国土交通省は、無電柱化法第7条の規定に基づき、関係省庁との協議や関係事業者への意見聴取等を経て、法施行後初めての「無電柱化推進計画」を策定した。
無電柱化はこれまでも、防災性の向上、安全性・快適性の確保、良好な景観形成等の観点から行われてきたが、近年の災害の激甚化・頻発化や、高齢者・障害者の増加、訪日外国人を始めとする観光需要の増加等による必要性の増大を鑑み、また、無電柱化をめぐる近年の情勢の変化を踏まえて、「無電柱化の推進に関する法律」(平成28年法律第112号:無電柱化法)を制定。
「無電柱化推進計画」では、2018年度からの3年間で、約1400kmの新たな無電柱化の着手を目標に、防災、安全・円滑な交通の確保、景観形成・観光振興等の観点から、無電柱化の必要性の高い道路で重点的に推進される。
欧米やアジアの主要都市と日本の無電柱化の現状
また、計画を着実に実行するため、コスト縮減の推進や財政的措置、占用制限の拡大等、様々な施策を講じながら、地方ブロック無電柱化協議会等を通じて、道路管理者と関係事業者等が連携して取り組んでいくとしている。
[無電柱化推進計画の概要]
<第1.無電柱化の推進に関する基本的な方針>
1.取り組み姿勢
・増え続ける電柱を減少に転じさせる歴史の転換期とする
2.進め方
(1)適切な役割分担による無電柱化の推進
(2)国民の理解・関心の増進、地域住民の意向の反映
(3)無電柱化の対象道路
①防災 ②安全・円滑な交通確保 ③景観形成・観光振興 ④オリンピック・パラリンピック関連
(4)無電柱化の手法
①地中化方式 : 電線共同溝方式、自治体管路方式、要請者負担方式、単独地中化方式
②地中化方式以外の手法 : 軒下配線方式、裏配線方式
<第2.無電柱化推進計画の期間>
2018年度から2020年度までの3年間とする。
<第3.無電柱化の推進に関する目標>
①防災
・都市部(DID)内の第1次緊急輸送道路 : [無電柱化率] 34%→42%
②安全・円滑な交通確保
・バリアフリー化の必要な特定道路 :[無電柱化率] 15%→51%
③景観形成・観光振興
・世界文化遺産周辺の地区を代表する道路:[無電柱化率] 37%→79%
・重要伝統的建造物群保存地区を代表する道路 :[無電柱化率] 26%→74%
・景観法に基づく景観地区等を代表する道路 :[無電柱化率] 56%→70%
④オリンピック・パラリンピック関連
・センター・コア・エリア内の幹線道路 :[電線共同溝整備率] 92%→完了
※以上の目標を達成するためには、約1,400kmの無電柱化が必要。
<第4.無電柱化の推進に関し総合的かつ計画的に講ずべき施策>
1.多様な整備手法の活用、コスト縮減の促進
(1)多様な整備手法の活用:軒下・裏配線、既存ストック、PFI 等
(2)低コスト手法の普及拡大:浅層埋設、小型ボックス、直接埋設 等
(3)機器のコンパクト化・低コスト化等技術開発の促進:地上機器・特殊部、昼間工事拡大、新技術 等
(4)技術情報の共有:マニュアル、ノウハウの周知 等
2.財政的措置
(1)税制措置:固定資産税の減免
(2)占用料の減額:占用料の減額措置、地方公共団体への普及
(3)予算措置:緊急輸送道路等への交付金の重点配分、単独地中化への支援、電線敷設工事資金貸付金制度の活用
3.占用制度の的確な運用
(1)占用制限制度の適用:安全・円滑な交通の確保の観点からの新設電柱の占用制限の検討・措置。また既設電柱の占用制限の検討・措置。
(2)無電柱化法第12条による新設電柱の抑制等:運用方針の策定、道路法令の改正の検討
(3)外部不経済を反映した占用料の見直し:外部不経済を反映した占用料の見直しの検討
4.関係者間の連携の強化
(1)推進体制 (2)工事・設備の連携 (3)民地の活用 (4)他事業との連携
<第5.施策を総合的、計画的かつ迅速に推進するために必要な事項>
1.広報・啓発活動 2.地方公共団体への技術的支援
■無電柱化推進計画について(詳細:PDF):http://www.mlit.go.jp/common/001230699.pdf