トヨタ自動車と日野自動車は、3月23日、燃料電池(FC)大型トラックを共同開発し、走行実証などを通じて実用化に向けた取り組みを進めると発表した。
両社は、2050年までに走行中のCO2排出量の大幅削減を掲げ(※1)ており、今後さらなるCO2排出量の削減を実現するため、国内商用車全体のCO2排出量の約6割を占める(※2)大型トラックの環境性能の大幅な向上を目指すとしている。
トヨタと日野は、商用車の電動化では、高い環境性能に加えて実用性が求められるため、走行距離や積載物、稼働シーンなどに応じた適材適所のパワートレイン採用が重要であるとし、例えば、幹線輸送に使われ、十分な航続距離や積載量、また短時間での燃料供給が求められる大型トラックには、エネルギー密度の高い水素を燃料とする燃料電池車の有効であると説いている。
今回両社が共同開発する燃料電池大型トラックは、日野の大型トラック「日野プロフィア」をベースに開発し、目標航続距離600km、環境性能と商用車としての実用性を高次元での両立を目指す。
具体的には、シャシにFCに最適なパッケージングを専用設計し、徹底した軽量化により十分な積載量を確保。またパワートレインに、トヨタの次期「MIRAI」用に新開発されるトヨタFCスタックを2基搭載し、日野の強みである大型車ハイブリッド技術を応用した車両走行制御を組み合わせる。
トヨタと日野は、水素を将来の有力なエネルギーと位置づけ、2003年から15年以上燃料電池バスの共同実証を重ねてきた。両社は今後さらに関係を強固にし、水素社会の実現に向けての取り組みを加速していくとしている。
[参考車両概要]
※1)トヨタ環境チャレンジ2050:2015年策定。この中の「新車CO2ゼロチャレンジ」で2050年までに、新車1台あたりの平均CO2排出量の90%削減(2010年比)を目指す。
日野環境チャレンジ2050:2017年策定。この中の「新車CO2ゼロチャレンジ」で2050年までに、新車1台あたりの平均CO2排出量の90%削減(2013年比)を目指す。
※2:車両総重量3.5t超のトラック・バス、日野調べ(2020年2月末現在)。