トヨタ自動車は、現在TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamで代表を務めるトミ・マキネン氏(※)と、「もっといいクルマづくり」のより一層の促進を主目的とし、来年1月からのモータースポーツアドバイザー就任の契約に関して基本合意した。
マキネン氏は、2017年にトヨタとして18年ぶりに復帰したFIA世界ラリー選手権(以下、WRC)の活動において、短期間で戦闘力の高い参戦車両を造り上げ、復帰2年目の2018年にはマニュファクチャラーズタイトル獲得、2019年にはドライバーズタイトル獲得に貢献した。
トヨタは、この卓越した知見を、GR車両開発やモータースポーツ戦略の計画や運転技術指導等を通じた人材育成などに生かすため、今回、マキネン氏とモータースポーツアドバイザー就任の契約について、基本合意した。
また、これに伴いWRCの活動について、現状のトミ・マキネン・レーシング(以下、TMR)を中心としたラリー・オペレーションを、欧州のTOYOTA GAZOO Racing Europeへ移管。TMRで培われた車両開発ノウハウを学び、具体的な事業展開に繋げていくと共に、実践的な人材育成を加速させるなど、体制を強化する。
なおTMRの既存の人材や一部施設は、移管後も活用し、これまで同様フィンランドとエストニアで活動していく予定だと云う。
トヨタのモータースポーツアドバイザーへの就任に向けて、TMR代表取締役のトミ・マキネン氏は、以下のように話している。
「トヨタのWRCプロジェクトの目標は効率的にラリー事業を再開することでした。そのためには小さな会社だからこそ発揮できる組織の柔軟性が必要でした。この目標が達成された今、私はトヨタと新たな挑戦を始める時だと言えます。
豊田章男さんにはこのプロジェクトで私を信頼していただき、私たちが一緒に設定した目標を達成するために全面的に支援していただいたことに感謝したいと思います。これからも引き続き、モータースポーツにおけるトヨタの未来を彼と一緒につくっていけることを楽しみにしています。
また、トヨタが、これまで共に築き上げてきたWRC事業を引き継いでくれること、そしてTMRの従業員にTOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamとして安心して働けるチームと未来を提供してくれることを大変嬉しく思います。
加えて、TGR-Eの傘下に入っても引き続きフィンランドとエストニアにオペレーションが残るということもうれしく思います」。
また、トヨタ代表取締役社長の豊田章男氏は、以下のように話している。
「トミとの出会いがあり私はWRCに戻ることを決めました。
彼の力があって私たちはWRCで勝つことができました。そして、その力を借りて我々はGRヤリスという4WDのスポーツカーをつくることができました。
これからはモータースポーツアドバイザーという役割を担ってもらいます。今までのような競技に勝つためのアドバイスはもちろん、トヨタが進めるもっといいクルマづくりにも広くアドバイスをもらえることを期待しています。
今回の就任を経ても、彼は私の運転の先生役であることは変わりません。トミ、また一緒に走りましょう!」
※)トミ・マキネン(Tommi Mäkinen):1985年ラリーデビュー。WRCで通算24回の優勝を果たす。1995年から三菱のワークスドライバーとしてステアリングを握り、1996年から1999年にかけてWRC4年連続ドライバーズチャンピオンに輝くという偉業を成し遂げた。2002年にスバルへ移籍した後も素晴らしい成績を収めた、歴史に残るラリードライバー。