11月21日、22日の両日、ツインリンクもてぎにて、TOYOTA GAZOO Racing 86/BRZ Race 2020プロフェッショナルシリーズの最終戦となる第7戦が開催された。シリーズチャンピオンには久保凜太郎選手が輝き、本人初のシリーズチャンピオンというだけでなく、BRZ勢として初の快挙となった。
当日の模様をブリヂストンがレポートした内容は以下の通り。
チャンピオン争いは3人に絞られていた。ポイントリーダーは#87久保凜太郎(ブリヂストン)で、それを10.5ポイント差で追うのが#1谷口信輝(DL)、そして19.5ポイント差で#34佐々木雅弘(ブリヂストン)というラインナップになっている。優勝が20ポイントなので、佐々木は優勝しても、上位の2人がノーポイントが条件となる。数字上は久保が圧倒的に有利で、3位以上なら谷口の成績に関わらず、チャンピオンが決まる。谷口は4位以下なら久保がノーポイントでもチャンピオンの可能性を失う。しかし相手は4度のチャンピオンを獲得している絶対王者である。プレッシャー、駆け引き、戦略、いろいろなことが頭の中を駆けめぐり、久保を苦しめていたことは間違いない。今シーズン、レースペースの安定性はそのままに、一発の速さを手に入れた久保は、その好調を結果に結びつける他ない。
■予選
15分間の予選、シグナルがグリーンになったことを無視するかのように、誰もコースインしない。2分経過し#813坂裕之(DL)がコースインしたものの、それに続くドライバーはなく、たったひとりの予選アタックが展開していた。その静寂が破られたのは残り8分を切ってからだった。そこから一斉にコースインが進み、タイムアタックに入っていく。トップタイムをマークしたのは、練習走行でも好調だった#98近藤翼(DL)だった。谷口もアタックしたが及ばず、5番手タイムに留まる。そして最後の最後に逆転劇が待っていた。スボット参戦の#500坪井翔(DL)がポールポジションを獲得したのである。若き日本のトップドライバーが、今シーズン初の86レースでベテラン勢を押し切ったのである。
予選後、走路外走行の判定によって、8人のドライバーがトップタイムの抹消という処分を受けた。しかも、その全てのドライバーが1アタックしかしていなかったため、ノータイムで予選落ちという結果になってしまった。(救済措置により決勝レースへは後方グリッドからのスタートとなった)その中には近藤や#7堤優威(ブリヂストン)といった有力選手も含まれていたため、予選順位は変動することに。谷口は4番手に繰り上がり、11番手だった久保は9番手、佐々木選手は10番手となっている。
ブリヂストン装着勢は、トップ10に4台を占めた。
■決勝
坪井の速さはピカイチだった。ポールポジションからのスタートをしっかりと決め、その後一度もトップを脅かされることなく、完璧な走りでポール・トゥ・フィニッシュを飾った。このレースの経験値など関係なかったのだ。2位はベテラン#60服部尚貴(DL)、3位は#10菅波冬悟(DL)がスタートから同じポジションを守り切り表彰台へ上がった。4番手スタートの谷口は順位を上げることができなかった。結果からいえば、久保がチャンピオンを獲得するには、それだけで十分だった。
スタートを決め8位で1コーナーに入っていった久保は、オープニングラップでさらに1台オーバーテイクして7位に。前を走るのはチームメイトである#88手塚祐弥(ブリヂストン)だったのだが、メカニカルトラブルが発生し6周目にピットへ。これで6位となり、谷口は優勝することが最低条件となってしまった。87号車が6位という表示を見て、谷口は諦めたという。
今シーズン、久保は十勝の第1ヒートで優勝し、他は2位が3回、3位が1回という上位での戦いぶりをみせた。雨絡みの天候が今シーズンの特徴でもあったが、そこでウエット性能の高いブリヂストンRE-07Dを活かしたことが、チャンピオンを引き寄せた要因のひとつだったに違いない。
ブリヂストン装着勢は、トップ10に3台が入った。
プロフェッショナルシリーズで6位入賞を果たし、シリーズチャンピオンを獲得した#87久保凜太郎選手のコメント。
「シリーズチャンピオンを決めることができて、ホッとしている、というのが正直なところですね。初参戦から6年目ですけど、本当にチームや関係者に感謝したいですね。昨日の予選はちょっと上手くいきませんでしたが、レース自体はスタートを決めることができて、手塚祐弥選手の残念なトラブルもあって、6位にまで上がることができました。その時点でかなり優位に立っていたことは判っていましたが、とにかく守るのではなく、前へ出ることしか考えていませんでした。まだまだ若かった頃からいろいろとお世話になった谷口信輝選手と戦って、チャンピオンを取れたことが嬉しかったですね」