TOYOTA GAZOO Racing(以下「TGR」)は8月22日、FIA-F4の第2大会(第3,4戦)で、TGR-DC RSのスカラシップを受ける荒川麟(TGR-DC RSトムススピリットF4)が第4戦で初優勝を飾ったと発表した。
8月21日(土)、22日(日)の両日、三重県の鈴鹿サーキットでFIA-F4選手権の2021年第2大会(第3戦、第4戦)が開催された。7月半ばにもてぎで第3大会が行われてから1か月、元々5月末に予定されていたものの、8月へ延期となっていた鈴鹿ラウンドは、暑さが予想された今大会であったが、前線の停滞などの影響で予想外に涼しく、路面も不安定な中での難しいレースとなった。
今季の同シリーズには、TGR-DC RS(TOYOTA GAZOO Racing ドライバー・チャレンジプログラム レーシングスクール)のスカラシップドライバーとして、シリーズ参戦3年目となる野中誠太(TGR-DC RSトムススピリットF4)、2020年に引き続いての清水英志郎(TGR-DC RSフィールドF4)、奥住慈英(TGR-DC RSフィールドF4)の3名に、今季より荒川を加えた4名が参戦。野中は開幕大会の第2戦で初勝利を挙げたあと、前大会の3レースも制し、目下4連勝を続けている。
21日(土)の朝8時10分から30分間の予選が行われた。予想された雨ではなく、小雨が僅かに感じられる程度で、ウェット宣言は出されたものの路面はほとんど濡れていない状況の中、全車スリックタイヤでコースに向かった。
セッション開始から7分程経ったところで赤旗が出され、荒川が2番手、清水3番手、奥住5番手、野中7番手という状況で、残り15分強で再開。再開直後に荒川がタイムを更新しトップへ。一方、ライバルがタイムを更新していく中、なかなかクリアラップを取れず、一時は10番手以下に落ちていた野中が一気にタイムを更新し、荒川を上回ってトップへ浮上。しかし、その後ライバルにかわされ、終盤コースアウト車両による再度の赤旗が出されると、セッションはそのまま終了。ベストタイムで決定される第3戦のグリッドは野中が2番手、荒川が3番手、奥住が7番手、清水が8番手。セカンドベストタイムで決定される第4戦は荒川が2番手、野中3番手、清水8番手、奥住9番手からスタートすることとなった。
予選の後、午後1時35分から第3戦の決勝レース(11周)が行われた。路面はほぼ乾いており、各車スリックタイヤでコースインしたものの、グリッドに着いてから少し雨粒が落ちてきたため、グリッド後方の車両はレインタイヤでスタートに臨んだ。予定よりも10分遅れで、セーフティカー先導でスタート。2周のセーフティカーランを経て、3周目から本格戦が開始された。
スターティンググリッド付近ではそれほど雨が降っていない状況であったが、コース西側ではやや雨が強まっており、2番手スタートの野中はペースダウン。3番手スタートの荒川にかわされた野中は、さらにずるずると順位を落とし、7周目には6位へと後退してしまった。野中をかわして2位に上がった荒川も、濡れた路面に苦戦しライバルの追撃を受けて6周目には4位に後退。
8周目、コース上に止まった車両によりセーフティカーが出され、10周終了でセーフティカーが退去し、ラスト1周でレースが再開。再スタートで野中が5位に浮上し、スプーンコーナーでは荒川もパス。複数台がなだれ込んだ最後のシケインでは荒川が行き場を失ったところで清水が前に出て、野中が4位、清水が5位、荒川が6位、奥住が7位でチェッカー。しかし、野中はセーフティカーランからの再スタート時に、スタートラインを越える前に前車を抜いていたとしてレース結果に40秒加算のペナルティ。最終結果は清水が4位、荒川が5位、奥住が6位。野中は28位となり、今季初めて表彰台を逃してのノーポイントに終わった。
22日(日)午前8時45分より第4戦の決勝レース(11周)が行われた。夜半に降った雨が路面を濡らしてはいたものの、朝の時点では晴れ間も見え、やや暑さも感じるコンディション。路面も一部が湿っているものの、ほぼドライで、全車スリックタイヤでレースが開始された。
3番手グリッドの野中が良いスタートを切り、最前列2番手スタートの荒川をパス。荒川はさらに1台にかわされ、4位へとポジションを落とした。
5周目、逆バンクで停まった車両によりセーフティカーが導入され、8周目にレースが再開されると、2位で追う野中はこのチャンスに逆転を狙うも、1コーナーで接触され、5位へと後退。これで荒川が2位に復帰した。
6位へと順位を落とした野中に、7位の清水、8位の奥住が迫り、9周目の1コーナー進入ではでは3台が横並びのバトルとなった。一番外側のラインにいた清水がコースアウトし、スピン。中央にいた野中は間一髪で清水を交わしたがポジションダウンを余儀なくされた。
そのまま、荒川が2位、奥住が6位、野中8位、清水20位でチェッカー。その後、トップチェッカーの車両が再スタート時の1コーナーで野中を押し出した行為により5秒加算のペナルティを科され、荒川が繰り上がり優勝。シリーズ参戦2年目の21歳、荒川がFIA-F4初勝利を挙げた。