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68年ぶり100人台、11人減少でも…
愛知県警は1日、2018年の県内交通事故発生状況の暫定数を公表した。年間死亡者数は189人。前年比11人減少。68年ぶりに死者数を100人台に抑えることに成功したが、全国的にみると、全国ワーストの不名誉な記録を16年連続で更新する勢いだ。
事故抑止対策はそれなりの効果を見せた。例年12月に事故死者数が増えることを見越して、同月4日に大村秀章知事が交通安全年末緊急アピールを発信。加藤達也県警本部長と共に街頭啓発活動に取り組んだ。重点的な取締りの実施もあり、12月中の事故死者数を前年比で9人減少させることができた。死者数の減少幅は、けして全国的に見ても少なくはない。
ただ、事故傾向から重点分野を作って対策すると、その分野では事故は減るが、他の分野で増えるという“いたちごっこ”が止まらない。すべての分野で全体的に死亡事故を減らせないところが、愛知県の大きな悩みだ。
四輪車死亡事故、シートベルト非着用が47.6%
例えば、大村知事は緊急アピールで歩行者に対して明るい色の服装や反射材の利用を呼びかけた。結果的には歩行者の死者数は減ったが、今度は自動二輪車(29人/前年比9人増)など、バイク、自転車の運転者を中心とした事故死者が増えた。また、高齢者の事故を減らそうと働きかけたところ、高齢者の事故は減ったが、16歳~24歳の若者の事故(17人/前年比5人増)が増えた。
事故発生場所では三河地域が高く、名古屋市内は低い傾向があった。そのため三河地域に力を注ぐと、今度は名古屋市内の事故(55人/前年比16人)が増えてしまった。(当事者別、年齢層別、地域別の特徴はそれぞれ独立した分析。バイクに乗った若者の事故が多いというような相関関係を示しているものではない)
また、飲酒運転中の死亡事故が前年比で9件増加の13件あった。四輪車死亡事故では42人中20人がシートベルト非着用のだった。運転者が心がけがあれば死亡事故に至らなかった状況が、関係者のいらだちを募らせる。
死亡状況は、その年ごとに大きく変動する。それでも愛知県が常に全国ワーストを続けていることは、実は根深い問題だ。全国の交通事故発生状況は仕事始めの4日にしか明かされないが、先駆けて愛知県警が発表する理由は、そこにある。( 中島みなみ・中島南事務所/東京 文京)