一般財団法人トヨタ・モビリティ基金(TMF/Toyota Mobility Foundation)は11月8日、「サステナブル・シティズ・チャレンジ」の最終候補10都市を選定した。
この「サステナブル・シティズ・チャレンジ」活動は、NPO法人の「Challenge Works(チャレンジワークスは社会問題解決を目的としたコンテストの設計・推進を行う英国の非営利団体)」及び、ワシントンD.C.に本拠地を置く地球環境や都市交通の課題に取り組む非営利団体「WRI(World Resources Institute/ワールド・リソース・インスティチュート」と共同で行われているもの。
より具体的には、これから革新的で持続可能なモビリティ・ソリューションを持つイノベーターと都市を結び付けた上で、先の3者が都市が直面する課題に合わせたソリューションの提供と助成を組み合わせて、人々の生活の質の向上を狙うコンテスト形式のチャレンジブランを実行していく。
それぞれのプランは3年間・助成総額900万ドル規模となっており、募集を先の2023年6月にスタートさせ、まずは「ステージ1」として「モビリティ障壁の克服」「モビリティシステムの強化」「低炭素社会の実現」をテーマとして都市を募った結果、このほど最終候補10都市を選定する段階に達した。なお募集期間中には、世界46か国の150都市から200を超える応募が寄せられた。
その際の都市の選定・絞り込みにあたっては、同取り組みが都市に与える影響、課題が革新的ソリューションを真に必要としているか、課題がテーマに合致しているかなどの観点について評価を行ったという。
2023年11月時点で最終候補となった10都市は、以降の段階で「能力開発アカデミー」に招待され、各都市の取り組みを進展させる支援を受ける他、他の参加都市とも幅広いネットワークの構築を図っていく。
結果、2024年2月には最終3都市が選定され、2024年年央より、3都市と協力する世界的なイノベーター募集が「ステージ2」として開始される予定。
イノベーターは、世界中のどこの国からでも応募は可能となっているが、選定された3都市の課題に対応できるソリューションを備えていることが求められる。
最終候補10都市は以下の通り。
都市/国/テーマ/取り組み課題
– ベンガルール(Bengaluru)/インド/モビリティ・システムの強化/クラウドソーシングを使った道路補修必要箇所、交通事故報告、事故多発地帯に関する報告環境の整備。
– デトロイト(Detroit)/ アメリカ/低炭素社会の実現/車両排気ガスに起因する観光・商業および物流拠点(Eastern Market)の住民への健康被害の抑制。
– フォルタレザ(Fortaleza)/ブラジル/モビリティ障壁の克服/特に低所得層を念頭に置いた公共交通(バス)の利便性向上。
– メデジン(Medellin)/コロンビア/モビリティ障壁の克服/特に山間部在住の弱者(障がい者、要介護者、移民等)の公共交通へのアクセス向上。
– メキシコシティ(Mexico City)/メキシコ/低炭素社会の実現/世界遺産が隣接する商業地区での望ましい人流・物流等のモビリティのあり方の模索。
– ニューオーリンズ(New Orleans)/アメリカ/モビリティ・システムの強化 ハリケーンの上陸前の避難計画立案及び環境整備。
– セベランペライ(Seberang Perai)/マレーシア/低炭素社会の実現 バトゥカワン工業団地(BKIP)での貨物車両等による温室効果ガスの排出抑制。
– バラナシ(Varanasi)/インド/モビリティ・システムの強化/ デジタルを活用した、電動三輪タクシーと他交通モードとの接続性向上。
– ベネチア(Venice)/イタリア/モビリティ障壁の克服/持続可能な交通手段の強化及びより持続可能な選択への行動変容の促進に向けた、文化的、技術的、運営上の障壁の克服。
– ヨーク(York)/イギリス/低炭素社会の実現/中世型都市の狭い道路事情とカーボンニューㇳラリティに合致した包括的交通対策の必要性(含小型電動モビリティ導入)。
なおサステナブル・シティズ・チャレンジ(Sustainable Cities Challenge)の詳細について(英語のみ)は以下URLを参照されたい。
https://sustainablecitieschallenge.org/