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2024年11月26日【イベント】

TGR、6台体制でダカールラリー2025に挑戦

坂上 賢治

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TOYOTA GAZOO Racing(TGR)は11月26日、専門性、知識、経験を結集した6台体制で2025年1月に開催されるダカールラリー2025に挑むことを明らかにした。併せてTGRが仲間と定義付けたチームランドクルーザー・トヨタオートボデー、日野チームスガワラの参戦についても言及した。

今回のTGRとTGRSA(TGR南アフリカ)による参戦体制は、若手と経験豊富なドライバーの組み合わせなど、ふたつの異なる要素をキーワードに構成したという。

 

まず欧州トヨタを代表するTGRのクルー達は、昨年に引き続き若き2人のドライバー、ルーカス・モラエス選手とセス・キンテロ選手が、それぞれコ・ドライバーのアルマンド・モンレオン選手、デニス・センツ選手と組んで出場する。

 

この若さ溢れるドライバーラインナップは、TGRの次世代の才能を育む「人財育成」という理念を体現しているとし、彼らに比類なき経験とラリーレイドの世界での成長の機会を提供するのだと謳っている。そもそもモラエス選手とキンテロ選手の活躍で、TGRは今季2024年FIA世界ラリーレイド選手権(W2RC)でマニュファクチャラーズチャンピオンを獲得。TGRはその勢いを保ったままダカールラリー2025に臨むのだとした。

 

対してTGRSAからは、ベテランのジニエル・ド・ヴィリエール選手/ディルク・フォン・ジッツェヴィッツ選手組と、ヘンク・ラテガン選手/ブレット・カミングス選手組、ガイ・ボッテリル選手/デニス・マーフィ選手組、サオード・ヴァリアワ選手/フランソワ・カザレ選手組の4台が加わる。

 

この合計6台からなるラインナップは、ダカールラリー参戦チーム中、最も多様かつバランスのとれたチームのひとつであり、若く、そして活力溢れる精神と、数十年にわたるラリーレイドの経験が組み合わされている。

 

なおダカールラリー2025では昨年に引き続き、再生可能燃料に関して最先端の技術を持つレプソル社とのパートナーシップを継続。このパートナーシップはTGRの持続可能なイノベーションへ向けた動きを反映したものであり、モータースポーツにおけるカーボンニュートラルの未来の実現を支援するものだともしている。

 

上記6チームはラリーレイドの現場でその性能が担保されたGRダカールハイラックスEVOの最新仕様で参戦する。改良箇所は、トヨタのモノづくり哲学である「継続的な改善」に根ざしており、過去の成功を土台に、過酷な地形にも耐える車両を作り上げたとしている。

 

 

2025年GRダカールハイラックスEVO車両仕様

  • エンジン:V35A 市販仕様(ランドクルーザー300に搭載)
  • エンジンタイプ:ツインターボガソリン
  • コントロール規則:FIA規定パワーカーブによるブースト制限
  • 最大出力:264 kW @ 5,300 rpm
  • 最大トルク:620 Nm
  • エンジンマネージメント:モーテック
  • トランスミッション:Sadev製6速シーケンシャル
  • ディファレンシャル:前後及び中央全てLSD
  • クラッチ:セラミックツインプレート 直径215mm
  • フレーム構造:チューブラーフレーム
  • ホイールベース:3,140mm
  • トレッド幅:2,025mm
  • 全長:4,810mm
  • 全幅:2,300mm
  • 全高:1,890mm
  • 車重:2,010kg,FIA規定最低重量(ドライウェイト)
  • ボディ形状:トヨタ ハイラックスダブルキャブピックアップ 複合素材ボディ
  • フロントサスペンション:ダブルウィッシュボーン、ストローク350mm
  • リアサスペンション:ダブルウィッシュボーン、ストローク350mm
  • ホイール:Evo Course 17インチ
  • タイヤ:BFグッドリッチ 37インチ
  • 燃料タンク:FT3安全セル 540リッター

 

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以下は参戦6チームから成るメンバーコメントとなる

 

アンドレア・カルロッチ(チーム代表)
ダカールラリー2025は、TOYOTA GAZOO Racingの卓越性とイノベーションへの取り組みを象徴するものです。主要パートナーであるレプソルと共に、持続可能な未来に向けて大きな一歩を踏み出します。今年のチームは若さと経験の融合であり、ダカールへの挑戦には不可欠な要素だと信じています。GRダカールハイラックスEVOは入念に改良を重ねてきましたし、来たるダカールラリーにおいても、最強のチームのひとつであると確信しています。

ルーカス・モラエス(ドライバー)
再びダカールラリーに、特にこれほど強力なチームの一員として挑戦できることにとても興奮しています。GRダカールハイラックスEVOは素晴らしいクルマで、最新の改良が加えられたことにより、トップレベルで戦うためのすべてが整っていると確信しています。トヨタのワークスドライバーとして、レプソルのようなパートナーと協力しながら、持続可能なモータースポーツ活動の未来を目指して走れることを光栄に思います。

 

 

203号車 ドライバー ルーカス・モラエス/コ・ドライバー アルマンド・モンレオン

 

セス・キンテロ(ドライバー)
TOYOTA GAZOO Racingの一員としてダカールラリー2025に参戦できることになり、夢のようです。毎年、私はドライバーとして学び成長していますが、ダカールラリーは究極のテストです。また、レプソルがパートナーであることで、モータースポーツという枠を超えた大きなものに貢献していることを知り、わくわくしています。我々は再生可能エネルギー技術にパイオニアとして取り組み、モータースポーツにおいて持続可能なエネルギーで何ができるかを示そうとしています。

 

204号車 ドライバー セス・キンテロ/コ・ドライバー デニス・センツ

 

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またチームランドクルーザー・トヨタオートボデー(TLC), 日野チームスガワラの各チームの動きでは、TLCがランドクルーザー300 GR SPORTをベースとしたラリー車の2台体制で市販車部門(FIAストッククラス)に参戦。日野チームスガワラはHINO 600シリーズをベースにした車両の1台体制でトラック部門に挑む。

 

 

なお来年1月初めに開催されるダカールラリー2025はTGRにとっても、2025年のW2RCシーズン第1戦として行われるため、ダカールラリーで好成績を収めることは、チャンピオン獲得へ向けた第一歩となる。

 

 

 

最新情報
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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。