Publications:Cristiano Tomás
道路上の危険物をAIで自動的に検出・撤去する活動に取り組む
一般財団法人トヨタ・モビリティ基金( TMF / Toyota Mobility Foundation )は8月2日、米国カリフォルニア州サンノゼ市に対して26万ドルの助成金を提供し、当該地域の道路を舞台にAI技術を駆使した課題改善プロジェクトを始動させた。
より具体的には、TMF、サンノゼ市、US Ignite( ユーエス イグナイト / 地域社会が技術革新の難題に取り組むことを支援する非営利団体 )と共に、地域道路を全ての人にとって安全で渋滞の少ないものにするべく、先進的な人工知能( AI )とコンピュータービジョン技術を活用。
来たる2025年12月までの取り組み期間を定めて、主に自転車専用レーン上への違法駐車や廃棄物など、道路上で市民に対して危険をもたらす〝障害物〟を自動的に検出・撤去する活動に取り組む。
そそそも北カリフォルニア地域の都市サンノゼは100万人近い人口を擁し、全米で13番目に大きな都市だ。加えて最も多様性に富んだ街のひとつであり、今日では世界的なイノベーションの中心地へと変貌を遂げ、その結果、世界最大級のテクノロジー企業や専門知識が集積している巨大都市となった。
AI搭載カメラを装着したサンノゼ市保有車両
先端イノベーションを駆使し、より安全なサンノゼを目指す
そんなサンノゼ市では、予てより自転車や歩行者などの交通弱者に対して影響を与える自転車専用レーン上の違法な駐車車両、廃棄物、家具、マットレスなどの投棄が大きな危険因子となっていることを予てより認識しており、この問題に対処するため、市民のプライバシーを守りながら障害物の特定と撤去に繋げて、市民サービスの向上・改善活動を行う。
この取り組みは、そのような地域の特性を活かし、市の安全性、公平性を優先する「San José 2025 Better Bike Plan(市内の自転車ネットワークを安全、便利、快適、公平なものにする取り組み)」や、交通死亡事故と重傷者をゼロにする「Vision Zero San José」に沿ったもの。
なおTMFにとっても、当該プロジェクトは2021年より取り組んでいるモビリティシステムに関わる長期プロジェクト「Together in Motion」のひとつであり、そのコンセプトは、ステークホルダー( 行政、公共機関、民間、非営利団体 )と協働で、モビリティのイノベーション促進や、先進モビリティ技術の研究開発の推進を目的としている。
AI搭載カメラを装着したサンノゼ市保有車両
同取り組みについてサンノゼのマット・マハン市長( Matt Mahan )は、「AIを活用して常に自転車レーンを空けておくことは、危険な場所を無くして(割れ窓理論の実証)公共の安全を強化するだけに行うものでありません。
それはサンノゼ市ならではの革新的なソリューションへの取り組み姿勢を示すものでもあるのです。私たちは、トヨタ・モビリティ財団およびUS Igniteと協力して、全ての道路利用者にとって、私達の街サンノゼが、より安全な街になっていくことを意味しており、このような取り組みを私達は、心から嬉しく思っています」と述べた。
プロジェクト実施にあたり最も適した都市として選ばれた
またUS Ignite のニック・メイナードCEO( Nick Maynard )は、「今施策にあたっては、プロジェクトの実行に最も適した地域を選ぶ過程を経て、最終的にサンノゼ市に白羽の矢が立ちました。
それは今プロジェクトを実施した後の〝社会的影響の大きさ〟、〝施策を成功させる要素を備えた都市であること〟、また〝プロジェクト実施後の効果が長期的に持続されること〟の3つで、サンノゼが同三要素に最も適った都市であることが示されたためです」と説明した。
トヨタ・モビリティ財団・US Ignite・サンノゼ市によるプロジェクトチーム
またTMFのグローバル リサーチ並びに米地域を担うシニア マネージャーのウィリアム・チェルニコフ氏( William Chernicoff )は、「AIを道路の安全性向上に応用することは、全ての人に広くアクティブなモビリティソリューションを提供すること、また、その可能性を保証し続けること、移動の安全性を向上させるという、私たちがこうした取り組みを経て叶えたい理想の姿を体現しています。
サンノゼ市が、交通弱者に優しい交通環境を創り、道路を利用する全ての市民の安全を等しく保証するという目標を達成するためには、都市行政が安全性、信頼性、堅牢性を備えた施策を実施し、またそれを享受する人々が都市が提供するインフラを信頼する必要があります。私たちは、サンノゼ市と都市を安心・安全にするノウハウを共有し、全ての人々にとって道路をより安全にしていけることをとても光栄かつ嬉しく思います」と話している。