経済産業省が支援するなかセブン‐イレブン・ジャパン、ファミリーマート、ローソンの3社は7月22日、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)課題「スマート物流サービス」の実施を背景に各社店舗への横断的な共同配送の実証実験を実施する(研究代表機関:公益財団法人流通経済研究所)と発表した。(坂上 賢治)
なお上記の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)とは、総合科学技術・イノベーション会議が、府省の枠や旧来の分野の枠を超えたマネジメントに主導的な役割を果たすことを通じて新たなイノベーションを実現するべく内閣府が創設したプログラム。同プログラムは12のテーマで実施されており、今回の実証実験はそのうちの「スマート物流サービス」の研究開発の一環として実施されるもの。
目下コンビニエンスストアは全国で約56,000店舗あり、駅前の商業施設や大学、病院など様々な施設に展開する他、セブン‐イレブン、ファミリーマート、ローソンは災害対策基本法に基づく指定公共機関にも指定されるなど、もはや社会インフラのひとつ。それゆえに安定的に商品を供給するための物流網の維持・構築は行政戦略上、欠くことのできないものとなっている。
そこで今回は、経産省が音頭を取って個別に最適化・高度化されてきたコンビニ物流を見直し、共同配送・在庫といった物流の共同化による効果を実証実験を通じて検証することになった。なおフードマイレージの削減、運行トラック数の減少による二酸化炭素排出量の削減といったSDGsの視点も合わせて検証を実施していく。
対象店舗となるセブン‐イレブン13店舗、ファミリーマート13店舗、ローソン14店舗の合計40店舗で、8月1日(土曜日)から7日(金曜日)の1週間の実施を予定。具体的には、江東区にある物流倉庫に共同物流センターを設置し、コンビニ各社の常温配送商品(飲料・菓子・日用雑貨 等)をそれぞれのセンターから商品移送を行い、フランチャイズチェーン横断的に効率化したルートで配送する。また共同在庫の可能性も検討するため、一部商品は共同物流センターにおいて在庫し、店舗別にピッキング等も実施する予定だ。
経産省としては、今実証実験の結果を踏まえSDGsの視点を持つコンビニ業界の新しい物流の形を検討していく。また将来的には業態横断での物流の最適化も視野に検討を加速していきたいと考えだ。