国土交通省東京航空局は、IHIによる航空機用発動機の修理作業及び検査において、不適切な事案が多数確認されたことから、4月9日付けで同社に対して航空法に基づく業務改善命令を行い、再発防止策等について報告するよう指示した。
また、認定事業場による不適切事案を未然に防止するため、今後、認定事業場に対する監視・監督を強化することとした。
[経緯]
東京航空局が、IHIの民間エンジン事業部瑞穂工場(装備品の修理改造認定事業場)に対し、航空法第134条に基づき1月から2月にかけて立入検査を実施し、その後報告徴収を実施したところ、航空機用発動機の修理作業及び検査において、以下のような不適切な事案が多数確認された。
・部品の検査を、業務規程に基づく適切な社内資格を有する検査員ではなく、資格を有さない者が実施。
・所定の作業工程どおりに作業及び検査を実施しなかったにもかかわらず、実施したように作業記録書の検査実施日を改竄。
・計測機器の定期検査記録書の検査実施日が適切でない。
[要因・背景]
要因・背景として、事業拡大、業務の増加に対応した検査員の育成・増員を適切に行わないまま納期を優先、現場で安全意識やコンプライアンス意識が働かなかったことが、IHIから報告された。
また、当該事案については、過去に社内において改善の機会があったにもかかわらず、経営層まで情報が共有されず、必要な要因分析や再発防止策を講じていなかったことが確認され、認定事業場として必要な安全管理システムが十分に機能していなかったことも認められた。
[IHIに対する業務改善命令]
これを受け、東京航空局は4月9日、航空法第20条第5項の規定に基づき、同社に対し、出荷品の自主回収、不適切事案の要因・背景の分析を実施するとともに、具体的な再発防止策を講じた上で報告することを指示する業務改善命令を行った。
[認定事業場に対する監視・監督の強化]
また、このような認定事業場による不適切事案を未然に防止するため、航空局は今後認定事業場に対する随時検査を原則抜き打ちで実施し、また認定事業場が実施した検査記録の裏付けまで確認するなど、検査内容の見直しを行い、認定事業場に対する監視・監督を強化することとした。