームレスな移動を実現し、あらゆる人たちが自由に移動できる社会を目指してまいります。Jobyはこの新しいモビリティ社会の実現に向けた重要なパートナーです。トヨタもJobyとの協業を一層深め、Jobyと共に夢の実現に向け歩み続けてまいります」と語った。
ちなみに試験飛行に供されたJoby S4は、翼幅10.7m、全長7.3m、重量1950kg。パイロットを含む5人乗りの推力偏向(ベクタードスラスト)型機体で、現段階で公表されている最高速度は322km/h、航続距離は約160kmだ。
製造は垂直統合型。従って一基あたり236kWを発揮するモーターや、高密度の電池モジュール、急速充電システムなどの基幹部品・装置は自社製。運航管理やソフトウエアも自社開発している。
実用化に係る当面の課題は、今は少なくともJoby S4も実験機に過ぎないゆえに一席あたりの運行コストがどうなるかにある。これが解消され、実際の商用ビジネスの可能性が見えてくる目処はまだ先のこととなるだろう。