
2025年FIA世界ラリー選手権(WRC)第2戦ラリー・スウェーデンの最終日デイ4が2月16日、スウェーデン北部ウーメオーのサービスパーク周辺で行なわれ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(TGR-WRT)のエルフィン・エバンス選手/スコット・マーティン選手組(GR YARIS Rally1 33号車)が優勝を飾った。
勝田貴元選手/アーロン・ジョンストン選手組(18号車)が総合2位に入り、チームは開幕から2戦連続で1-2体制でフィニッシュした。また、カッレ・ロバンペラ選手/ヨンネ・ハルットゥネン選手組(69号車)は総合5位を獲得。TGR-WRT2からエントリーしたサミ・パヤリ選手/マルコ・サルミネン選手組(5号車)は、総合7位となっている。
最終日デイ4は、サービスパークの北東エリアに展開する「ベステルビーク」のステージをSS16/17として2回走行した後、最終のSS18「ウーメオー」でフィニッシュ。3本のステージの合計距離は67.32kmとなった。
早朝のウーメオー周辺はやや雲が多く、気温はマイナス10度程度。ステージの路面は最終日もしっかりとしたアイスに覆われ絶好のコンディションが保たれた。但し夜中に降った雪によりステージの一部路面は少量の新雪に覆われ、出走順が早いドライバーたちにとってはやや不利な走行条件となった。
土曜日のデイ3終了時点で、首位エバンス選手と総合2位の勝田選手の差は3.0秒。2台のGR YARIS Rally1による激しいトップ争いは最終日も続き、今大会最長となる全長29.35kmのベステルビーク1本目のSS16では、勝田選手がベストタイムを記録。5番手タイムのエバンス選手より7.5秒速いタイムで首位に立ち、総合2位に後退したエバンス選手に4.5秒のリードを築いた。
ウーメオーでの15分間のサービスを経てスタートしたベステルビークの再走ステージ、SS17ではエバンス選手が反撃。2番手タイムのティエリー・ヌービル選手(ヒョンデ)より6.7秒、3番手タイムをオィット・タナック選手(ヒョンデ)と分け合った勝田選手より8.2秒速い圧巻のベストタイムで、勝田選手を逆転して首位に復帰。3.7秒のリードを築いた。
そして迎えた最終のパワーステージ、SS18ではエバンス選手が、2番手タイムの勝田に0.2秒差のベストタイムを記録し、差を3.8秒に拡げて今シーズン初優勝、WRCキャリア10勝目を飾った。なお、二人の勝敗を分けた3.8秒は、ラリー・スウェーデンの歴史上の最僅差となっている。
エバンス選手のラリー・スウェーデンでの優勝は、ヤリスWRCで出場した2020年大会以来2回目。5年前も、今回と同じく2月16日に表彰台の中央に立った。そんなエバンス選手は、日曜日のステージのみの合計タイムで競われる「スーパーサンデー」、そしてボーナスポイントを獲得可能なパワーステージも制したことにより、1戦で獲得可能な最大ポイントの35ポイントを持ち帰ることに成功。ラリー・モンテカルロで優勝するも今回は欠場したオジエ選手を抜き、ドライバー選手権でトップに立った。
また、勝田選手も総合2位、スーパーサンデー2番手、パワーステージ2番手とエバンス選手に次ぐ大量ポイントを獲得。TGR-WRTは開幕から2戦連続で最大ポイントを獲得したことにより、マニュファクチャラー選手権に於ける首位の座を守り、ランキング2位のライバルチームに対するリードを48ポイント拡大した。
なお、今回の優勝によりトヨタのWRCにおける通算優勝回数は95回となり、史上2番目に多くの勝利を獲得したマニュファクチャラーとなった。また前日、総合5位まで順位を上げたロバンペラ選手は、オープニングのSS16で3番手タイムを、SS17で5番手タイムを、パワーステージのSS18で4番手タイムを記録し、総合5位でフィニッシュ。スーパーサンデーは5番手に入り合計13ポイントを獲得したことで、ドライバー選手権ではエバンス選手、オジエ選手に続く3番手に順位を上げた。
サポート選手権のWRC2では、GR Yaris Rally2で出場した地元のオリバー・ソルベルグ選手(プリントスポーツ)がリードを守り優勝。総合でも9位を獲得した。WRC2の2位にはローペ・コルホネン選手(ラウティオ・モータースポーツ)が入り、GR Yaris Rally2のカスタマーが1-2フィニッシュとなっている。