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2024年11月25日【イベント】

TGR、2025年のWRC参戦体制を発表

坂上 賢治

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TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(TGR-WRT)は、2025年シーズンのFIA世界ラリー選手権(WRC)の参戦体制を発表した。2025年はマニュファクチャラーズタイトルを守り、ドライバー、コ・ドライバー選手権のタイトル奪還を使命に挑む。

 

各大会には、4台または5台のGR YARIS Rally1が参加する予定で、2024年より拡大した車両とドライバーラインナップを活用する。

 

チームには、フィンランド出身の若手ドライバー、サミ・パヤリ選手が新しく加入。トップカテゴリーでのフル参戦を開始する。パヤリ選手は、全てのラリーに出場する4人のドライバーのうちの1人で、新しいコ・ドライバーは後日発表される予定。

 

その他のメンバーでは、2度の世界チャンピオンを獲得したカッレ・ロバンペラ選手/ヨンネ・ハルットゥネン選手組が再びフル参戦体制に戻る。2024年の同ペアは、約半分の参戦だったが、参戦した7戦のうち4戦で優勝した。

 

最終戦ラリージャパンで優勝したエルフィン・エバンス選手/スコット・マーティン選手組も、6年連続でTGR-WRTからの参戦が決定した。勝田貴元選手/アーロン・ジョンストン選手組も同様にTGR-WRTで挑戦を続ける。

 

8度の世界チャンピオンであるセバスチャン・オジエ選手とコ・ドライバーのヴァンサン・ランデ選手は今シーズン3勝を挙げており、来年も今シーズン同様に一部のイベントにスポット参戦する。

 

なおチーム代表は、引き続きヤリ-マティ・ラトバラ氏が務める。ラトバラ氏は過去4シーズンで、チーム代表として数々の勝利やチャンピオンタイトル獲得のリードするのみならず、クルーが信頼を置く理解者としても活躍。パヤリ選手のような新しい才能の発掘と育成にも貢献してきた。

 

また併せてラトバラ氏は、TGR-WRTの豊田会長から、TGRが掲げるドライバーファーストのアプローチの一環として、チーム代表としての仕事と同時に、彼のドライビングへの情熱を燃やし続ける機会も与えられてきた。

 

そうした背景から2023年のラリーフィンランド参戦に続き、今年はGRヤリスRally2でラリーフィンランドに参戦した。この活動は来年も継続され、来季は歴代のトヨタ車の中で最も成功を収めたクルマのひとつのトヨタ・セリカST185で、FIAヨーロッパ・ヒストリックラリー選手権に参戦する。参戦に使用する車両はTGRのカラーリングを施し、トヨタの過去からのWRC参加の歴史を繋ぎ、ファンとラリーの情熱を共有する。

 

上記を踏まえ、選手権参戦のためラトバラ氏が不在になるイベントでは、4度の世界チャンピオンで最後のタイトルをセリカST185で獲得したユハ・カンクネン氏が代表代行の役割を担う。

 

カンクネン氏は過去数年に亘り、アンバサダーとして幾つかイベントに参加してきたため、既にチームとの関係も深く、自身の成功体験をドライバーや他のチームメンバーと共有する準備ができているという。

 

Team name TOYOTA GAZOO Racing WRT (World Rally Team)
– 会長 豊:田章男
– チーム代表 :ヤリ-マティ・ラトバラ (フィンランド)
– チーム代表代行 :ユハ・カンクネン (フィンランド)

 

車両 GR YARIS Rally1 (全長4207mm、全幅1875m)
– エンジン: GI4B
– タイヤ: ハンコック

 

チームクルー:
– ドライバー エルフィン・エバンス (UK)
– コ・ドライバー スコット・マーティン (UK)
– ドライバー セバスチャン・オジエ (フランス)
– コ・ドライバー ヴァンサン・ランデ (フランス)
– ドライバー カッレ・ロバンペラ (フィンランド)
– コ・ドライバー ヨンネ・ハルットゥネン (フィンランド)
– ドライバー 勝田貴元 (日本)
– コ・ドライバー アーロン・ジョンストン (アイルランド)
– ドライバー サミ・パヤリ (フィンランド)
– コ・ドライバー TBC

 

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TGR WRC チャレンジプログラム
なお世界レベルで戦えるプロのラリードライバーの育成を目的として2015年にスタートしたTGR WRCチャレンジプログラムは、1期生の勝田貴元の背中を追い、2期生の小暮ひかる選手と山本雄紀選手並びに3期生の後藤正太郎選手と松下拓未選手がプログラムが継続される。

 

今シーズン、GRヤリスRally2車両で貴重な経験を積んだ小暮選手と山本選手は、2025年もRally2車両でWRCイベントを含む欧州のラリーに参戦する。2024年からプログラムに加入した後藤選手と松下選手は、今年ラリーを学んだRally4からRally3車両にステップアップし、さらなる成長を目指す。

 

併せて現在4期生のセレクションも実施中で、10月に富士スピードウェイで実施した1次、2次選考を通過した6名のドライバーに加え、今年から始まったモリゾウチャレンジカップの今シーズンのチャンピオンドライバーも合流し、12月に実施するフィンランドでの最終選考に挑む。また、2025年からコ・ドライバーのプログラムも開始される予定としている。

 

  • ドライバー 小暮ひかる (日本)
  • ドライバー 山本雄紀 (日本)
  • ドライバー 後藤正太郎 (日本)
  • ドライバー 松下拓未 (日本)

 

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ヤリ-マティ・ラトバラ氏(チーム代表)

2024年シーズンはチームにとって新しいチャレンジの年でしたが、私たちはハイレベルなパフォーマンスを維持し、最終戦の最終日まで戦い続け、マニュファクチャラーズタイトルを無事守ることができました。

 

そして2025年、ここ数年一緒に戦ってきた強いドライバーたちと再びチームを組めることをとてもうれしく思っています。来年はカッレもフル参戦に戻り、ラインナップをさらに強化してくれます。

 

また、若手育成の一環として、サミ・パヤリをメンバーに迎え入れることができるのも素晴らしいことです。サミは今年著しい成長を遂げ、私たちは彼がトップカテゴリーにステップアップする準備ができていると自信を持っています。

 

個人的には、チーム代表の役割と、伝説のトヨタ・セリカでのドライブへの情熱を同時に遂行する機会を与えていただきとても興奮しています。そして、ユハ・カンクネンがチーム代表代行として、私やチームをWRCイベントでサポートしてくれることを非常にうれしく思っています。彼はチームをよく知っていますし、豊富な経験を共有してくれます。

 

ユハ・カンクネン氏(チーム代表代行)
この役割を担うことができ、大変うれしく思っています。現役時代、様々なチームで走りましたが、トヨタとは合計で9年間一緒に戦いました。トヨタはWRCでのチャンスを与えてくれた最初のメーカーであり、おそらく世界の中でも最高のチームだと思っています。素晴らしいメンバーがいて、ヨーロッパと日本の協力体制も素晴らしいです。

 

このチームスピリットとチームワークは非常に重要で、皆が共に努力をしています。私は豊田会長とも良好な関係を築いており、ここ数年、イベントでのデモランなどで一緒にドライブをしてきました。もちろんヤリ-マティとも良い関係です。彼はとても話しやすく素晴らしい人です。彼らとより密に協力し、チームをサポートできることをとてもうれしく思っています。

 

エルフィン・エバンス選手
来年もTGR-WRTで継続できることをとてもうれしく思っています。2020年以来、私たちは素晴らしいシーズンを共にしてきました。2024年は私たちが望んでいたほど成功した年ではなかったかもしれませんが、チームにはまだまだポテンシャルが残っていますし、自分自身ももっとできることがあると思っているので、来年もこのパートナーシップを継続することが楽しみです。チームも私たちクルーも、共に懸命に働き続け、さらに良い結果を達成できることを期待しています。

 

カッレ・ロバンペラ選手
来年は再びフルシーズンでWRCを戦うことをとても楽しみにしています。私とヨンネは、今年はこれまでとは違った一年を過ごしました。様々なクルマの運転を楽しみながら、いくつかのWRCイベントで勝利を収めることもできました。良い一年でしたが、WRCのフル参戦に戻るモチベーションももたらしてくれました。ヨンネと共にドライバー、コ・ドライバータイトルに向けてプッシュし、マニュファクチャラーズタイトル奪還に向けてもチームと共にベストを尽くします。

 

セバスチャン・オジエ選手
2025年もTGRに残ることになり、本当にうれしく思っています。ここまでチームと共に、たくさんの勝利と成功を収め、素晴らしい5シーズンを過ごしてきました。このストーリーを続けることを心から楽しみにしています。私の主な目標は、一部のラウンドに参加しながらチームのマニュファクチャラーズタイトルに貢献することであり、できればドライバー、コ・ドライバーも含めた全てのタイトルを取り戻したいです。チームと共に、限界までプッシュし続けます。

 

勝田貴元選手
2025年もチームと継続できることが本当にうれしいです。今年は私にとってチャレンジングなシーズンでした。難しい時期を支えてくれたチームや全ての方々に感謝しています。ほとんどのラリーにおいて、自分の持つスピードは示すことができ、自信も高まってきているので、来年の目標は全てのラリーにおいて適切なリズムを見つけることです。もし全てがうまくいけば、もっと多くのイベントで表彰台争いができると確信しています。

 

サミ・パヤリ選手
夢が叶いました。チームがこのような素晴らしい機会を与えてくれたことを本当に感謝しています。私の夢が実現するまで、他にもたくさんの方々が私をサポートしてくれました。今年はGR Yaris Rally2での戦い、そしてRally1車両での初参戦と、素晴らしいシーズンでした。一旦、夢だった場所には到達しましたが、良い結果を出すためには、ここからが本当に大変な仕事になると理解しています。

 

 

TOYOTA GAZOO Racing WRTのSNSアカウント
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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。