東芝エネルギーシステムズは8月7日、IoT・AI技術を用いた、地熱発電所の利用率向上に向けた研究を開始すると発表した。
研究は今月から2020年度まで行われる予定で、発電所のトラブル発生率の20%減、発電所利用率の10%向上を目指す。
なお今回の研究は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の平成30年度「地熱発電技術研究開発」の助成事業に採択されている。
地熱発電は、安定した出力が得られることからベースロード電源としての活用可能で、その資源ポテンシャルが世界第3位となる日本では、大きな期待がかかっていると云う。
また、太陽光発電など、他の再生可能エネルギーの発電コスト下落により、地熱発電のより効率的な発電所運営も求められている。
このような中、今回の研究では、実際の地熱発電所内で「ビッグデータ解析技術を活用した予兆診断」と、利用率を下げる原因の一つとなる「タービンスケール(注1)の抑制対策」を実施。
ビッグデータ解析技術を活用した予兆診断では、過去やリアルタイムの運転データを分析・評価し、運転停止を招くトラブルの事前予知ができるよう、分析ツールを実装し、研究を行う。
また、タービンスケールの抑制対策では、タービンスケールを抑制する薬剤添加を含む効果的なスプレー散布を研究。薬剤使用量やタイミングをIoT・AI技術を用いて最適化することでスケールの抑制を検証する。
東芝エネルギーシステムズは、1966年に地熱蒸気タービン・発電機を納入して以来、設備容量ベースで世界トップの23%(注2)のシェアを占め、3,687MW、57台の納入実績(注3)がある。
同社は、今回の研究を通じ、当社は地熱発電の利用率向上に貢献し、地熱発電の拡大に寄与していくとしている。
注1:地熱蒸気にはシリカなどのスケール(固形成分)や腐食成分を含む不凝縮性ガスが含まれている。スケールはタービンや、熱交換器、配管などに付着して性能を低下させたり管路を閉塞したりするため、定期的な除去や付着防止対策が必要になる。
注2:出典Bloomberg New Energy Finance(Dec. 2017)
注3:2018年8月時点
■(東芝エネルギーシステムズ)再生可能エネルギー地熱発電:https://www.toshiba-energy.com/renewable-energy/product/geothermal.htm