モーション(本社:東京都文京区、代表取締役:上杉 顕一郎)、プラゴ(本社:東京都品川区、代表取締役:大川 直樹)、大和自動車交通(本社:東京都江東区、代表取締役社長:大塚 一基)の3社は、EV営業車の充電運用最適化に係る実証実験を実施中だ。
実証期間は2023年10月から2024年3月まで。この実証は、日産自動車の法人向けEV車両データ外部連携サービス「Nissan Biz Connect API」を用い、日々の業務や事業所内の電力需要に適した充電運用の可能性を検証する内容となっている。
今回、上記3社で実証を行う背景には、一般的な〝流し〟のタクシー業務で、顧客の乗車場所や乗車時間、乗車した先の目的地を事前に知ることができず、EV車両のバッテリー残量(現段階でEV車は、一充電あたりの航続距離が内燃エンジン車に比べ短い)によっては、目的地までの案内ができなくなるケースが起こる可能性が常に付きまとうため。
加えて交通事業社・運送事業社のドライバーの労働環境に係る「2024年問題」が叫ばれるなか、業務時間中の充電が、ドライバー起用上での営業機会の損失に繫がる可能性も危惧してのことだという。
そのためにも車両とドライバーの非稼働時間に、事業所の駐車場内に於いて、できるだけ多くの車両に、当該営業中に必要とされる充電を行う必要が出てくる。
またその際、複数台のEVへ効率的に充電するために、受電設備や契約電力の観点から、電力デマンドのピークを抑制する仕組み(エネルギーマネジメントシステム)も必要となる。
しかし単にピークを抑制するだけでは、業務に必要な充電量を確保できなくなるケースも起こりえる。従って車両ごとの翌日の稼働予定や電池残量から、ダイナミックに充電をスケジュールする仕組みが求められている。
そもそも今実証参画企業のなかでモーションは、平成23・24年度の環境省 地球温暖化対策技術開発等事業の採択を受け「EVタクシー運行最適化システム(EVOT)」の開発・運用を行ってきた。
そこで同社は、今回、電力デマンドのピークを発生させずに複数の営業車両に必要な充電量を適切に充電できるようにするべく、EVフリート向け充電管理ソリューション「Optiev(オプティーブ)」を開発したことで新たな実証実験を提起した。
EV充電システム企業のプラゴは、その「Optiev」と連携することで、タクシーの運行状況に応じた最適な充電スケジュールと電力出力による充電をサポートする。また2022年12月からEVタクシー導入を開始させた開始大和自動車交通は、営業車両の日産リーフを今回の実証に提供する形だ。
より具体的には、先の通り日産の「Nissan Biz Connect API」を用いて、大和自動車交通のEVタクシー車両の「バッテリー残量」「電力消費量」「走行距離」等の各種データをリアルタイムで取得。これを基に、最適な充電スケジュールと充電出力を算出。その算出内容から、プラゴが提供する「PLUGO OPEN CHARGE LAB」を通じて充電器を制御する。
この際、ルミネが運営する「ルミネ立川」の協力も受け、来店客向けに設置されているEV急速充電器をEVタクシーの経路充電拠点として活用できるようにした。これによりタクシーが駅で乗客を待つ時間に充電を補う有用性、立川地域に於けるその他のエリア連携の可能性についても検証する。
結果、モーションの「Optiev」、プラゴ「PLUGO OPEN CHARGE LAB」、日産「Nissan Biz Connect API」の真の機能性・有用性を検証。将来的には、運行計画が事前に立てられないEVタクシーをはじめとした様々な輸送・運送事業者に対して、EVを積極的に導入できる確かなソリューションの確立を目指すという。