ユニバーサルモビリティの「RODEM(ロデム)」をはじめ、ロボットの開発・製造・販売などを手掛けるテムザックは、11月8日、下水道点検の作業効率化を助けるクモ型ロボット「SPD1」(プロトタイプ)を開発したと発表した。
同社では、人手不足が叫ばれる様々な業界に於いて、産業用ロボットでもなく、コミュニケーションロボットでもない、人と共存しながらより実用的な業務を遂行する“ワークロイド”の開発を推進。今回、道路・下水道管整備会社からの依頼により、このロボットを開発したと云う。
全国で1970年代頃から急速に整備が進められた下水道管渠(かんきょ)は、総延長約49万kmの内、約2.5万km(総延長の5%)が既に標準耐用年数の50年を経過し、さらに10年後には8.2万km(17%)、20年後には19万km(39%)と、急速に増加。加えて、建設業界の中でも特に下水道工事現場では慢性的な人手不足が顕著に表れており、点検や修繕が完了する見込みが立てられない状況にあると云う。
そんな下水道管渠の現状を鑑み、テムザックでは、新たな試みとして「SPD1」を開発。今後、下水道管調査の現場において実証実験を行った上で、製品モデルの発表を予定している。
また、将来的には作業可能なアームの追加など、機能を付け替えて、下水道工事以外にも人の入れないような狭所に於ける調査・作業など、増え続けることが予想される多様なニーズにも対応させていきたいとしている。
[SPD1の特徴]
・国内の下水道管内調査で現在使用されている9割以上のTVカメラ搭載のタイヤ走行式の調査用ロボットに対して、走破性に優れた多脚歩行式を採用。今後は、下水道工事だけでなく人が入れないほど狭い空間の調査・作業への展開も計画。
・管内径に柔軟に沿う脚部設計により、一台で異なる直径の管も走行可能。
・ロボットは、単体でも群れでも動かせるため、先頭を前方確認に、2台目を調査箇所記録に、3台目を必要箇所で作業させるといった編成も可能。
・360度カメラを搭載しているため、カメラを対象へ向ける必要がなく、煩雑な操作が不要。
・ゲームコントローラでの操作により直感的に動かせる。
<スペック>
– 名称/型番:多脚歩行式ロボット「SPD1」(プロトタイプ)
– サイズ:
【A】基本仕様:21×25×25cm
【B】上部カメラ付き:21×25×28cm
【C】360度カメラ付き:21×25×28cm
– カメラ性能:
・Raspberry Pi Camera V2:画角水平62.2°×垂直48.8°
・XDV360:画角220°(全周)
– 重量:約3.5kg/1台
– 適用管径:φ200~300mm
– 電源/駆動電圧:非バッテリー式/DC 12.5V
– 通信:有線LANケーブル
– 操作方法:コントローラ操作による自走式。
※2022年11月8日時点。
■テムザック:https://www.tmsuk.co.jp/