東京地下鉄(東京メトロ)は6月24日、昨年6月に日比谷線八丁堀駅の多機能トイレ内で起きた利用客の死亡事故に関して、週刊誌からの問い合わせを受けるまで、遺族への説明や広報を怠っていたとして謝罪した。事故では、トイレの非常通報装置の故障により、中で倒れた人が約7時間に亘って放置され、発見が遅れた。
事故の経緯
昨年6月7日(月)23時頃、日比谷線八丁堀駅構内巡回中の警備員が多機能トイレ使用中ランプの点滅を認め駅事務室に連絡、駅係員と多機能トイレへ急行。多機能トイレのドアを開錠のうえ入室したところ、中で人が倒れているのを発見したため、119番、110番通報、到着まで救命措置を行った。
この多機能トイレには、30分以上の在室か非常押しボタンを押下した際に駅事務室へ警報が通知される仕組みと、30分以上の在室で扉横の使用中ランプが点滅する仕組みがあったが、設置・供用が開始された2012年6月の当初から、警報を通知するシステムのケーブルが繋がっていなかった他、機器のブレーカーが切状態となっていたことから駅事務室への警報が鳴動しない状態であったことが、今回の事故をきっかけに判明。セキュリティカメラの映像を確認したところ、死亡した人物は16時10分頃に入室しており、発見まで約7時間に亘って放置されていたことがわかった。
また、東京メトロは、このことについて、約8か月後の2月25日に週刊誌記者より事実確認の問い合わせを受けるまで、遺族への説明や広報を怠っていた。
今後の対応
東京メトロは、今回の事故を受けて、2月25日に社長をトップとする「八丁堀駅お客様発見遅れに関する再発防止対策推進会議」を設置し、安全を第一とした迅速な対応、抜本的対策および再発防止に向けた社内推進体制の構築に着手。
再発防止対策の策定にあたっては、専門的かつ外部の第三者としての立場からの知見が必要であるとして、3月25日に外部有識者を含む「八丁堀駅お客様発見遅れに関する再発防止対策推進委員会(以下、委員会)」を設置。今日までこの問題について検討してきたと云う。
委員会では、「お客様の視点でみた安全」や「社会からみた東京メトロ」という視点を重要なポイントとして位置付け、それを立脚点にしながら議論を進め、問題点を抽出し、それに対する対策の検討をした上で、「八丁堀駅お客様発見遅れに関する再発防止対策報告書(以下、報告書)」を取りまとめて公表。報告書に基づく再発防止対策を迅速かつ確実に推進し、利用客の安全を最優先とする企業文化の醸成に努め、弊社施設内の各種設備について確実な施工、保守・点検を徹底していくとしている。
■(東京メトロ)日比谷線八丁堀駅多機能トイレの機能不備によるお客様発見遅れに関する再発防止対策の検討結果について(pdf):https://www.tokyometro.jp/news/images_h/metroNews220624_34_1.pdf
■(東京メトロ)八丁堀駅お客様発見遅れに関する再発防止対策報告書(pdf):https://www.tokyometro.jp/news/images_h/HatchoboriStation_Report.pdf
■(文春オンライン)多機能トイレで7時間“放置死” 東京メトロが認めた二つの怠慢:https://bunshun.jp/articles/-/52421