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2021年9月13日【イベント】

TGRロバンペラ、2021WRC第9戦で今シーズン2勝目

NEXT MOBILITY編集部

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TOYOTA GAZOO Racingは9月13日、2021年FIA世界ラリー選手権(WRC)第9戦アクロポリス・ラリー・ギリシャの結果を発表した。

 

アクロポリス・ラリー・ギリシャは、1951年に初めて開催され、WRCには初年度の1973年からシリーズに組み込まれていた、非常に長い歴史と人気を誇るラリー。2013年の大会を最後にWRCとしては開催されていなかったが、2021年8年ぶりにカレンダーに復帰した。

TOYOTA-GAZOO-Racing・ロゴ

ラリーは9日木曜日の午前中に、サービスパークが置かれる中央ギリシャの都市「ラミア」の近くで、全長4.25kmのシェイクダウンが開催された。通常アクロポリスのグラベル(未舗装路)ステージはドライコンディションでの走行となることが多いが、ラリーウイーク前半のレッキ(ステージの事前下見走行)の段階から降雨が続き、ステージの多くの区間が泥状に。シェイクダンのステージも同様に雨でぬかるみ、非常に滑りやすく難しいコンディションとなったが、20歳のロバンペラが最速タイムを記録。エバンスは5番手タイム、オジエは6番手タイムとなった。

 

その後、選手たちはラミアから約200km南東に離れた首都アテネに移動。アクロポリスの丘にそびえるパルテノン神殿の下で夕方5時半からセレモニアルスタートが行われ、その直後にアテネ中心部のシンタグマ広場でオープニングのSS1がスタート。全長0.98kmのターマック(舗装路)ステージで、オジエが2番手タイムのエバンスに0.6秒差をつけてベストタイムを記録。ロバンペラは、オジエと0.8秒差の3番手タイムを記録し、ヤリスWRCは全車が順調に競技初日を走り切った。

 

なお、TGR WRCチャレンジプログラムの勝田貴元は、今回もヤリスWRCで出場する予定であったが、コ・ドライバーであるキートン・ウィリアムズが急を要する家族の事情により帰国したため、今回はラリー本番への出場を取り止めた。

 

 

 

 

 

デイ2は、アテネを起点に、5本合計89.40kmのステージが日中のサービスを挟むことなく開催された。デイ2前半の舞台となったルートラキ周辺は好天に恵まれ、気温は日中30度程度まで上昇。路面コンディションはドライとなり、出走順が早い選手達にとっては不利な走行条件となった。

 

ドライバー選手権首位につけるオジエは出走順1番手で、選手権2位のエバンスは2番手でステージをスタート。路面には滑りやすい砂利や石が散乱し、それを掃き飛ばしながらの困難な走行となったが、オープニングのSS2でオジエは2番手タイムを刻み首位の座を維持。エバンスは3番手タイムを記録するなど、良好な滑り出しとなった。続くSS3ではロバンペラがベストタイムを刻み総合1位に順位を上げ、さらにSS4でもベストタイムをマークしてリードを守った。

 

ルートラキの周辺で3本のステージを走り終えた選手達は、その後サービスパークが置かれるラミアを目指して北上する途中で、さらに2本のステージを走行。SS5は一部区間で路面がかなり湿っていたが、オジエが今大会2回目のベストタイムを記録。デイ2最終のSS6はロバンペラが3番手タイムで走り抜き、首位を堅守した。

 

また、オジエはロバンペラと3.9秒差、総合2位のライバルと僅か0.2秒差の総合3位でデイ2を締めくくった。なお、SS2終了時点で総合3位につけていたエバンスは、SS3でギヤチェンジに関するトラブルに見舞われタイムロスを喫したが、困難を乗り越えてデイ2の全ステージを走破した。

 

 

 

 

 

競技3日目は、サービスパークを中心に6本のステージを走行。その合計距離は132.56kmと、4日間で最長の1日であった。ラミア周辺では週の前半に雨が降り続け、グラベル(未舗装路)のステージは全体的に湿り、多くの区間がぬかるんだ状態に。その後天気は回復し、路面は日に日に乾いていったが、青空の下でデイ3が始まってもなお、いくつかのセクションは湿っており、ぬかるんでいる場所も多くあった。

 

デイ2で2本のベストタイムを記録し首位に立った20歳のロバンペラは、デイ3でさらにスピードを上げ、オープニングのSS7からSS10にかけて4ステージ連続でベストタイムをマーク。デイ3のスタート時点では3.7秒だった総合2位のライバルとの差を39.7秒に拡げた。その後の2本のステージには確実性を重視したアプローチで臨んだが、それでも総合2位に30.8秒差を築いて1日を終え、首位の座をしっかりと固めた。

 

また、オジエはドライバー選手権を優先したクレバーな走りを続けながらも、SS11でベストタイムを記録するなど好調を維持。総合2位のライバルとの差は9.4秒とやや開きはしたが、総合3位を堅守し、総合4位のライバルとの差を1分29.2秒に拡大した。

 

なお、デイ2で技術的な問題により大きくタイムを失い総合16位に留まったエバンスは、サービスで完璧な状態に修理されたクルマでデイ3に臨んだ。ステージの出走順が4番手とやや早かったため、理想的とはいえない路面コンディションでの走行となったが、安定して上位のタイムを刻み総合7位まで順位を挽回した。

 

 

 

 

 

デイ4は、サービスパークを起点に、日中のサービスなく3本合計69.25kmのステージが行なわれた。最終日のオープニングステージ、SS13「タルザン1」は降雨により一部セクションが湿り、ぬかるんだ区間もある難しいコンディションとなった。

 

前日のデイ3で総合2位のライバルに30.8秒のリードを築いた首位ロバンペラは、SS13でそのライバルに14.1秒という大差をつけるベストタイムを記録。リードを一気に44.9秒に拡げた。続く今大会最長となる33.20kmのロングステージ、SS14「ピルゴス」も一部にぬかるんだ区間があり、ロバンペラはややペースを抑えて走ったが、ボーナスの選手権ポイントがかかる最終のパワーステージ、SS15「タルザン2」では今大会8本目となるベストタイムをマーク。WRC初優勝を飾った第7戦ラリー・エストニア以来となる今シーズン2勝目をあげ、パワーステージ優勝によるボーナスの5ポイントも獲得した。

 

総合2位のライバルと9.4秒差の総合3位でデイ4をスタートしたオジエは、最終日もドライバー選手権を最優先したクレバーな走りを続け、3本のステージをいずれも3番手タイムで走行。総合3位でフィニッシュし、パワーステージで3番手タイムを記録したことでボーナスの3ポイントも獲得。ドライバー選手権トップの座を守り、リードをさらに拡げた。

 

また、デイ2でのトラブルによる大きな遅れを着実に挽回していったエバンスは、最終的に総合6位まで順位を上げ完走。パワーステージでは2番手タイムを刻み、ボーナスの4ポイントを獲得した。その結果、選手権首位オジエとの差は44ポイントに拡がったが、同ポイントで並んでいたライバルに対しては6ポイントのリードを築き、単独2位となった。

 

また、ロバンベラはドライバー選手権4位を守り、3位のライバルとの差を1ポイントに、2位エバンスとの差を7ポイントに縮めた。なお、チームは今シーズン5回目のダブルポディウム獲得と、ロバンペラとエバンスによってもたらされたパワーステージのボーナスポイントにより、マニュファクチャラー選手権におけるリードを57ポイントに拡大した。

 

 

 

 

WRC次戦は、10月1日から3日にかけてフィンランドのユバスキュラを中心に開催される「ラリー・フィンランド」。WRCを代表するハイスピード・グラベル(未舗装路)ラリーであるフィンランドは、2020年は新型コロナウイルスの影響により中止されたため、2年ぶりの開催となるが、開催時期は従来の夏から秋に移った。TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamは、チームにとってのホームイベントで2017年から2019年にかけて三連勝を飾っており、ヤリスWRCにとってはもっとも得意とするラリーのひとつとなる。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。