TOYOTA GAZOO Racing(以下「TGR」)は6月7日、TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムに参加中の勝田貴元が、6月3日(木)から6日(日)にかけてイタリアのサルディニア島で開催された、2021年FIA世界ラリー選手権(WRC)第5戦ラリー・イタリア サルディニアに、コ・ドライバーのダニエル・バリットと共にヤリスWRCで参戦したと発表した。
前戦ラリー・ポルトガルに続き、WRC自己最高順位となる総合4位で完走した。
今シーズン最初のグラベル(未舗装路)イベントだった前戦のラリー・ポルトガルで、勝田は2本のステージベストタイムを記録し、WRCでの自己最高位となる総合4位を獲得した。今回のラリー・イタリア サルディニアもグラベルイベントだが、全体的に道幅の狭い高速なステージが多く、道の両側には木や岩が迫るなど、少しのミスも許されないトリッキーなラリーであるため、前戦よりも厳しい戦いになることが事前に予想された。また、2020年10月の前回大会ではリタイアに終わったこともあり、今回は全20ステージをしっかり最後まで走りきることを最優先してラリーをスタートした。
ラリー開始直後から勝田は好調な走りを続け、金曜日のデイ1はSS1からSS4まで総合5位をキープ。午後のステージでは何度かエンジンがストールしてタイムを失い、同じヤリスWRCをドライブするエルフィン・エバンスに抜かれて総合6位に順位を下げた。しかし、土曜日のデイ2で多くのトップドライバーがミスやトラブルでリタイアを余儀なくされる中、勝田は大きなアクシデントやダメージを負うことなく堅実な走りを続け、総合4位に順位を上げた。
そして迎えた最終日のデイ3は、コ・ドライバーのバリットが暑さによる脱水症状で気分がすぐれなかったため、勝田はなるべくバリットに負担をかけないように慎重に走ったが、それでも総合4位を最後まで堅守。2戦連続で表彰台にあと1歩と迫る好結果を残し、ドライバーとしての成長を結果で示した。なお、バリットはフィニッシュ後に医師の診断を受け、体調について特に問題がないことが確認されている。
勝田はこれで開幕から5戦連続でポイントを獲得し、ドライバー選手権のランキングは6位から5位に上がっている。今シーズン全てのラリーで総合6位以内に入っているドライバーは、勝田とエバンスのふたりだけであり、TGRは、今回の確実性を優先するアプローチが正解だったこと、そして速さと安定性のバランスが上手くとれていることが、リザルトにも表れているとした。
勝田の次戦は、6月24日から27日にかけて、アフリカのケニアで開催される「サファリ・ラリー」。2002年以来19年ぶりにWRCとして開催されるこの伝統の1戦はグラベル(未舗装路)ラリーであり、現役のトップドライバーは全員が初めて挑むイベントとなる。
勝田貴元
今回のラリーでの自分の戦いには満足しています。多くのことを学ぶことができましたし、ポジティブなことも多くありました。特に土曜日はいろいろなことが起き、コーナリングライン上にあった大きな石にぶつかってコースアウトしそうになるなど、危ない瞬間もありましたが、それでも完走することができたのは大きな収穫です。とてもいい経験をしましたし、次のラリーに向けていい学びを得ることができたと思います。
ユホ・ハンニネン(インストラクター)
今回もまた、タカのラリーにとても満足しています。非常に難しいイベントになるということを、彼はラリーに臨む前から理解していましたし、実際そうなったと思います。今回は前戦までとは少し違うアプローチをとり、最大限にプッシュするのではなく、とにかくトラブルフリーで走ることを優先しました。トラブルさえ回避することができれば、良い結果を得られるだろうとタカは考えていましたが、まさにその通りの展開になりました。私としては、これから出場するラリーはタカにとって良いものになると確信していましたし、今回に関しては最も厳しい戦いになると予想していましたが、それでも総合4位でフィニッシュしました。本当に良いリザルトだと思います。
Result
1 セバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア(トヨタ ヤリス WRC)3h19m26.4s
2 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン(トヨタ ヤリス WRC)+46.0s
3 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ(ヒュンダイ i20クーペ WRC)+1m05.2s
4 勝田 貴元/ダニエル・バリット(トヨタ ヤリス WRC)+6m11.2s
5 ヤリ・フッツネン/ミッコ・ルッカ(ヒュンダイ i20 R5)+9m31.7s