NEXT MOBILITY

MENU

2024年8月30日【MaaS】

トルビズオン、1トンの災害物資を離島へドローン輸送

坂上 賢治

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 

セキド、アイテム、佐賀県唐津市と連携、1tの物資配送を100分で実現可能に

 

大型物流ドローンの販売を手掛けるトルビズオンは、DJI代理店のセキド、情報通信事業者のアイテムと共同で、2024年8月27日に佐賀県唐津市・湊 – 神集島間に於いて、DJI FlyCart30三機を使用したリレー輸送を成功させたことを(8月30日)明らかにした。この実証実験では、合計1トンの災害物資を離島へ搬送し、ドローンを活用した新たな物流インフラの可能性を示した。

 

今プロジェクトが成功した背景には、佐賀県唐津市が「SAGAスマートアイランドプロジェクト」の一環として、離島に於ける地域課題解決を目指して官民連携を強化してきたことなどがある。

 

このような取り組みは、ドローンを活用した災害時の迅速な対応や日常の物流効率化を図るもので、当地では予てより地域住民が主体となって離島の生活をより豊かにする取り組みが進められてきた。

 

今実証実験は、そうしたプロジェクトの流れを受けつつ、佐賀県でのドローン物流の利活用を推進する三者が連携し、災害時の物資輸送の新たなモデルを構築するための重要な一歩として取り組んだ。

 

具体的な実施内容は以下の通り

 

実証実験では、DJI FlyCart30三機を同時に運用し、唐津市の非常災害備蓄物資として1トンの水を搬送した。以下の検証項目を中心に、ドローンを用いた効率的かつ安全なドローン搬送空路構築に向けたデータを収集した。

 

検証項目
– 物資輸送速度と搬送能力
– 三機同時飛行時の空路設計とリスクアセスメント
– 空路間の通信の安定性と通信手法の最適化
– 海上でのドローン飛行の安全性とリスク管理
– 漁協や通船との連携、離発着場の確保と調整
– 緊急時の自動帰還性能と障害物回避能力

 

実験では合計3時間15分にて、1トンを搬送した。
現地リスクアセスメントの3往復分に要した時間:1時間30分。
リスクアセスメント後の往復飛行時間:7.1分(離発着時のオペレーション含む)。
※待機時間:45分の定期渡船運行時は計算に含めていない。

 

片道の飛行距離が約1600∼1800m程、往復でも4km弱という事もあり、 実証中モーター温度上昇は認められなかった。 (最高でも90℃台で推移、飛行開始すると「空冷」で解消も確認済)

計算根拠
– ドローン数: 3機
– 1便あたりの搬送量: 2箱(24kg)
– 1箱の内容: 500mlの水ボトル24本(12kg)
– 目標搬送量: 1トン

 

必要な往復回数:
1トン ÷ 24kg/便 ≈ 約42便

 

各ドローンの往復回数:
42便 ÷ 3機 = 14回の運搬(7往復)

 

実際の飛行時間:
7.1分/往復 × 7往復 = 49.7分 ≈ 50分

 

理論上の飛行時間:
7.1分/往復 × 14往復 = 99.4分 ≈ 100分

 

本土側の様子

本土側(湊)の様子、発電機活用による無電源充電環境を完備

 

神集島側の様子

神集島側の様子、岸壁にドローンポートを設けて三機それぞれにオペレーターを配置

 

 

この取り組みについてトルビズオン代表の増本衛氏は、「今回の成果を基に、FlyCart30の運用技術をさらに発展させ、佐賀県全域での空路整備事業S:ROADに取り組んでまいります。

 

今回は唐津市での実験でしたが、多久市や小城市などすでに連携している自治体との協力を強化し、佐賀県全体での大型ドローン物流のユースケース掘り起こしや空路整備を推進していきます。

 

この取り組みにより、災害時の迅速な対応や日常の物流効率化が図られ、離島や交通が制約される地域で大きな効果を発揮するものと考えています。これからもセキド様やアイテム様、自治体様との連携を深め、物流ドローンの導入支援と空路整備を通じて地域社会の発展に貢献してまいります」と述べた。

 

FlyCart30の情報
https://www.truebizon.com/dji-flycart30?utm_source=pr&utm_medium=lp&utm_campaign=0405

CLOSE

坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。