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2024年8月2日【IoT】

TMF、AIを活用しサンノゼ市街路の安全性向上に取り組む

坂上 賢治

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Publications:Cristiano Tomás

 

道路上の危険物をAIで自動的に検出・撤去する活動に取り組む

 

一般財団法人トヨタ・モビリティ基金( TMF / Toyota Mobility Foundation )は8月2日、米国カリフォルニア州サンノゼ市に対して26万ドルの助成金を提供し、当該地域の道路を舞台にAI技術を駆使した課題改善プロジェクトを始動させた。

 

より具体的には、TMF、サンノゼ市、US Ignite( ユーエス イグナイト / 地域社会が技術革新の難題に取り組むことを支援する非営利団体 )と共に、地域道路を全ての人にとって安全で渋滞の少ないものにするべく、先進的な人工知能( AI )とコンピュータービジョン技術を活用。

 

来たる2025年12月までの取り組み期間を定めて、主に自転車専用レーン上への違法駐車や廃棄物など、道路上で市民に対して危険をもたらす〝障害物〟を自動的に検出・撤去する活動に取り組む。

 

そそそも北カリフォルニア地域の都市サンノゼは100万人近い人口を擁し、全米で13番目に大きな都市だ。加えて最も多様性に富んだ街のひとつであり、今日では世界的なイノベーションの中心地へと変貌を遂げ、その結果、世界最大級のテクノロジー企業や専門知識が集積している巨大都市となった。

 

AI搭載カメラを装着したサンノゼ市保有車両

 

先端イノベーションを駆使し、より安全なサンノゼを目指す

 

そんなサンノゼ市では、予てより自転車や歩行者などの交通弱者に対して影響を与える自転車専用レーン上の違法な駐車車両、廃棄物、家具、マットレスなどの投棄が大きな危険因子となっていることを予てより認識しており、この問題に対処するため、市民のプライバシーを守りながら障害物の特定と撤去に繋げて、市民サービスの向上・改善活動を行う。

 

この取り組みは、そのような地域の特性を活かし、市の安全性、公平性を優先する「San José 2025 Better Bike Plan(市内の自転車ネットワークを安全、便利、快適、公平なものにする取り組み)」や、交通死亡事故と重傷者をゼロにする「Vision Zero San José」に沿ったもの。

 

なおTMFにとっても、当該プロジェクトは2021年より取り組んでいるモビリティシステムに関わる長期プロジェクト「Together in Motion」のひとつであり、そのコンセプトは、ステークホルダー( 行政、公共機関、民間、非営利団体 )と協働で、モビリティのイノベーション促進や、先進モビリティ技術の研究開発の推進を目的としている。

 

AI搭載カメラを装着したサンノゼ市保有車両

 

同取り組みについてサンノゼのマット・マハン市長( Matt Mahan )は、「AIを活用して常に自転車レーンを空けておくことは、危険な場所を無くして(割れ窓理論の実証)公共の安全を強化するだけに行うものでありません。

 

それはサンノゼ市ならではの革新的なソリューションへの取り組み姿勢を示すものでもあるのです。私たちは、トヨタ・モビリティ財団およびUS Igniteと協力して、全ての道路利用者にとって、私達の街サンノゼが、より安全な街になっていくことを意味しており、このような取り組みを私達は、心から嬉しく思っています」と述べた。

 

プロジェクト実施にあたり最も適した都市として選ばれた

 

またUS Ignite のニック・メイナードCEO( Nick Maynard )は、「今施策にあたっては、プロジェクトの実行に最も適した地域を選ぶ過程を経て、最終的にサンノゼ市に白羽の矢が立ちました。

 

それは今プロジェクトを実施した後の〝社会的影響の大きさ〟、〝施策を成功させる要素を備えた都市であること〟、また〝プロジェクト実施後の効果が長期的に持続されること〟の3つで、サンノゼが同三要素に最も適った都市であることが示されたためです」と説明した。

 

トヨタ・モビリティ財団・US Ignite・サンノゼ市によるプロジェクトチーム

 

またTMFのグローバル リサーチ並びに米地域を担うシニア マネージャーのウィリアム・チェルニコフ氏( William Chernicoff )は、「AIを道路の安全性向上に応用することは、全ての人に広くアクティブなモビリティソリューションを提供すること、また、その可能性を保証し続けること、移動の安全性を向上させるという、私たちがこうした取り組みを経て叶えたい理想の姿を体現しています。

 

サンノゼ市が、交通弱者に優しい交通環境を創り、道路を利用する全ての市民の安全を等しく保証するという目標を達成するためには、都市行政が安全性、信頼性、堅牢性を備えた施策を実施し、またそれを享受する人々が都市が提供するインフラを信頼する必要があります。私たちは、サンノゼ市と都市を安心・安全にするノウハウを共有し、全ての人々にとって道路をより安全にしていけることをとても光栄かつ嬉しく思います」と話している。

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。