トヨタ自動車と発電機やコンプレッサ等の製造販売を行うデンヨーは、水素を使って発電する燃料電池電源車(以下、FC電源車)を共同開発し、今後、実証運転を通じて実用化に向けた取り組みを進める。この取り組みは、環境省のCO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業の採択を受けて実施される。
現在使用されている電源車の多くは、走行・発電といった動力源にディーゼルエンジンを用い、化石燃料をエネルギーとしているため、走行時・発電時に温室効果ガスのCO2や窒素酸化物(NOx)などの環境負荷物質を排出する。
これに対しFC電源車は、動力源を燃料電池にすることで環境負荷物質の排出がゼロになるとともに、連続約72時間の給電や、発電の際に生成される水をシャワーなどに活用することもできると云う。
今回、両社が共同開発したFC電源車は、トヨタの小型トラック「ダイナ」をベースに、動力源には燃料電池自動車(FCV)MIRAIに搭載されているFCシステムを活用し、電力供給のためデンヨーが環境省補助事業(※1)で開発したFC専用給電機器を搭載。また、長距離移動・長時間発電ができるように、水素を約65kg(水素タンク27本)搭載している。
両社は、このFC電源車の実証運転を9月から行い、従来型のエンジン式発電機と比べて、様々な負荷機器への影響、CO2の排出削減量などFC電源車ならではの効果を検証する。
デンヨーは、企業の社会的責任として、環境と調和した事業活動を積極的に推進し、移動式(可搬形)発電機のトップメーカーとして、燃料電池式製品の開発にも積極的に取り組んでいくとしている。
また、トヨタは、SDGs(※2)の目指す持続可能な社会づくりに貢献するための活動の一つとして、走行中CO2排出量の大幅削減を掲げており、今後も電動車の技術開発と普及促進に尽力するとしている。
※1:環境省の「CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」。
※2)SDGs(Sustainable Development Goals)2015年9月の国連総会で採択された、2030年までの国際目標。持続可能な社会を実現するための17個の目標(社会課題)を包括的にまとめたもの。
[FC電源車の基本スペック]
– 車両:全長×全幅×最高地上高 6.380×2.220×2.240m
– 総重量:7.265t
– 搭載水素:
・高圧水素タンク本数:27本
・タンク内容積:1,626L(リットル)
・水素貯蔵量:約65kg
– 給電機能:
・定格出力:三相出力・単相出力合計8.5kW
・供給電力量:約612kWh
・定格電圧/相数/周波数:AC200V・AC100V/三相4線・単相3線/50・60Hz
・連続発電時間(発電時最大出力8.5kW):約72時間
※片道約100km・往復約200kmの場所まで行って給電する場合を想定し、往復の走行用水素量を確保した上での発電。
– 生成水(最大発生量):約450L(リットル)
■デンヨー:https://www.denyo.co.jp/