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2024年12月23日【CASE】

TIS他、カヌチャリゾートで自動運転車よる無人移動販売実証

坂上 賢治

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TISインテックグループのTIS、ピクセルインテリジェンス、ホット沖縄総合研究所の3社は、沖縄県名護市のリゾート施設・カヌチャリゾートで、自動運転車「Robo-Shop」を活用した無人移動販売の実証実験を2024年12月23日より開始した。

 

上記参画企業のうちTISは、50年以上に亘り金融・産業・公共・流通サービス分野など3,000社以上のビジネスパートナーへ成長戦略を支えるITを提供。ピクセルインテリジェンスは、2024年6月に都市型ロボットのPIX Moving(出資比率70%)とTIS(出資比率30%)の共同出資により設立された。ホット沖縄総合研究所は、スタートアップ支援コンサルティング会社として事業に取り組んでいる。

 

さて今回の実証は約80万坪の敷地を持ち、客室数全294室の宿泊棟やゴルフコース、ビーチやプールなどを併設する複合型施設カヌチャリゾートが舞台だ。実証実験では、カヌチャリゾート内のフロント棟付近、ガーデンプール付近、ショップ周辺などの複数エリアで、物販需要が見込める時間帯に自動運転車Robo-Shopを移動させ、宿泊客を対象に軽食やドリンクを販売する無人移動販売の有用性を検証する。

 

もともと沖縄県内では、自動運転車による旅客の輸送実証では実績があるが、リゾート施設内での飲食物の無人移動販売は前例の少ない新たな試みとなる。今回の実証実験に於いては、TISが導入・企画、ピクセルインテリジェンスが自動運転車および技術の提供、ホット沖縄総合研究所が無人移動販売のサービス運営、カヌチャリゾートが実施施設の提供を担う。

 

なお今回、自動運転車を活用した無人移動販売の実証実験を開始する背景には、コロナ禍以降、沖縄県を訪れる国内外の観光客が急激に増加する一方、多くの宿泊施設では人手不足が深刻な課題となっていることがある。実際、帝国データバンクが2024年7月に実施した「人手不足に対する企業の動向調査」によると、旅館・ホテルの半数以上で正社員・非正社員の人手が不足していることが判っている。

 

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帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2024年7月)」
   https://www.tdb.co.jp/report/economic/rehr7dnc5xp3/

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ホット沖縄総合研究所も、カヌチャリゾート施設内のショップ運営で、いかに人手を増やさずに、宿泊客がより気軽で便利にショップを利用できる環境を整備するかについて課題を抱えていた。

 

そこでホット沖縄総合研究所は、「沖縄MaaS」をはじめとして沖縄県での移動や観光の利便性を向上させる取り組みの実績を持つTISと、自動運転に関する豊富な技術やノウハウを持つピクセルインテリジェンスと共同で、自動運転車を活用した無人移動販売の実証実験の実施に至った。3社では、今回の実証実験の結果を踏まえ、観光業や小売業における人手不足解消、DX推進にアプローチすると話している。

 

より詳細な実証実験の概要は以下の通り
今回の実証実験では、冷蔵庫を備えた自動運転車Robo-Shopが時間帯ごとに宿泊客が多く集まるエリアを移動し、軽食やドリンクの無人販売を行う。宿泊客はキャッシュレスで支払いが可能です。これにより、宿泊客の利便性向上とカヌチャリゾートの物販売上向上を目指し、ビジネスの有用性を検証する。

 

 

自動運転車Robo-Shopは、ピクセルインテリジェンスが提供する自動運転車で、未来のショッピング体験を提供するモバイル小売システムをコンセプトに、3Dプリント技術を用いて設計された。主な特長は以下の通り。

 

<特長>
技術革新と独自性
L4自動運転機能とマルチセンサー融合技術を組み合わせ、交通量の多い都市部や大規模なイベント会場といったさまざまな環境での自立走行とナビゲーションが可能。コア技術として、正確な経路計画策定機能と柔軟な障害物回避機能を搭載。

 

多用途で柔軟な運用
自動運転汎用スケートボード型EVシャーシーを採用しているため、車室部分においてカフェや売店など様々な用途に対応する柔軟な設計が可能。また、複数センサー融合技術に基づく自動位置測定技術と全世界衛星ナビゲーション機能を活用することで、周囲の物体の認識や環境の把握が精密になり、安全性が向上。これにより、さまざまな環境で安心して利用でき、消費者にとって便利で快適なショッピング体験が提供できる。

 

顧客体験の向上
移動型店舗として曜日や時間帯に応じて需要が見込めるスポットへ無人で移動し、物品などを販売。また、無人販売により営業時間の拡大が可能となり、利用者の顧客体験を向上(実証実験段階では、安全員の配備が前提)。

 

環境に配慮した設計
電気駆動システムにより二酸化炭素の排出を抑え、最小限のエネルギー消費で動作する省エネモードを採用。環境保護に貢献し、持続可能な都市開発をサポート。

 

モジュール性とカスタマイズ性
モジュール設計を採用し、顧客のニーズに応じて柔軟にカスタマイズ。異なるサイズの棚の組み合わせや、さまざまなカテゴリの商品の陳列により、特定のターゲット層に合わせてデザインを変更可能。

 

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実施期間 :2024年12月23日(月)~2025年1月23日(木)
      期間中は8時頃~23時頃まで稼働予定
稼働台数 :1台
利用方法 :冷蔵庫から商品を取り出し、セルフレジで商品登録、代金支払
支払方法 :キャッシュレス(クレジットカード、各種電子決済、二次元コード、デビットカード)
      ※現金不可
販売エリア:フロント棟付近、ガーデンプール付近、ショップ周辺
      ※販売エリアは変更になる場合がある

※販売を休止する場合あり。休止日程はリゾートアミューズメントラウンジLUPiNUS(ルピナス)の公式Instagram(ハイライト「Robo-shop」)で随時告知する。

 

販売時間/販売場所(目安)
■9:00~11:30
フロント前(カヌチャレンタカー カヌチャ営業所付近)
■14:30~17:30、20:00~22:00
パティオ(ガーデンプール前ロータリー付近)
■22:10~22:45
カヌチャステラ教会前またはカヌチャリアンショップ駐車場
※稼働状況によって時間が前後する場合あり。

 

販売商品
・シークヮーサーレモンケーキ
・やんばる卵のなめらかプリン
・ロールケーキ(シークヮーサー、チョコレート、ヨモギ)
・小亀せんべい(塩味、梅味)
・おきなわ黒糖サブレ
・シークヮーサーチーズケーキ
・アンマーかちゅーゆ(鰹節の味噌汁)
・カヌチャオリジナルフルーツケーキ、焼き菓子
・スナック菓子、チョコレート菓子
・ソフトドリンク各種
※在庫状況によって異なる場合がある。

 

支払い方法
キャッシュレス決済のみ
・クレジットカード
・デビットカード
・各種電子決済
・二次元コード決済
※現金は利用できない。
※一部利用できない決済方法やカードブランドもあり。

 

備考
・雨天などの悪天候の際は、営業を中止する場合がある。
・記載の内容は予告なしに変更する場合がある。

 

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問い合わせ
リゾートアミューズメントラウンジ「LUPiNUS」(ルピナス)
TEL:0980-55-8796 内線:757(9:00~23:00 ※月曜日は9:00~17:00)

 

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今後について
今回の実証実験を通して、自動運転技術を活用した無人移動販売のノウハウの蓄積や需要把握、課題抽出に取り組み、今後さまざまな地域および施設において「移動コンビニ」としての機能を兼ね備えたサービスの拡大を目指す。また、公道を利用した無人移動販売の提供についても検討を進め、実現に向けて取り組みを推進していく。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。