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2023年4月25日【ESG】

TMF、バンコク交通渋滞緩和プロジェクトの成果発表

坂上 賢治

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ラマ4プロジェクト最終発表イベント(2023年4月25日 バンコク)

 

一般財団法人トヨタ・モビリティ基金( Toyota Mobility Foundation/TMF )は4月25日、バンコクのの交通渋滞緩和プロジェクトの成果を発表した。

 

同プロジェクトは、タイ運輸省、バンコク首都圏庁、警察庁、チュラロンコン大学などのパートナーと共に「ラマ4プロジェクト( タイ・首都バンコクのラマ4世通りでの実証である事から )」と命名した移動データやAIを活用し、約3年半に亘って渋滞緩和の実現を目指してきた。

 

ちなみにこれは2015年から2年間実施した第一弾「サトーンプロジェクト」に続く第二弾であり、この第一弾を踏まえて、より科学的で正確なデータの把握が必要とする認識のもと、バンコクでもとりわけ渋滞問題が深刻なラマ4世通りに於けるプロジェクトを立ち上げた経緯がある。

 

同プロジェクトでは交通渋滞の緩和を目指し、チュラロンコン大学と共同で、「人を中心としたデータソリューション」をテーマに、研究・検証を進めてきた。

 

その結果、渋滞対策にはデータから得る知見に加えて、利用する人間の意見も踏まえたソリューションが大切であることが明確となった。

 

これらの実施内容やプロジェクトの結果を交通警察やバンコク首都圏庁などと共有。加えて交通渋滞緩和のためには、広範囲かつ継続的にデータを共有・活用することが重要であるとの提案を行った。

 

ラマ4プロジェクトの電子ブック(タイ語のみ)

 

実施事項・主な結果

 

1.交通データの視覚化
– CCTV-AI、Bluetoothセンサー、NDRセンサーなどの設置。
– 取得データをベースに走行速度、渋滞、所要時間、出発・到着地を視覚化する「ダッシュボード」を開発。
– ラマ4世通りの12ヶ所に「交通指令室」を設置し「ダッシュボード」や関連データ、カメラ映像を監視し信号変更タイミングや事故処理など交通管理に関する適切な判断をリアルタイムで実施。
– CCTV-AI、Bluetoothセンサー 車両数、車両の平均速度、渋滞の密度や長さ、右・左折の回数を計測。
– NDRセンサー 道路上の車両の位置などを測定。

 

2.交通渋滞や事故の根本的な原因の特定
データより交通渋滞が頻発する3ヶ所を特定し、分析。

 

(2−1)大規模小売店所在地区での実証
– 交通誘導員による横断歩行者の整理。
– バイクタクシー駐車位置の変更。
実証結果として混雑時の歩行者道路横断時間の短縮や車両交通流の改善を確認。
これを踏まえバンコク首都圏庁に当該地区での交通整理、信号機設置、バイクタクシー駐車場の変更案などを提示。

 

(2−2)環状道路交差点での渋滞頻発地区での知見共有講習会の実施
– 交通管理と信号制御のより効果的な実施を目的とし警察署間での交通データ連携・利用を強化するため知見共有講習会を大規模に開催。あわせて「交通指令室」の紹介、交差点への信号機設置案を提示。

 

(2−3)立体交差点周辺でのCCTV-AI設置
– ラマ4世通りにある「日・タイ橋」付近でのAIを搭載したCCTVを設置し、早期に事故を検出、最寄り交通警察に警報を発し迅速な対応を実現。

 

 

結果のまとめと提案

 

人を中心としたデータソリューションの共有・活用を提案
プロジェクトを通じて、人を中心としたデータソリューションがバンコクに於ける渋滞対策に大きな可能性があることが明確になった。

 

信号のタイミングや公共交通機関のスケジュールやルートなどの交通インフラの設計をサポートできる履歴データを利用したり、リアルタイムのデータを適切に視覚化することで、事故の予防などをサポートできることも認識できた。

 

同研究・検証結果を踏まえて、交通渋滞緩和のためには、より広範囲かつ継続的にデータを民間または公的機関と共有・活用することが重要であるとの提案を交通警察や、バンコク首都圏庁に行った。

 

これらプロジェクトで得られた研究結果は、関心のあるステークホルダーと共有することを目的に、電子ブックとして公開。

 

またラマ4プロジェクトにより導入された12カ所の交通指令室モニター設備などは交通警察に寄付され、今後もバンコクの渋滞解消に向けてデータマネージメントが活用されるとしている。

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。