TOYOTA GAZOO Racing(以下「TGR」)は8月29日、スーパーフォーミュラの第5戦で、関口雄飛(carenex TEAM IMPUL)が2位でフィニッシュし、2戦連続となる表彰台を獲得したことを発表した。
8月28日(土)、29日(日)の両日、前戦SUGOラウンドから約2か月の長いインターバルを経て、栃木県のツインリンクもてぎでスーパーフォーミュラの第5戦が開催された。次戦は10月開催のため、今季の同シリーズで唯一の真夏の戦いとなった。
今季、トヨタエンジン搭載勢は、雨天による短縮終了となった第3戦で、代役参戦のジュリアーノ・アレジ(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)が勝利を挙げたのみと、厳しい戦いを強いられている。しかし、TGRは、第2戦2位の平川、第3戦3位の関口がそれぞれランキング4,5位、そして全戦ポイント獲得中の宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)が6位につけており、今季は7戦中5戦の有効ポイント制ということもあり、残り3戦での逆転の可能性は残されており、タイトル獲得へ向け各チーム充分な気合いとともにこのもてぎ戦に臨んだという。
前週末に行われたWECル・マン24時間レースに出場し、見事1-2フィニッシュを果たした小林可夢偉と中嶋一貴は欠場となり、代役としてKCMGの7号車を小高一斗、36号車はアレジがドライブ。KONDO RACINGの4号車もサッシャ・フェネストラズに代わり中山雄一が出場した。
関口 雄飛(carenex TEAM IMPUL 19号車)
■予選
28日(土)、気温36度と猛烈な暑さとなる中、午後2時半より、ノックアウト方式での予選が開始された。今大会の予選も、前大会に引き続き、Q1、Q2を2グループに分けて実施。Q1ではそれぞれ上位7台、Q2では上位4台ずつが次ラウンドへと進出し、最後は8台でQ3が争われる。
10分間で争われるQ1のA組では、山下健太(KONDO RACING)ら数台が序盤コースインしたもののすぐに戻り、セッション後半に、全車一発でのアタックを開始。チェッカーまで30秒というところで平川がまずトップにつけるも、その後タイムを伸ばしたライバルに先行され、平川は3番手。阪口晴南(P.MU/CERUMO・INGING)が4番手、アレジが6番手、山下はぎりぎり7番手でQ1を突破した。代役参戦の小高も好走を見せましたが、0.04秒及ばず8番手でQ2進出ならず。大嶋和也(NTT Communications ROOKIE)も9番手敗退となった。
Q1のB組も、全車残り5分を切ったタイミングでアタックへ。坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)が好タイムを叩き出し3番手、宮田が5番手、関口が6番手。国本雄資(KCMG)はチェッカー後7番手タイムを出し、通過なるかと思われましたが、最後の最後に1台がタイムを更新し、国本は0.022秒差で押し出される形となり8番手で無念のQ1敗退。午前中のフリー走行でクラッシュを喫し、ダメージを負った車両を修復して予選に臨んだ中山は10番手で予選を終えた。
Q2のA組では、平川が1分32秒フラットの好タイムで2番手。Q3進出はそこから僅かコンマ4秒離れた、1分32秒4近辺に3台が並ぶ僅差の争いとなったが、阪口が4番手でQ3進出。山下は0.009秒及ばず5番手。そこから0.056秒遅れのアレジも6番手でQ3進出を逃した。
Q2のB組はさらにタイムが上がるハイレベルな争いとなり、7台中6台が1分31秒台に突入。全車チェッカー後に目まぐるしく順位を入れ替える展開となる中、1分31秒台に入れる好走を見せた坪井が押し出される形で6番手に落ち、無念の敗退。ここでは関口が気を吐いて2番手、宮田が4番手に入って2台がQ3進出を果たした。
トヨタエンジン勢が4台進出を果たしたQ3でも、関口が速さを見せ、惜しくもポールポジションには届かなかったものの、最前列2番手グリッドを獲得。宮田も好タイムで2列目4番手。平川が6番手、阪口も1分31秒台に入れたが8番手グリッドから決勝レースをスタートすることとなった。なお、宮田は冷却系の問題が発生しエンジンを交換したことにより、10グリッド降格のペナルティを受けたため、決勝は14番手からのスタートとなる。
関口 雄飛(carenex TEAM IMPUL 19号車)
宮田 莉朋(Kuo VANTELIN TOM’S 37号車)
■決勝
29日(日)、空にはやや雲がかかり、暑さは若干和らいだ気温31度、路面温度36度というコンディションで午後2時、35周で争われる決勝レースのスタートが切られた。
最前列2番手スタートの関口が順当なスタートを切ったその後方では、5番手グリッドの平川が抜群のダッシュを決め3位に並びかけたが、逆転には至らず、それでも4位へひとつポジションアップ。
中団グループでは、9番手スタートの山下がV字コーナーで他車と接触し、それを避けようとした中団グループ以下で混乱が発生し、巻き込まれた大嶋がここで無念のリタイアとなってしまった。
この混乱によりセーフティカーが導入され、5周目からレースが再開。再スタート後も各車大きな順位変動はなく、関口が2位、平川が4位、阪口が6位で上位を追う展開となった。
レース中に義務づけられているタイヤ交換が可能となる10周を終えたところで、2位走行中の関口が先陣を切ってピットイン。首位を行くライバルとの差を詰める作戦に出たが、翌周に首位車両もピットへ向かい、2台の順位は変わらず。
首位と2位関口の2台がピットインしたことで、2位へと浮上した平川はピットインを遅らせ、15周目に前車がピットインしたことで首位へ。これで前が空いた平川は16周目に自己ベストタイムを更新するなどペースを上げ、先にピットインしている実質上位勢との、見えない戦いを繰り広げることとなった。
レースは折り返しを過ぎ、残り10周を切った26周終了時に平川がピットイン。平川は4位でコースに復帰した。
交換したばかりの新しいタイヤの優位性を活かして平川は前との差を詰めていき、再三にわたる激しいプッシュを見せるも、逆転には至らず。
また、2位で首位を追い続けていた関口も、最終ラップに入ると、残っていたオーバーテイクシステムを全て放出。2秒以上あった差を1秒まで詰めたが、2位でチェッカーを受け、前戦SUGOに続く2戦連続の表彰台を獲得した。ランキングで3位に浮上し、逆転タイトルへの望みを残すこととなった。
追い上げのバトルで魅せた平川は惜しくも表彰台を逃す4位。阪口が5位と健闘。降格により14番手と後方グリッドスタートから追い上げた宮田が8位。宮田と激しいバトルを繰り広げた坪井が9位でフィニッシュし、ポイント獲得を果たした。
決勝スタートシーン
平川 亮(carenex TEAM IMPUL 20号車)
阪口 晴南(P.MU/CERUMO・INGING 39号車)