TOYOTA GAZOO Racingは10月4日、TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムに参加中の勝田貴元が、2021年FIA世界ラリー選手権(WRC)第10戦「ラリー・フィンランド」で総合37位でフィニッシュしたことを発表した。
ラリー・フィンランドは、10月1日(金)から3日(日)にかけてフィンランド中部のユバスキュラを中心に開催され、ユバスキュラに生活拠点を置く勝田にとって、ホームイベントとなった。
新型コロナウイルスの影響により、勝田が本来ヤリスWRCで出場する予定だった2020年の大会は中止となり、今回初めてこのラリーにトップカテゴリーのWRカーで挑む。通常、ラリー・フィンランドは夏季に行われるが、2021年は例外的に秋季の開催となり、路面コンディションは今までとは大きく異なった。気温が低く、また路面がやや湿り気を帯びているため、グリップは全体的に低下。非常に滑りやすいセクションも多い。
さらに、前戦のアクロポリス・ラリー・ギリシャではコ・ドライバーのキートン・ウイリアムズが家族の事情により急きょ出場できなくなり、勝田も出場を断念。そこで、新たにアイルランド出身のアーロン・ジョンストンをコ・ドライバーに迎え、今回がふたりで戦う最初のラリーとなった。
このように、勝田は決して理想的とはいえない状況でラリー初日の金曜日に臨んだが、ユバスキュラの市街地が舞台のSS1ではベストタイムを記録。幸先の良いスタートを切った。しかし、続く森林地帯でのSS2で勝田は高速スピンを喫し、大きくタイムをロス。幸いにしてクルマにダメージはなかったが、勝田はその後思うようにペースが上がらず、総合8位でデイ1を終えた。
ラリー最長の距離を走る土曜日のデイ2は、2本目のSS8でコースを外れ、岩に当たりクルマの右後ろにダメージを負いデイリタイアに。しかし、チームによって修理されたクルマで勝田は競技最終日の日曜日に再出走。出走順がトップだったため、路面はかなり滑りやすい状態であったが、それでもパワーステージを含む2本のステージで4番手タイムを刻み、2ポイントを獲得。ポジティブな形でラリーを締めくくった。
– 勝田貴元
ラリーのスタートは、ステージ優勝という形で非常に上手く行きました。短いステージでしたが、それでも最速タイムを出せたのは良かったです。しかし、最初の森林ステージでかなり危ない瞬間があり、その後自信とフィーリングを取り戻すのに苦労しました。土曜日のステージではもう少しプッシュしようとしたのですが、出走順が早かったため簡単にはいきませんでした。SS8では、途中の区間タイムは良かったのですが、フィニッシュ前の高速コーナーが予想以上に滑りやすく、コースから少しはみ出て岩に当たってしまい、ストップせざるを得ませんでした。日曜日に再スタートできるように、クルマを直してくれたチームに感謝します。日曜日は出走順がトップでしたが、タイムは決して悪くありませんでした。全体的には残念な週末でしたが、これがモータースポーツですし、将来に向けてさらに学びを深めたいと思います。
– ユホ・ハンニネン(インストラクター)
貴元はこのラリーに大きな期待を寄せていましたが、新しいコ・ドライバーと初めて仕事をするという意味で、フィンランドは理想的な環境とはいえませんでした。また、ここ最近ラリーでヤリスWRCに乗る機会が少なかったこともあり、走りのフィーリングを少し失っていたようにも思います。しかし、金曜日にスピンをした後は、徐々に自信を取り戻していきましたし、全ての状況を考えるとなかなかのタイムが出ていました。土曜日に入るとスピードが上がり始め、パイヤラのステージの区間タイムはかなり良く、好タイムを期待できそうでした。しかし、残念ながらジャンプの着地でコースからはみ出し、大きな岩に当たってデイリタイアを余儀なくされました。それでも、日曜日の再出走を強く望み、もっと走りたい、アーロンとの経験を多く積みたいと貴元が思えたのはいいことです。実際、最終日のタイムは良かったですし、何よりもアーロンとの仕事が上手く行ったことは大きな収穫でした。