トヨタ自動車は11月17日、炭素中立(カーボンニュートラル)を反映させたクルマづくりに取り組むと共に、3R(Reduce、Reuse、Recycle)を旗頭に製品や素材の原材料を循環させて、息の長いモノづくりに取り組むことに加え、廃棄物を最小限に抑えるよう務めるなど、総じて「サーキュラーエコノミー(資源循環型の経済システム)」の実現に向けた活動を進めてきた想いを新たにしたという。
とりわけ電動車用バッテリーについてトヨタは、まず省資源で長寿命な電池を開発し、長期間安心してクルマを使用して貰えるよう心掛け、蓄電池の回収後には当該電池をリビルト・リユースし、最終的にはCO2排出量の少ない方法でリサイクルを行うなどの「電池3R/(1)Reduce (2)Rebuilt・Reuse (3)Recycle」の考えを掲げ、限りある資源を大切に使う取り組みに着手する。
その実行計画として「第7次トヨタ環境取組プラン」では、2025年を目標に、“電動車の普及を見据え、安全で効率的な電池3Rの仕組みの構築”をテーマに挙げており、「グローバルで最大限の電池回収・無害化」「日本・米国・欧州・中国・アジアの5地域で電池3Rの運用を開始」の2つの取り組みを具体的に進めていく構えとした。
そのトヨタが示す環境プランは以下の通り
第7次トヨタ環境取組プラン Toyota Global Car to Car Recycle Project
電動車普及を見据え、安全・効率的な電池3Rの仕組みを構築
- グローバルで最大限の電池回収・無害化を目指す。
- 日本・米国・欧州・中国・アジアの5地域で電池3Rを運用開始。
電池3Rのイメージ
(1)リデュース
電池の長寿命化を含め、廃棄物の発生を抑制する。
(2)リビルト・リユース
リビルト車載用電池を再び車載用電池として使うリユース車載用電池を、車載用以外(例えば定置用)の蓄電池として再利用する。
(3)リサイクル
再資源として利用する。
なかでも北米では、昨年よりRedwood Materialsとの協業を開始(弊誌、関連記事ページにジャンプします)し、ハイブリッド車とバッテリーEVの使用済み電池をリサイクルする取り組みを始めている。
今後は更に「電池3R/(1)Reduce (2)Rebuilt・Reuse (3)Recycle)」をグローバルで、例えば、国や地域によって現地調達できる電池工場の有無など、各国・地域の状況に合わせながら様々なパートナーとも連携し、取り組みを加速させ、電動車の普及を支える社会基盤の整備に貢献したいと考えているとした。
電池3Rの主な取り組み
(1)リデュース
電池を革新
液系リチウムイオン電池のさらなるエネルギー密度の向上やバイポーラ構造のBEVへの採用、良品廉価な普及版電池から、更なるパフォーマンス性を追求した電池に至るまで、顧客へ多様な選択肢を届けられるようラインアップの拡充を進めていく。電動化技術 – バッテリーEV革新技術(2023年6月13日)(トヨタ自動車の当該リリースページにジャンプします)
BEVのバッテリー関連性能の改善
bZ4Xでは、冷間時のバッテリー暖機性能向上等による、低外気温下における充電時間の短縮や、消費電力の抑制と空調制御の最適化による、実航続距離の延伸など、絶え間なく電動車の実用性の向上を図っていく。BEV「bZ4X」、一部改良で扱いやすさを向上(2023年10月25日)(トヨタ自動車の当該リリースページにジャンプします)
(2)リビルト・リユース
電動車用バッテリーで大容量スイープ蓄電システムを構築
株式会社JERAと共に、リユースした電動車(HEV、PHEV、BEV、FCEV)の駆動用バッテリーを活用し、大容量スイープ蓄電システムを構築。性能および容量の差が大きい使用済みの車載電池のリユースを可能にした。リユースした電動車用バッテリーで大容量スイープ蓄電システムを構築し、電力系統への接続を含めた運転を開始(2022年10月27日)(トヨタ自動車の当該リリースページにジャンプします)
定置用蓄電池システムの開発・実証
東電ホールディングス株式会社の「定置用蓄電池の運用技術・安全基準」とトヨタの「電動車用蓄電池のシステム技術」を融合した定置用蓄電池システム(出力 1MW、容量 3MWh)を開発した。このシステムを、豊田通商とユーラスエナジーホールディングスが、ユーラス田代平ウインドファームへ導入し、4社が連携して実証試験を開始した。電気自動車用蓄電池を活用した定置用蓄電池システムの開発・実証について(2023年5月29日)(トヨタ自動車の当該リリースページにジャンプします)
(2)リビルト・リユースと(3)リサイクル
ハイブリッドバッテリーの取り組み
トヨタは、ハイブリッド車から取り外した使用済みのニッケル水素バッテリーを検査、再組立て(リビルト)し、2013年より定置用の畜電池として、また2014年より車両用の補給電池として再利用し、エコな再生エネルギーとして活用している。
ハイブリッドバッテリーの取り組み
海外での取り組み
北米ではRedwood Materials社と協業のもと、電池回収・リサイクルに取り組んでいます。
両社のHEVとBEVの使用済み電池リサイクル協業を拡大
Redwood社のリサイクル網から正極活物質(CAM)と負極銅箔を調達
回収した希少金属をリサイクル、電池サプライチェーンに還元することにより、北米内の資材循環を実現
●北米での協業に関する活動は
弊誌別記事「米国トヨタ、レッドウッド社とEV蓄電池の材料調達で合意」を参照されたい